百瀬 隆二 院長の独自取材記事
モモ・メディカル・クリニック
(豊島区/大塚駅)
最終更新日:2025/08/19

大塚駅から徒歩3分の「モモ・メディカル・クリニック」は、コンクリート打ちっぱなしとれんがを組み合わせたモダンな外観が印象的だ。院長の百瀬隆二先生は40年以上にわたり医療に携わってきたベテラン医師。消化器を専門としながら、外科、肛門外科、内科と幅広く診療し、中でも胃・大腸内視鏡検査に力を注いでいる。取材で語られた、「医師を信じて、任せてほしい」という百瀬院長の言葉。その真意とは何か? 40年以上の臨床経験と多くの患者を救ってきた実績に裏打ちされた、深い愛情と強い責任感がこの言葉に込められている。
(取材日2025年6月23日)
消化器内科を中心にオールラウンドな診療で地域に貢献
医師を志したきっかけと、外科を選んだ理由をお聞かせください。

もともと父が産婦人科医院を開業しており、幼い頃から父の仕事ぶりを間近で見て育ちました。多い時は毎日のように分娩があり、赤ちゃんの力強い産声が家中に響きわたっていたものです。産婦人科だけでなく、父の知人の外科の先生に協力していただき胆石や胃潰瘍などの手術を行うこともありました。そうした活躍ぶりを目にするうち「外科の先生ってかっこいいな!」という気持ちが芽生えてきたんです。産婦人科は生命の誕生に立ち会うとても素晴らしい職業ですが、私はスピード感にあふれ、手術という方法で患者の役に立てる外科の道を選びました。
どのような経歴を経て開業に至ったのでしょうか?
大学卒業後は順天堂大学第一外科に入局しました。当時の第一外科は消化器外科として食道、胃、大腸、肝臓、胆嚢、膵臓疾患、一般外科として乳腺、甲状腺、虫垂炎、痔疾患、ヘルニアなど幅広い外科治療を行っていました。大学および関連病院に15年在籍した後、他の病院で2年院長を務め、その後興味があった整形外科を1年と常に学びを深めてまいりました。外科医というのは、どれほど技術に自信があっても年齢とともにいずれメスを置く時が訪れる職業です。40代後半に入った頃、将来のことを見据えて次のステージへ進むタイミングではないかと考えるようになりました。そこで1997年に実家の医院をビルに建て替え、私が1階で新たにクリニックを開業し、父は5階で診療を続けるという形で地域医療への新たな一歩を踏み出しました。
こちらにはどのような患者さんが来院されますか? 診療内容も併せて教えてください。

20代の若い方から90歳を超えるご高齢の方まで、男女問わず幅広い年齢層の方がお越しになり、私の専門である消化器領域を中心に地域のかかりつけ医として多様なニーズに対応しています。具体的には、胸やけ、胃痛や腹痛、下痢が続く、おなかが張るといった症状を訴えて来院される方が多いでしょうか。当院では、豊島区の胃がん・大腸がん検診の精密検査にも対応していることもあり、胃・大腸の内視鏡検査を目的に受診される方も多くいらっしゃいます。内科では風邪やインフルエンザなどをはじめ、高血圧・糖尿病・脂質異常症といった生活習慣病、花粉症などにも幅広く対応。肛門科では「お尻が痛い」「出血した」といった痔疾患、外科では切り傷、巻き爪、粉瘤などの小外科処置が必要な方などさまざまなお悩みに応じています。
質の高い内視鏡検査で、早期発見・早期治療を
強みの一つである内視鏡検査について、どのような取り組みをされていますか?

当院では胃カメラ・大腸カメラともにBLIとLCIという特殊光観察モードを搭載した内視鏡機器を使用しています。これによって通常光では見逃されがちな粘膜表面の微細な変化や色調の違いも明瞭に映し出すことができ、特に早期がんの発見に大きな力を発揮しています。ポリープを見つけた場合はその場で切除も行っています。内視鏡検査に対して不安や抵抗を感じる方も少なくないため、ご希望に応じて鎮静剤を使用し眠っているような状態で検査を受けられる体制を整えていますのでどうぞご安心ください。多くの方より「思っていたよりも楽だった」との感想をいただけるよう努めております。
検査後の説明で工夫されていることはありますか?
初めて内視鏡検査を受けられた方には検査中の動画をご覧いただきながら、病変の有無や状態について説明しております。辛い物の過剰摂取やアルコール度数の高いお酒、喫煙などで、食道や胃、大腸の内側の粘膜が繰り返し刺激を受けると炎症を起こしたり、やがてはがんの原因となったりすることもあります。ですから検査は単なる診断のためだけではなく生活習慣を見直すきっかけにもなってほしいと考えております。また検査に限らず診療においては正しい情報を伝え、受診者の不安を取り除くため説明の時間を十分に設けるようにしています。受診者は自分がどんな状況にあるのか、病気がどう進むのかはっきり理解できていないために不安になるのだと思うからです。
先生が検査を重視される理由は何でしょう?

早期発見・早期治療につながるからです。早期の食道、胃、大腸がんであれば内視鏡手術で治療可能な場合もあります。進行がんの場合は手術、抗がん剤、放射線治療など身体的にも経済的にも大きな負担になります。早期発見・早期治療できれば、「がんになったとしても怖くない」と言えると思うのです。内視鏡的治療で済めば体の負担が少なく、医療費も抑えられる。こうした早期発見・早期治療の大きなメリットを得るためには検査が欠かせないのです。
たしかに、早期発見・早期治療には大きなメリットがありますね。
40年以上前、私が医師になった頃はがんが再発した場合は数ヵ月しか生きられない時代でした。手術しても抗がん剤が効かず患者がつらい思いをする姿を数多く見てきました。今は医療が進歩しましたがそれでも抗がん剤で髪が抜けたり、味覚障害が出たりと副作用との闘いは続きます。また、治療にかかる高額な医療費負担も生じます。早期発見できればそんなつらい治療を受けなくても済みます。ですから、当院では「症状がなくても一度は内視鏡検査を」とお勧めしています。早期発見につながるよう区の検診も積極的に活用し定期的に検査を受けてもらいたいと思います。患者につらい思いをさせたくないその一心で早期発見・早期治療を訴え続けています。
医師を信じることが最良の医療への第一歩
医師になって40年以上。今、先生が思うことは?

ひとことで言うと「医師を信じて、任せてほしい」ということですね。最近はインターネット、情報番組、書籍など情報があふれています。中には友達に言われた、ネットで調べたらこうだったと言って受診する方もいらっしゃいます。私自身も何か体調に変化があった場合、診察を受けることもあり信頼している医師にすべてお任せしています。例えば、自動車を運転するのには運転免許証を保有し免許証を賭して運転していませんか。私も医師免許証を賭して日常診療に取り組んでおります。信頼関係なしに最良の医療は成り立ちません。転居後も通院し続けてくださっている方もいらっしゃいますし、30数年前に父の医院で産声を上げた方が3代にわたり来院していただいております。まさに私にとってのこの上ない幸せです。
長年のご経験と深い知識に裏打ちされた信念だと感じます。
インターネットには玉石混交の情報があふれており一般の方にはその真偽を見分けることは難しいと思います。実際に診察を受け専門の医師の判断を仰ぐことが重要だと思います。私たちは日々多くの方を診察し、医学知識のアップデートに努めております。インターネットの情報に振り回されるより、まずは信頼できる医師に相談していただきたいと強く願います。
最後に読者へのメッセージをお願いします。

私たちの時代の外科は守備範囲がすごく広かったので、何でも診るのが当たり前という環境で育ってきました。ですから、当院は消化器、外科、肛門科、内科を中心に診ておりますが、心臓疾患や婦人科疾患など専門外でも見逃さないよう常に注意深く診察しています。意外に思われるかもしれませんがおなかが張ると訴えて受診した方に、触診をするとしこりが見つかり、CT検査の結果子宮がんが疑われ高度医療機関に紹介するケースも考えられます。ちょっとした不調を診察すると心筋梗塞とわかり、専門の医療機関につなぐ場合もあり得ます。受診者に「診てもらって良かった」と安心して帰っていただけることを一番に考えていますし、これからも早期発見・早期治療で皆さまの健康と幸せな生活を支えていきたいと思っております。