大森 悠 院長の独自取材記事
代官山デンタルサロン
(渋谷区/代官山駅)
最終更新日:2025/05/12

代官山駅北口よりすぐ近く、かわいらしい立て看板が目印の「代官山デンタルサロン」。爽やかな香りが漂うアットホームな院内で、患者一人ひとりに丁寧なカウンセリングと治療を行うのは院長の大森悠先生。補綴治療とインプラント治療に力を注ぎ、他の歯科医院からの紹介も多いそうだ。近年は、さらなる治療の精度向上や感染症対策に向けて、新たな院内設備も導入。その詳細について、大森院長に詳しく語ってもらった。
(取材日2024年11月12日)
治療の精度を追求し、口腔内の総監督としてサポート
新型コロナウイルス感染症の流行を経て、設備面や取り組みなどで変わったことはありますか?

世の中では新型コロナウイルス感染症を含め、感染症に対する予防意識が高まりましたよね。当院でも、新型コロナウイルス感染症の流行をきっかけに、院内で使用するお水を強力な除菌水に変化させる機器を導入するなど、設備投資を行いました。診療前には患者さんに除菌水でうがいをしてもらっています。治療面での大きな変化は、口腔内スキャナーを導入したことです。従来の印象材を使った型採りと比べ、口腔内スキャナーは患者さんの不快感はほとんどありませんし、時間も短縮できます。印象材や石膏模型だと発生の恐れもある誤差やエラーがなくなり、治療の精度が向上しました。訪問診療で高齢の寝たきりの患者さんに対しても、安全面で有用です。さらに、医療者側にとっても、歯列データをデジタル管理できること、印象材などの材料費や保管場所が不要なこと、スタッフの衛生管理につながることなど、いいこと尽くめですね。
患者層や診療で大切にしていることをお聞かせください。
小さなお子さんから70代、80代の年配の方まで、家族ぐるみで来院される患者さんが多いです。時間帯によっては、小児歯科と間違えそうなほどお子さんばかりになることも。また、北海道や沖縄県など遠方に転勤された患者さんが、東京出張の際に来院されることも珍しくありません。当院はインプラント治療など特殊な治療に対応していますので、他の歯科医院からの紹介も多いですね。診療で大切にしているのは「患者さんが自分の家族だったら、どういう治療をするか」を常に考えること。お一人に1回30分から1時間ほどかけてじっくり診療するスタイルをとっていて、初診の際は必ず1時間取り、問診や検査を経て、治療の選択肢をご提案しています。もちろん、患者さんのご希望なども踏まえ、ご相談しながら進めていきます。痛む部分がない限りは、いきなり治療が始まることにはなりませんし、今痛む部分だけ治療するというイメージは持っていないんです。
「痛むところだけを診る」のではないんですね。

患者さんのお口の中全体を良くしたいと思っています。患者さんは「ここを治してほしい」とご希望をお持ちですが、他にも気になる箇所があればすべてお伝えするようにしています。私は口腔内の総監督みたいなもので、歯はもちろん顎の関節など口腔全体を診て、どういった治療が必要か、長期のプランをご提案しています。この先10年後20年後、お口の中がどうなっているかを見据え、今はここにお金をかけるべきというお話をすることも。そのため「ここだけ治療してください」と言われても、「その前にまずここを治療しましょう」とご提案することもあります。一回の治療に時間をかけるのは患者さんの来院回数を減らして差し上げたい気持ちもあります。遠方からおいでの方など、10分15分の治療では、交通費のほうが負担になってしまいますから、そのあたりはいつも意識しています。
デジタルを活用し、より安心・安全な歯科治療をめざす
こちらの補綴治療について教えてください。

歯がなくなってしまったところをかぶせ物や義歯などで補うのが補綴治療ですが、大切なのは「それを何で置き換えるか」です。インプラントなのか、ブリッジなのか、義歯なのか。患者さんのためにも、さまざまな選択肢を用意しておく必要があります。症状によってインプラントがいい場合もありますし、ブリッジや義歯がいいということもあるでしょう。その患者さんのライフステージに沿った治療をご提案していきたいですね。ただ、噛む機能を保つ目的を考えると、インプラントという選択肢を採用することが多いかもしれません。保険診療か、自由診療かによって使える素材も変わってきますので、患者さんのご希望もお聞きして、治療を進めています。
自由診療では、ジルコニアを推奨しているとお聞きしました。
歯科材料は改良が進み、特にセラミック系のジルコニアは品質が向上しました。素材はもちろん、噛み心地も良くなりましたし、こんなに便利なものはないなと。例えるならば、カレーライスのお皿。お茶碗に入れた場合とプラスチック容器に入れた場合、洗った後にツルツルになるのはお茶碗ですよね。プラスチック容器は黄ばんだり、くすんだりします。このお茶碗がジルコニア、プラスチック容器が保険診療のプラスチックと考えてみると、見た目は似ていても、機能が全然違うことがわかるはずです。
歯科治療も日々進化しているのですね。

口腔内スキャナーもそうですが、デジタル化が進んだ今、歯科治療においてもデジタル化に向けた設備投資が大切だと感じています。もちろん、職人技のようなアナログも欠かせませんが、そこにデジタルを加えることで、時間短縮だけでなく、エラーが少なくなって治療の精度が向上するので、安心・安全につながると思うんです。さらに、カルテの電子化は小さなクリニックにとって課題となる保管場所の問題も解決してくれます。このように、日常にデジタルを取り入れることには、たくさんのメリットがあると思います。
補った歯を長持ちさせるために定期的なメンテナンスを
先生はなぜ補綴を専門になさったのですか?

歯のない年配の方のQOLを上げることができたらと、歯科医師になって最初に入ったのは義歯を作る部門でした。しかし、インプラント治療という選択肢を必要とされる患者さんもいることを実感し、インプラント治療の勉強を始めました。二子玉川で開業している私のお師匠さんのクリニックに、週2日、数年間通い技術を学びました。また、日本の歯科医師はオールラウンドに何でも手がける先生が多いのですが、私は専門の先生がチームを組んでトータルで患者さんを診るのが、結局は患者さんの利益につながると考えています。例えば歯内療法の必要な患者さんの場合、私が治療するよりは、歯内療法に精通している前院長の大森さゆり先生が担当したほうがより良い治療となると思います。
訪問診療もなさっているそうですね。
老人ホームとリハビリテーション病院を対象に、週に1~2回、多い時は3回ほど治療に行っています。老人ホームでは入居なさっている方の誤嚥性肺炎を防ぐための口腔ケアや、義歯の調整、新しい義歯の作製がほとんどです。リハビリテーション病院では、ベッドの上で長期間過ごさなければならない方がお食事しやすいように、お口の中の健康を維持しようとサポートしています。場合によっては言語聴覚士や理学療法士と一緒に、脳梗塞の後遺症などで舌の動きが悪くなり、うまく嚥下や発音のできなくなった方に、義歯にちょっと工夫をして飲み込みや発音がしやすくなるようなお手伝いもしています。そもそものきっかけは病院側が義歯の得意な歯科医師を探していて、たまたま私にお声がかかったのですが、もう12年ほど通っていますね。体力的につらいこともあるのですが、求めていただけるうちはと思って頑張っています。
最後に、今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

私が診られる患者さんの数には限りがありますし、今後も規模を拡大することなく、目の前の患者さんに向き合っていきたいです。患者さんは私を選んで来てくださるので、私もその期待に応えていきたいですね。歯内療法を専門とする妻と協力し合い、一人ひとりを生涯にわたってずっと診ていけたらと思います。また、当院は治療を施し、歯のなくなった箇所に補ったものを長期にわたって維持していただけるようメンテナンスをするという意味で、予防歯科にも力を入れています。大人の歯は二度と生え替わりませんし、年齢とともに歯も変化しますから、患者さんには歯を大事にしていただきたいですね。自分の歯にもっと意識を持ち、何もなくてもメンテナンスで歯科医院に来てほしいです。そうしてメンテナンスをしていても、虫歯になったり、失ってしまったりした歯は、歯科医師の力を借りてください。いつでもお役に立ちたいと思っています。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント治療/44万円~、ジルコニアインレー/7万7000円~、歯列矯正(全顎)/66万円~、マウスピース型装置を用いた矯正(上下)/44万円~(症例によって異なる)
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。