痛みの根本原因にアプローチ
保険による片頭痛の治療と予防
品川ストリングスクリニック
(港区/品川駅)
最終更新日:2022/03/07
- 保険診療
気圧の変化や女性ホルモンの影響、あるいはまぶしさ、におい、人ごみなど、発症にはさまざまな要因が絡むとされる「片頭痛」。仕事や学校など日常生活に支障を来すだけでなく、急な発作で約束のキャンセルが続くなど、家族や友人との関係に悪影響を及ぼすこともあるといい、心身ともにつらさを抱えながら痛みに耐えて生活している人も多いのではないだろうか。片頭痛の治療は、痛みを鎮めるための内服薬による急性期治療に加えて、2021年から日本国内でも発作予防を目的とした注射薬が保険適用となり、注目を集めている。これまでに数多くの頭痛治療を手がけ、予防薬も早い時期から取り入れている「品川ストリングスクリニック」の山王直子院長に、片頭痛の発生メカニズムや、新たな予防薬の特徴と安全性について詳しく聞いた。
(取材日2022年2月22日)
目次
治療の選択肢が広がり、痛みのコントロールが図れることも。慢性化する前に早期の受診を
- Q片頭痛の原因について教えてください。
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A
脳の血管拡張によって引き起こされるのが片頭痛ですが、そのメカニズムについても近年かなり解明されてきています。有力な説として、気圧や気温の変化、女性ホルモンの変動など何らかのストレスによってCGRPという神経伝達物質が放出され、これが増えることによって受容体である三叉神経に結合し、痛みシグナルが脳に伝わって片頭痛が起こると考えられています。片頭痛と診断された方のうち、年間2.5~3%が慢性化するといったデータも存在し、早期に適切な治療を受けることが大切です。
- Q片頭痛には予防薬があると伺いました。
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A
2021年に片頭痛発作の発症抑制が期待できる薬が日本でも発売され、保険診療で予防に取り組めるようになりました。CGRPの働きを抑えるという機能を持つ、片頭痛本来のメカニズムに合った薬であることから、成果が期待されており、海外でのエビデンスの蓄積もあります。治療は注射による1ヵ月に1回の投与が基本。急性期治療薬を併用せずに痛みのコントロールを図れるケースも多くあり、当院では2021年4月の発売から導入しています。
- Q予防薬はどこでも処方可能なのでしょうか?
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A
ひと口に頭が痛いと言っても、緊張型頭痛をはじめ、連日のように激しい痛みが続く群発頭痛、脳卒中やくも膜下出血といった疾患による頭痛など実に多岐にわたりますから、それらを明確に見極める診断がとても重要です。この予防薬は片頭痛にしか適用できないため、頭痛診療を5年以上行っている医師であることなど取り扱うにはさまざまな条件があります。いわば「頭痛のスペシャリスト」が取り扱うことがルールになっていますので、希望される場合は受診前にあらかじめ確認することをお勧めします。妊娠中の方と18歳未満の方には使用できませんが、基礎疾患などによる制限はなく、高齢の方でも使うことができます。
- Q治療期間や副作用についても詳しく教えてください。
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A
1ヵ月に1回の通院時に注射をして、3回終了したところで発作回数の推移や日常生活への支障度の変化をチェックします。成果が見られる場合は、ご本人の希望に応じて同様のペースで治療を継続することができます。日常生活に支障がなくなった場合、いつでもやめることはできますが、現状では「また頻回な頭痛が起こるかもしれない」といった不安から継続を希望されるケースが多いようです。副作用は主に注射部位の軽度の腫れや痛み、便秘などで、現在のところ重篤なものは報告されていません。注射後の眠気や倦怠感、発熱なども報告されていないので、治療で通院した当日や翌日の生活への影響を気にせず、安心して使うことができるでしょう。
- Qこちらは頭痛以外にも、幅広い診療に対応されているそうですね。
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A
そうですね。当院は私の専門である脳神経外科や頭痛の診療を核としつつ、甲状腺、婦人科、内科、漢方など各分野の専門家による総合診療を行っています。頭痛が重篤な疾患のサインになることもありますし、女性特有の不調までトータルで診られる体制を整えることで、より多くの患者さんのお役に立てればと考えています。品川駅港南口から徒歩1分という立地が初めての方にもわかりやすく、アクセスのしやすさから仕事や子育てなどに忙しい日々を送られている30~50代の患者さんも大勢来院されています。ウェブ予約でスムーズに受診できますので、頭痛にとどまらない総合的な健康管理にぜひご活用ください。