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降矢 英成 院長の独自取材記事

赤坂溜池クリニック

(港区/溜池山王駅)

最終更新日:2020/04/27

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ストレス社会といわれる現代では対人関係に悩み、体の不調を訴えることは珍しくない。病院で診てもらったのに一向に体調が変わらない、一度は良くなったものの、学校や会社に行くとすぐにまた体調を崩してしまう……。そんな悩みを抱える患者たちの注目を集めるのが、ホリスティックの視点を重視しながら診療を行う「赤坂溜池クリニック」だ。院長の降矢英成先生は、受験のストレスでつらい悩みを抱えた経験が今の自分に大きく影響していると朗らかに笑う。そんな降矢先生に、ホリスティックの考え方や診療への熱い思いをじっくり聞いた。
(取材日2020年4月2日)

心も体も丸ごと診る「ホリスティック」の考え方を重視

まずはクリニックの概要について教えてください。

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医学生時代、「体の病気は心のストレスから起こる」という考えに衝撃を受けた私は、心身医学を学ぼうと決意し、ホリスティックの考え方を取り入れてがんの診療を行っている帯津三敬病院で学びました。当院を開業したのは1997年。当時、ホリスティックの観点を用いた診療を行っているクリニックはほとんどなく、だからこそやらねばという思いでした。以来、20年以上にわたり、心療内科と精神科の分野において、患者さんを1人の人間として全人的に診るホリスティック(全体的)の考えを重視した診療を行ってきました。都心のオフィス街からはもちろん、神奈川や千葉からも心にストレスを溜めすぎて体の調子を崩してしまった方や、病院で診てもらったのに一向に症状が改善しない方、うつ気味の方、発達障害が気になる方、対人関係でお悩みの方など、さまざまな方が「つらい」と訴えて来られます。

そもそも「ホリスティック」とはどのような考え方なのでしょうか。

ホリスティック(Holistic)という言葉は、「全体」「関連」「つながり」「バランス」という意味を包含するギリシャ語の「ホロス(holos)」が語源で、そこから派生した言葉にwhole(全体)、heal(癒やす)、health(健康)、holy(聖なる)などがあります。体だけでなく、心や魂、さらには環境の面も含めてとらえる包括的な視点で人間を丸ごと診るのがホリスティックの考え方です。現れた症状だけを診て治そうとする対症療法ではなく、すべてのつながりの中から本質的な原因を突き止めていき、その方に合うアプローチをしていく原因療法といってもいいかもしれません。

精神科と心療内科の違いについて教えてください。

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精神科は心の病を診る科で、心に受けたストレスなどによって現れる精神的な症状を対象とします。不安や落ち込み、パニックなどの気分症状、幻聴や幻覚などの精神症状、こだわりや物忘れなどの認知症状、不眠などの睡眠症状などが精神科の対象となり、投薬ベースの治療がメインです。心療内科は内科の一分野で、心に受けたストレスなどによって現れる身体的な症状を診る科です。吐き気や頭痛、全身倦怠感、胃痛、過敏性腸症候群などの身体症状があり、その背景に心理的な理由が思い当たる方や、これらの症状で専門科を受診したにも関わらず異常が認められなかったという方が心療内科の対象となります。当院では、そういった精神科・心療内科の対象となる患者さんを、体・心・魂・環境(人間関係など)の視点から全体的に捉えて不調の原因を探り、投薬などの医療行為に加えて、さまざまなアプローチを合わせながら治癒をめざしていきます。

投薬に頼らず、さまざまなアプローチから改善を促す

実際、どのような診療を行うのでしょうか。

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まずは内科など、何か他の診療を受けているかを確認します。その後、簡単な心理テストを受けていただき、結果を見ながら相談内容を伺っていきます。睡眠や食事が取れているかどうかも重要なチェックポイントで、場合によっては症状を抑えるための薬も処方します。ぐっすり眠れたり、不快な症状が和らいだりするだけで元気になる方もいるからです。きちんとした医学的根拠に基づき、必要であれば薬や西洋医学も使います。心や食生活、生活環境まで含めて全体的に診て、患者さん自身の希望も考慮しながら、心理療法、食事栄養指導、運動指導などを行い、必要であれば、患者さんによっては整体や鍼灸、アロマなどをご紹介させていただくこともあります。

人間関係のストレスで悩む患者も多いそうですね。

「絶対にあの上司のことは許せない」「自分がこうなったのは親のせいだ」とつらい心情を吐露される患者さんも少なくありません。そこまで言っている相手のことをいきなり許せといっても、それは無理な相談です。でも、よくよくお話を伺っていくと、相手にものすごい悪意があったわけではなく、人としての器量や視野が狭かったために、指導や愛情がずれてしまっていたとわかることもあります。その時の相手の立場や状況を理解できてきた頃に、「相手にそこまで悪気があったと思いますか?」と尋ねると、ほとんどの方は「そうは思わない」と答えられます。自分が完璧な人間でないのと同じように、相手も完璧ではないと気づいた時が許しへの転換期。つまり相手のことを理解できるようになると、自然と許せる気持ちになってくるんですね。

トラウマを抱えた患者の診療はどうされているのでしょうか。

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ひどいパワハラや虐待の場合は論外ですが、まずはつらい気持ちを伺い、少しずつ背景にある人間関係を紐解きながら問題の本質を絞り込んでいくようにします。心の奥底に幼少期に受けた心の傷があるケースが多いですね。それがトラウマのような深い傷になっている場合は、いきなり言葉で核心に触れようとするとショックな記憶が蘇ってしまうことがあります。そこでまずは、それまでその人を苦しめていた記憶や感情に対する捉え方や解釈をポジティブなものに変えていくように促していきます。捉え方を変えることで、つらい出来事を乗り越えるお手伝いができれば幸いです。

快方に向かっていくためのガイド役を務める

印象に残っている患者のエピソードを教えてください。

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とても繊細で、心に傷を抱えながら生きて来られた男性が来られました。言葉や治療だけでは足りないと思い、アロマトリートメントを試すことにしたんです。早速、専門のスタッフがアロマオイルを使ってマッサージをはじめたところ、「こんなに優しくされたのははじめて」と泣いてしまったそうです。何がその人の琴線に触れるかわかりませんが、現代医学に基づきながら、総合的にマネジメントしていくのが、このホリスティックの考え方を学んできた私の役目だと思っています。患者さんが自分の足で歩きだすためのガイド役ですね。

今後の展望についてお聞かせください。

原因不明の長引くつらい症状に悩んでいる方が年々増えてきているように思います。心と体を分けて考えない心身医学の考えに、魂やその人が背負ってきた人間関係などを含めた環境などすべてを包括的にみるホリスティックな考えが加わり、さらにはエネルギー心理学という領域からのアプローチなど、可能性がどんどん広がってきています。20年前は考えられなかったことです。しかし、ホリスティックについてはまだまだ誤解も多く、当院のベースとなる心療内科の診療の多くを保険診療で受けていただけることなども知っていただきたいですね。今後も臨床・研究・啓発のバランスをとりながら、患者さんのためにより良い治療を提供できるよう、新しい医療についても学んでいきたいと思っています。

最後に読者へのメッセージをお願いします。

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心の状態や体の状態は自分ではなかなか気づきにくいもの。さらに自分で症状の軽い、重いはわかりにくいものです。当院には「こんなことで来ても良かったでしょうか?」という患者さんも大勢いらっしゃいますが、日常生活で困っていること、またつらいことや悩んでいることがあれば、遠慮なさらずにいらしてください。治療の主役は患者さん自身で、医師はあくまでもガイドです。現代医学だけではとらえきれない領域まで含めたホリスティック医学の考え方も生かしながら皆さんの悩みに真摯に向き合い、治癒への道のりをガイドさせていただきます。どうぞお気軽にご相談ください。

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