安心して出産を迎えるために
積極的に受けたい妊婦歯科健診
八木下歯科医院
(台東区/浅草駅)
最終更新日:2022/07/11
- 保険診療
妊娠中は急激な体の変化やつわりなど、女性にとって大変な時期。何となく歯が痛い、冷たいものがしみるなどの自覚症状があっても、歯科医院を受診するのはおっくうに感じるかもしれない。しかし、妊娠中はホルモンバランスの変化やつわりによるブラッシング不足が原因で口腔内のトラブルが起こりやすく、普段以上に口内の健康管理が重要だ。そのため、多くの自治体では妊婦を対象とした歯科医師による歯科健診を実施。妊娠中に協力医療機関で妊婦歯科健診を受ける場合には費用助成が受けられる。東京都台東区の妊婦歯科健康診査の委託医療機関である「八木下歯科医院」の八木下恵子院長に、妊婦歯科健診の意義やその内容、歯科治療が必要になった場合の対応などを聞いた。
(取材日2022年4月15日)
目次
妊娠中は虫歯や歯周病にかかりやすい時期。重度の歯周病は早産や低体重出産のリスクを高める可能性も
- Q妊婦歯科健診を受けたほうが良いのはなぜですか?
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A
妊娠中は女性ホルモンの影響で歯肉炎が起こりやすくなります。また、食事回数の増加や食の好みの変化、つわりで歯磨きができないことなどから口腔環境が悪化して、虫歯や歯周病のリスクも高まります。歯茎が腫れた歯肉炎の状態であれば適切な口腔ケアで改善できますが、重度の歯周病にまで進行してしまうと早産や低体重児出産のリスクが高まることがわかっています。安心して出産を迎えるために、妊婦歯科健診を受けてご自分のお口の状況を把握し、虫歯や歯周病を予防することはとても大切です。これまで定期的に歯科医院を受診していなかった方も、これを機会にお口の健康に目を向けていただきたいですね。
- Q健診を受けるタイミングと、健診の内容を教えてください。
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A
体調が落ち着いていればいつでも受診できますが、患者さんからは「おなかが大きくなると診察台が苦しいので、中期(16週~27週)が良い」という話を聞いています。内容は問診のほか、視診による虫歯、歯石、歯茎の炎症のチェック、歯科保健指導です。当院では、受診時の週数や出産予定日などを確認して体調を見ながら診査しており、つわりで歯磨きができない方に子ども用の小さな歯ブラシを使う、こまめにうがいをするといったアドバイスや、食事面の指導もしています。さらに、ご希望に応じて歯周病検査や歯石の除去も行います。妊娠中でも歯石の除去はできますので、定期的なクリーニングをお勧めしています。
- Q検査で虫歯や歯周病が見つかったら、治療はできますか?
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A
妊婦歯科健診では治療はしませんが、治療の緊急性やご本人の体調などを考慮して今後の治療計画をご提案します。治療をするとなるとおなかの赤ちゃんへの影響が心配だと思いますが、妊娠中でも歯科治療は可能です。治療が必要な場合は、比較的体調の安定した妊娠中期に済ませておくと良いでしょう。当院では、基本的には歯科衛生士によるケアなどの定期的な通院で経過観察し、出産後に治療を開始するようご提案しています。急性の痛みを伴う症状がある場合は、安定期に限り麻酔を使用しての治療を行っています。なるべくストレスがかからないよう、妊婦さんの希望に沿った対応を心がけていますので、不安や心配があれば遠慮なくご相談ください。
- Q子どもがいてなかなか歯科医院に行けないお母さんも多いのでは?
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A
近年は核家族化が進み、小さなお子さんを預けるのも難しいと思います。できれば、出産前に子ども連れでも通いやすいかかりつけ歯科医院を見つけておくといいですね。当院はスタッフ全員が子ども好きで、妊婦歯科健診でいらした患者さんに「出産後は赤ちゃんも連れて来てくださいね」と積極的に呼びかけています。治療中は、ママがお子さんをおなかの上に抱いていたり、スタッフがママの代わりに抱っこしたりしています。また、小さいうちから連れて来ていれば、お子さんも歯科医院に慣れることができて、もし虫歯になったとしても怖がったり嫌がったりせずスムーズに治療を受けてもらえると思います。
- Q出産後の治療について教えてください。
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A
基本的には出産後はいつからでも歯科治療を受けることができます。妊娠中、虫歯や歯周病を経過観察や応急処置で対応していた方は、体力が回復したタイミングで歯科医院を受診し、治療を始めましょう。生まれたばかりの赤ちゃんのお口には虫歯菌はいませんが、唾液などを介してママや周囲の大人の虫歯菌が赤ちゃんのお口の中に入ってしまいます。赤ちゃんのお世話が忙しくて、通院するのも大変かと思いますが、ママの虫歯や歯周病を治療することは赤ちゃんのお口の健康を守ることにつながります。出産後も歯科医院を定期的に受診して適切な口腔ケアを心がけ、赤ちゃんへの感染を予防しましょう。