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平井 貴志 院長の独自取材記事

平井医院

(豊島区/雑司が谷駅)

最終更新日:2026/09/07

平井貴志院長 平井医院 main

雑司が谷駅から徒歩圏内、住宅地の一角に懐かしい造りの店舗が連なる商店街「弦巻通り商友会」を抜けると「平井医院」が見えてくる。取材班を迎えてくれたのは、終戦後この地でクリニックを開業した父の後を継ぎ、12年前に院長に就任した平井貴志先生。内視鏡検査をはじめとする胃腸科系、消化器系の診療を得意とするドクターだ。患者の要望に沿った医療を提供することを第一のモットーとする平井先生に、診療のこだわりや年々需要が増える在宅医療について聞いた。

(取材日2014年4月16日/情報更新日8月28日)

医局員時代の下積みが大きな糧に

こちらの医院は先生のお父さまが開業したそうですね。

平井貴志院長 平井医院1

雑司が谷で生まれ育った父が終戦後にこの地で開業しました。地元の住民の皆さんと世間話をするかのような父の診療風景は子ども心に医師への憧れを抱かされました。私には兄がいるのですが、兄は音楽の道に進んだので、「自分が後を継ぐしかない」と思い、医師の道を選びました。大学病院を退職して当院で働き始めてしばらくは父と一緒に診察をして、父が大きな病気を患った12年前に私が医院を継承しました。患者さんは、ほとんどが地元の方々です。私のことを小さい頃から知っている方ばかりなので気恥ずかしい面もありますが、同級生やそのご両親がお孫さんと一緒に来院されたときなどは町のかかりつけ医としてやりがいを感じる瞬間ですね。

大学を卒業してから医院を継承するまでの歩みについてお聞かせください。

日本大学医学部を卒業後は母校の医局に入りました。静岡の病院や足立区の東部地域病院、東京都がん検診センターなどに出張し、臨床の合間に研究を行うという生活でした。研究テーマはがんを含めた大腸にできる腫瘍全般。血液や内分泌系は数字などの要素で考えなければいけないのですが、消化器系は画像診断がメインで、見たままで勝負できるところが自分に向いているのかなと思ったのです。研究の内容は、内視鏡の肉眼的所見を当時始まった大腸がんの遺伝子分析と絡めて診断をつけるというもの。今は総合臨床制度のもと、幅広い診療に対応する医師を育てようという流れですが、私が医局に入ったばかりの頃は内視鏡に触れる機会というのはカメラを洗浄するときぐらいでした。下働きが多かったわけですが、おかげで内視鏡のカメラの構造を理解することができたわけですし、振り返ってみるとその期間が最も今の自分の糧になっているのではないかと思います。

こちらの医院で働き始めたきっかけは?

平井貴志院長 平井医院2

大学病院で務めていた内視鏡室長の任期終了が近づいていたこともありましたが、一番の理由は父が大きな病気を患ったことですね。働き始めるにあたって、私の専門である内視鏡検査や超音波検査の設備を導入しました。しばらくは消化器系を専門に診療を行っていたんですが、父が年を取ってきたこともあり、徐々にその他の診療も引き継いでいったという形ですね。当院は駅から離れた住宅地にありますし、規模もそれほど大きくないのであまり多くの患者さんには対応できません。現状を維持しながら、在宅医療も含めて長い期間お付き合いできる町のかかりつけ医であれればいいと思っています。

町のかかりつけ医として往診や在宅での看取りにも注力

地元の方以外にも、先生の専門である消化器系の診療を受けに来る患者さんが多いそうですね。

平井貴志院長 平井医院3

そうですね、紹介で来院する方も多いです。最近では便秘や下痢が長く続く「過敏性腸症候群」といった機能性の病気を抱えている方も少なくありません。また、「潰瘍性大腸炎」という慢性の腸炎を抱えている方も増えてきました。この病気は自己免疫なのかアレルギーなのか、もしくは感染なのかまだはっきりとした原因が解明されていません。ただ、若年層で発症することが多く、若い方で下痢や下血が続いた場合は潰瘍性大腸炎を患っている可能性が高いです。かつては大学病院で扱うような疾患だったのですが、患者さんの数が増えてきたので、当院のようなクリニックでも診療する必要が出てきたのです。中程度の重症度であれば内服でもずいぶん効果が期待できるのですが、白血球除去療法や免疫抑制剤を用いなければならない重症度の患者さんは大きな病院を紹介しています。

内視鏡検査ではどのようなことを心がけていますか?

胃の内視鏡はカメラを鼻から挿入する経鼻内視鏡と口から入れる経口内視鏡のどちらにも対応しています。大腸の内視鏡では、患者さんに恐怖感や苦痛を与えないよう、楽しい会話をしながら行っています。大腸というのは伸びやすい臓器で、患者さんは腸のひだが伸ばされることによって痛みが生じます。そのため、なるべく腸を伸ばさずにひだを折り畳みながら挿入することがコツ。内視鏡で大腸がんを発見することも多く、粘膜内に止まっている早期のがんはその場で治療することも可能です。患者さんから「今までで一番楽に受けられた」と言われるとうれしいですね。

往診の需要は増えているのでしょうか?

平井貴志院長 平井医院4

豊島区には高齢のご夫婦のみの世帯や高齢独居世帯が多く、老老介護状態にある方も少なくありません。ですから町のかかりつけ医として、ご高齢の患者さんや認知症患者さんに対して、往診や在宅での看取りを行っています。「病院でできる限り医療を受けたい」「自宅で最期を迎えたい」など、患者さんのニーズは十人十色。これは外来の診療でも言えることですが、特に往診では患者さんが何を求めているかを的確に把握するように心がけて、その要望をくみ取り、適切な医療提供につなげています。また、それぞれの患者さんが最適な医療を受けられる場に振り分けることも町のかかりつけ医の役割の一つですから、必要に応じて、日本大学や帝京大学、東京都立大塚病院、国立国際医療研究センター、国際長寿センターといった連携する医療機関に紹介しています。

ストレスをため込まず、楽しい日々を送ることが大切

お子さんが抱えている疾患で最近気になることはありますか?

平井貴志院長 平井医院5

小学校高学年ぐらいのお子さんでもストレス性の胃腸炎を抱えているケースが増えてきました。中学生で胃潰瘍ができていたという症例もあります。幼少時のピロリ菌感染が原因になっているケースが考えられるので、治療法としては、除菌がベターかと思います。ただ抗生剤を大量に飲むので、あまり小さなお子さんだと容量を調整する必要があります。親子の時間を十分に設けることが、精神的な発育の面でも、将来の病気を予防する面でも効果があると思っています。それから、消化器疾患というのはストレスが原因になることが多く、最近では子育てにストレスをため込んでしまって胃潰瘍を患うお母さん方も非常に増えています。楽しい日々を送ると消化器にもいい影響を与えるので、子育てや家事は周囲と協力して楽しく励んでいただければと思います。

休日の過ごし方や趣味についてお聞かせください。

昔は、夏なら湘南や千葉にサーフィンに、冬なら群馬のほうにスノーボードに行っていたところ、近頃は医師会の活動が忙しく、なかなか休日が取れませんが、予防や検診など地域との関わりを学べることは大きいです。コロナ禍以前は、趣味というと近場に美味しいものを食べに行ったり、息子のライブに行ったりすることでしたね。息子はウクレレをやっているんですが、もともと息子がウクレレを始めたのは、私が一緒にギターを弾きたいと思って教えたことがきっかけです。子どもだったのでギターではうまくフレットを押さえられない。じゃあウクレレがいいだろうと与えたら本職になってしまったというわけです。今でも一緒に演奏することもありますよ。息子が曲を考えているとき、「このコードがいいんじゃないか」とアドバイスをするんですが、「それはダサいよ」と言われてしまうこともありますね(笑)。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

平井貴志院長 平井医院6

今は病気が本当に多様化してきて、先ほどの過敏性腸症候群のように日常のストレスが原因の疾患が増えてきています。胃の病気でも「機能性ディスペプシア」という自律神経系の調節障害を抱えている方が多くいらっしゃいます。そのような病気は薬を処方すれば治るものではないだけに治療も難しいですが、当院では患者さんの声に耳を傾け、一人ひとり異なる要望にお応えするよう努めています。内視鏡検査は時期によって異なりますが、胃と腸どちらも予約から1ヶ月以内には受診できるように対応しています。予約は電話からでもできるのでお気軽にご相談ください。また、往診も随時受けつけています。医師会の在宅相談窓口を通してでもいいのでぜひ相談していただければと思います。