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八木下 恵子 院長の独自取材記事

八木下歯科医院

(台東区/浅草駅)

最終更新日:2022/05/24

八木下恵子院長 八木下歯科医院 main

浅草・かっぱ橋道具街近くにある「八木下歯科医院」は、開業から20年以上、地域の人々に親しまれてきた。「何もしゃべらずに澄ましていても、あなたは下町っ子でしょうと言い当てられてしまう」と笑う八木下恵子院長は、祖父の代から3代続く生粋の江戸っ子だ。そんな先生の人柄を慕って、子どもから高齢者まで幅広い年代の患者が訪れる。院長直筆の書が飾られた温かな雰囲気の待合室では、患者同士が和気あいあいとおしゃべりに興じる姿も。丁寧に患者の話を聞く八木下院長は、専門的な対応ができるよう臨床心理学の勉強にも注力するほど何事にも熱心だ。できるだけ歯を削らない治療を心がけ、地域の高齢化に伴い訪問診療も視野に入れているという八木下院長に話を聞いた。

(取材日2018年5月14日/更新日2022年5月2日)

地域住民に愛されるアットホームな雰囲気の歯科医院

ここで開院された経緯を教えてください。

八木下恵子院長 八木下歯科医院1

実はこの場所は実家なんですよ。私は浅草生まれの浅草育ちで、祖父の代からの江戸っ子です。ここでは、長く叔母が内科と小児科を開業していたのですが、叔母が亡くなった後、地元に根差したかかりつけ医になりたいという思いから、この場所に開業しました。大学では口腔外科を専門に学び、卒業後は東京女子医科大学の口腔外科に勤務していましたが、今は幅広く一般歯科を診療しています。患者さんの年齢層も幅広く、本当にいろいろな方がおみえになります。午前中は年配の方や保育園にお子さんを送った後のお母さんたち、午後になると学校から帰った子どもたち、5時を過ぎると会社員の方が訪れるという具合です。

子どもの患者さんも多いそうですね。

子どもたちからは、私のほうがパワーをもらっています。お子さんを産んだ後、歯科医院に行きたいけれど預ける先がないというお母さんたちには、「赤ちゃんを連れてきていいですよ」とお話ししています。お母さんがお子さんを膝に抱いたまま治療することもありますし、スタッフがお預かりして抱っこしていることもあります。ですから、スタッフを採用するときは、面接でお子さんが好きかどうか確認しているぐらいです。もう少し大きくなると、お母さんが診察している間、待合室で近所のおばあちゃんたちに遊んでもらうこともありますね。待合室の狭い空間がまるで保育園のようになっている(笑)。患者さん同士が、「ここでしか会えないから」とおしゃべりしていることもあります。そういうアットホームな歯科医院ですね。

お子さんの治療では、どのようなことに配慮していらっしゃいますか?

八木下恵子院長 八木下歯科医院2

初めてここへ来るお子さんはドアは開けたものの中へ上がってこないこともあります。それを何回か繰り返し、次はちょっと診察室のドアを開けてみるなど段階を踏むと、そのうち診察室にも入ってくるようになります。最初はお母さんと一緒に椅子に座ってもらって、「ここから風が出るよ」「ここからお水が出るよ」「これは口の中の掃除機だね」「お口を5つ数える間だけ開けようか」とトレーニングしていきます。1つできたらシールをあげるなど、とにかく褒めちぎって自信をつけてあげる。そのうち、「一人で大丈夫だから、ママはついてこなくていい」と言うようになりますね。また、当院では台東区の妊婦歯科健診を実施しています。妊娠中はホルモンの関係で妊娠性の歯肉炎になりやすく、そこから歯周病になることもあるので、ママになる前から健診を受けておくことが大切だと思います。

患者の声に耳を傾け、できるだけ歯を削らない治療を

できるだけ歯を削らない治療をなさっているそうですね。

八木下恵子院長 八木下歯科医院3

大学病院勤務の後、東京女子医科大学の教授だった先生が同窓の先生と開業された歯科医院に3年半ほど勤めさせていただいたことがあります。とても研究熱心な先生方で、お金にはかえがたいものを学ぶことができました。なるべく歯を削らない治療もそこで学んだことで、「接着ブリッジ」という治療法もその一つです。例えば前歯が1本駄目になったとき、インプラント、義歯、ブリッジといろいろな選択肢がありますが、手術はしたくない、削りたくないという方には歯と同じ形をした素材を接着剤でつける「接着ブリッジ」で治療しています。歯ぎしりをするなど、歯が取れてしまうリスクがある場合はできませんし、時間は多少かかりますが、通常のブリッジと比べてほとんど歯を削らずに済むため、患者さんには喜んでいただけるかと思います。

診療の際にどのようなことを心がけていらっしゃいますか?

一番大事だと思っているのは、患者さんの立場に立って考えるということですね。私自身の考え方ですが、歯科医院で診療を受けるなら「よく話を聞いてくれる先生に診てもらう」ことが一番だと思っています。だからこそ私自身も話をよく聞くことに重きを置いています。患者さんの要望を聞くことで「この患者さんは何を求めていらっしゃるのか?」を考え、一人ひとりのニーズに合わせていろいろとご提案をしています。もともと話をするのが好きなので、患者さんとのお話の中にヒントを見つけることもあります。実際に、すきっ歯が気になるという悩みを聞いて、歯の隙間を埋めるための施術も始めました。そういった積み重ねで患者さんから信頼を得て、「先生のところに来ると安心」と言っていただけるとうれしいですね。

先生は臨床心理学にも精通されているんですね。

八木下恵子院長 八木下歯科医院4

以前、メンタルの疾患を抱えた患者さんが来院されたとき、その患者さんがいろいろ話をしてくださったことから、「何か心理的なサポートができる資格を取ってもいいかもしれない」と思ったのがきっかけです。ちょうどその頃、大学の同級生が臨床心理学を専門的に学べる学校に通っていると聞き、私もより専門的に勉強して患者さんの力になれればと研鑽を積みました。精神的な悩みや疾患を抱えていらっしゃる患者さんは、問診票に病気のことや飲んでいるお薬のことはあまり書いてくださらないことが多いのですが、当院のホームページで告知してからは、問診票にきちんと書いてくださる方が増えましたね。カウンセリングをご希望の方には、当院がお休みの日などにきちんと時間を取って、自宅で話を伺っています。

最後まで患者を診続けたい思いから訪問診療をスタート

待合室に飾られている書は、先生がお書きになったんですか?

八木下恵子院長 八木下歯科医院5

はい。書を習っていて、お稽古には週に1回通っています。習い始めて14年になりますね。教室に着いて40分ぐらいはひたすら墨をするのですが、体は疲れていても気持ちがとても癒やされるんですね。例えば「明るい力をもらえるような言葉がいいね」と決めて師匠と相談したり、季節にふさわしい言葉を選んで書いています。作品を飾り始めた頃は、患者さんからの反響も特になかったのですが、東京でのオリンピック開催が決まった年に「おもてなし」という字を書いて飾ったところ、患者さんから「おもてなし、やっぱりいいですね」と言っていただき、見てくださっている人がいるのだなとうれしく思いましたね。

今後は訪問診療にも力を入れていくそうですが、訪問診療を始めようと思った理由は?

お若い頃から診ている方が高齢になられて通うのが難しくなっているケースがとても増えているからです。だからといって訪問歯科診療専門の先生に引き継ぐのも寂しいので、まずは近所の方から訪問診療を始めたいと思っています。現在は、ご要望があれば訪問診療をしますとはがきでお知らせするようなアプローチをし、少しずつ体制を整えています。歩くのが大変でも頑張って来てくださる意欲のある方もいらっしゃいますが、訪問する範囲も広げていけたらいいですね。また、台東区では75歳以上の後期高齢者を対象とした歯科検診を行っています。嚥下の状態を調べるのが主な目的の検査ですが、注意が必要な方にお伝えし、誤嚥性肺炎の予防などに役立てていただきたいと思います。

最後に読者へのメッセージをお願いします。

八木下恵子院長 八木下歯科医院6

受け持った患者さんを最後まで診続けるのが、私のめざすかかりつけ医です。開業して20年以上たちますので、最初は2歳ぐらいだった患者さんが、大人になっても通って来てくれたりするんです。それは歯科医師として非常にうれしいことですね。先日も幼稚園の頃から診ている子が結婚して、新婚旅行で行ったイタリアのお土産を持ってきてくれました。こういう小さな歯科医院ですけれど、そういったつながりを大事に、私にできることを精いっぱいやってお役に立っていきたいですね。

自由診療費用の目安

自由診療とは

接着ブリッジ/7万円~、床矯正/10万円、歯間空隙閉鎖術(歯の隙間を埋めるための施術)/1万~3万円
※詳細はクリニックにお問い合わせください。

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