山王クリニック

山王クリニック

山王 直子院長

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品川駅港南口に広がるデッキを通って、1分も歩くとあるグレーのビル6階が「山王クリニック」だ。周辺には高層のオフィスビルが華やかに立ち並ぶが、道幅もゆったりしているため、クリニックに入ると広く窓の取られた明るい待合室が出迎えてくれる。院長の山王直子先生は小柄ながら、ハキハキとした優しいオーラの持ち主。著書やテレビ出演などメディアでの露出も多い先生に、その経験を生かして行っている診療や発信されている思いについて語ってもらった。
(取材日2016年11月30日)

脳は、その人そのもの。神秘的な美しさに惹かれて

―脳神経外科で女性のドクターは珍しいですね。

そうですね、医局でも女性用の更衣室はありませんでした。緊急手術も多く、時間的拘束の負担が大きい科ですから、今も昔も女性は少数派ですね。私も、もともと身内に医療関係者がいたわけでもなく、いわゆる開業医のお医者さんのイメージから、内科か小児科に進むのかなと思っていました。ですが、いろいろな科の勉強をする中で、脳を見たときに、その美しさに魅了されてしまったんです。頭蓋骨を開けると、硬膜というろ紙のような硬さの白い膜があります。それを切り開くと、透明な髄液に白子のような脳が浮いているんですね。その様子が、私の美意識にピタリとはまってしまいました(笑)。また、外科では自分の手で実際に手術を行って患者さんを治すという直接的なところがあり、それが性分に合っていましたね。

―手術を数多く行われていたのですね。

病院に勤めていた20年弱の間に、脳の手術は数多く行ってきました。また、アメリカに留学して脳下垂体の研究で博士号を取得もしました。現場では、ERなど救急救命センターが今のように一般的になるまでは脳神経外科がその役割を担っていましたから、救急車が到着すると走っていって……というのが日常でもありましたね。一人でも多くの命を助けたい一心でしたが、脳疾患で倒れた時点でかなりの率で重い後遺症を覚悟せねばならないのも事実でした。運び込まれると同時にご家族に、治療後のリハビリのための転院についてや、そのリハビリも最初の3ヵ月が肝心であとは回復もあまり見込めないことなど、現実を突きつけるようなご説明をしなくてはならないんですね。当初は命だけでも何とか助けてとおっしゃるご家族が、半年、1年と経つにつれ疲弊されていくのも数多く見てきました。

―脳神経外科の病院での医療に、限界を感じられたわけですね。

人間の体は不思議なもので、肝臓や肺は取ってしまっても他の臓器が代わりをできるんです。けれど、脳だけはすげ替えの効かない、かけがえのない存在なんですね。それに、人の心と言いますが、実際にその方の人となりを形成しているのは脳なんです。その人そのものだから、脳を損傷してしまうとその人らしさが損なわれてしまうことが少なくないんです。そういう悲劇に至らせないためにも、予防医学を前面に行っていきたいと開業をしたのです。2004年のことでした。

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