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村林信行 院長の独自取材記事

アーツクリニック大崎

(品川区/大崎駅)

最終更新日:2021/10/12

村林信行院長 アーツクリニック大崎 main

ストレスの予防、体と心の不調の早期回復を通して人々のメンタルウェルネス、心の充実感の実現をめざす「心療内科アーツクリニック大崎」。大崎駅から徒歩1分とアクセスもよく、働く世代のサポーターとして、患者から厚い信頼を得ている。村林信行院長は東邦大学大森病院や聖路加国際病院の心療内科、横浜相原病院心療内科医長を経て2004年に開院。都会で忙しく働く人々が、通いやすいクリニック作りを目標としている。大学病院に行かずとも、同等レベルの治療が受けられるように、ドクターや心理士など専門性の高いスタッフが揃っている点も特徴の一つだ。「診療では患者さんの感情・考え方の癖・行動の特徴などを評価し、患者さんに適した問題解決法を考えていきます」と優しく語る村林院長。開業の経緯から診療方針、ストレスや心療内科との付き合い方など、たっぷりと語っていただいた。

(取材日2013年6月19日)

大学病院と同等の専門性の高い治療をリラックスできる環境で提供

開業までのご経歴について教えてください。

村林信行院長 アーツクリニック大崎1

東邦大学を卒業後、出身である東邦大学の心身医学研究室に入局しました。その後、聖路加国際病院の心療内科、横浜相原病院心療内科医長を経て、2004年に開業しました。勤務医時代と一番違うのは、自分のクリニックに患者さんが来てくださることが、本当にうれしいと感じることです。大きな病院ですと、病院の名前を信頼して来院される方が多いでしょう。しかし、開業医は自分を信頼して来てくださっているという思いがありますから、外来が混んでいること自体は苦ではありません。心療内科は他の科よりも患者さん一人ひとりの診察に時間がかかります。例えば、午前中の最後の患者さんの診察が14時頃までかかり、またすぐに午後の診察が始まることもしばしばです。不思議なことに忙しいほどその日の診療が終わったときに力が湧いてきて、仕事のやりがいを実感するのです。

開業の際にこだわられたことは何ですか?

患者さんにとって敷居の低い、通いやすいクリニックにしようと思いました。他の科ですと、重い症状の患者さんは精密検査や手術を受けるために、大きな病院に行かれます。大きな病院に診てもらっていると思うだけで、安心される方も多いでしょう。しかし、当院のような心療内科は特別高額な医療機器を使って治療をするような科ではありません。大規模な病院も街の開業医も、医療水準はそれほど大きな差はないと思っています。では、何が違うのかというと、結局は人なんですね。スタッフが患者さんにどれだけ関わることができるのか。開院に当たっては、人材の充実を最も重視しました。現在は僕以外に非常勤講師の医師6人、臨床心理士8人の計15人で患者さんをサポートしています。月曜日の午前は東邦大学名誉教授の筒井末春先生が治療を担当します。専門的な心理療法が必要な場合は、心理療法士もご紹介します。経験豊富な専門家が多数揃っていることが当院の特長です。

オレンジのロゴが目を引きますが、どのような意味が込められているのですか?

ロゴは開院当初のスタッフみんなで考えました。あまり深い意味はないのですが(笑)、陽が昇って行くイメージです。オレンジは人の心を和やかに、明るくする効果があり、クリニックのイメージにぴったりだと思いました。

どのような患者さんが多いのですか?

村林信行院長 アーツクリニック大崎2

大崎駅周辺で勤務されている20〜60代の会社員の方が中心です。また、中には長い期間診させていただいている患者さんや、大学病院からの紹介で来院される方も多いです。一番多いのは、「気分が沈む」「何か不安だ」という訴えです。景気低迷による人員削減など、世の中の激しい変化を如実に反映しています。昔は内科や外科など、いろいろな科を受診しても何も異常がない。精神的なストレスが不調の原因かもしれないということで、最後に心療内科を受診されました。うつ病は「気持ちが弱い」「性格に問題がある」というマイナスイメージが強かった時代ですから無理もありません。今は最初から心療内科を受診される方が増えており、敷居はかなり低くなっています。

患者と医者は先生と生徒、プレーヤーとコーチのような信頼関係が大事

先生の診療方針を教えてください。

村林信行院長 アーツクリニック大崎3

患者さんのお話をじっくり聞くことです。患者さんの中には、自分は病気なのかどうか知りたくて来られる方もおられます。そういう方は、病気ではないとわかるだけで安心されます。治療が必要な方は、お薬中心の治療が向いているのか、カウンセリング併用がいいのか。むしろカウンセリング主体の治療が良いのかなど、一人ひとりお話をしながら決めていきます。明らかに効果があるとわかっている病気には、お薬を積極的に使用しますが、基本的には最小限に、効果が立証されているものを厳選してお渡しします。今は、インターネットなどで間違った情報も含め、お薬の情報が氾濫しています。ネットの情報を間違った形で解釈をされていることも多く、話を聞いて驚くこともしばしばです。薬の名前をあらかじめ調べて来院される方も多いので、正しい情報を詳しくご説明し、納得の上で処方するようにクリニックとして徹底しています。

初診の診察の流れは?

初めての患者さんにはまず問診票にご記入をお願いしています。これは診察室でのお話の密度を濃くするための工夫のひとつで、質問は3枚にわたります。質問の内容は「どのようなことでお困りですか?」といったものから、より具体的な質問まで具体的にお聞きします。同じ質問ですが簡単に書く方と、非常に詳しく隙間なく書く方など、人それぞれです。問診票の記入の仕方ひとつを見ても、患者さんの個性はある程度わかります。記入が終わりましたら、心理士による予診に進み、約30〜40分じっくりとお話を伺います。次に、予診の結果を踏まえたうえで、医師の診察へと進みます。当院は大学病院の心療内科の外来を、そのまま街に持ってきたようなクリニックをコンセプトとしています。わざわざ大きな病院に行かなくても、専門性の高い質の高い医療を、より気軽に受けていただくことが可能です。

患者さんと接する際にはどのようなことを心がけておられますか?

村林信行院長 アーツクリニック大崎4

一つは患者さんを大切にすることです。また、患者さんと医師は対等な関係であると考えています。決して医師が偉いわけではなく、「こうしなさい」「ああしなさい」と命令口調にならないこと。専門家としての領分をわきまえながらアドバイスをし、患者さんとともに問題を解決したいと考えます。このために、常にプレーヤーとコーチのような、信頼し合える関係であろうと心がけています。日々診療をしていますと、物事をどうしてもマイナスに捉えてしまうなど、自分の考え方や行動の“癖”で、なかなかうまくいかない、他人から理解されないという方が多くおられます。その癖を一緒に見つけて、治していきましょうというのが、我々のような心療内科なのです。患者さんにもよくお話しするのですが、カウンセリングはある意味、ピアノのレッスンや英会話の教室と同じようなイメージで来ていただけるといいかもしれませんね。

不安になったり、気分が落ち込むことがあってもいい

心療内科を受診した方がよいタイミングはあるのでしょうか?

村林信行院長 アーツクリニック大崎5

アメリカでは一生の間に一度でもうつ病にかかる割合は14〜15%と言われています。日本でも同様に、過度のストレスは健康を損なう要因で、どなたでもかかりうる病気だと言えます。実際に、不安感・緊張感・気分の落ち込みに悩まされている方が多く受診されています。「ただ、誰かに話を聞いてほしい」「優しい言葉をかけてもらったら、元気が出る」という場合は、必ずしも医療機関による治療は必要ないかもしれません。治療が必要な方は、誰かに何かを言われたからといって、問題が解決するわけではありません。逆に、感情や考え方の癖、行動の特徴などを見つめ直して、治していきたいとお考えの方は、ぜひ一度気軽にご相談ください。

自分を見つめ直すことが大事なのですね。

今の時代、常に明るく前向きでなければいけないとか、気分が沈んではいけないような風潮が世の中に蔓延しています。だからといって、気分が沈んだり、不安になってはいけないわけではないとお伝えしたいですね。うつ病の始まりは、危険から身を守ろうとする本能だと言われています。危険を察知して不安を感じる、適度なストレスは、人々が成長するきっかけにもなるのです。ただ、本当に治療が必要な方ほど、自分がうつ病だとは思いません。食欲がない、頭痛・下痢・便秘などの体の不調があるのに、はっきりした異常が見つからない方は、まずは自分が心の病気かどうかを調べることが大事です。自分はストレスに弱い方と自覚している方は、不安を感じる時の行動や感情をノートに書き出すのも、自分の癖を知る有効な方法です。改めて自分を見つめ直すことで、ストレスに強くなるヒントが見つかることがあります。診療では患者さんの感情・考え方の癖・行動の特徴などを評価し、患者さんに適した問題解決法を考えていきます。

お忙しい毎日ですが、先生のストレス解消法は?

村林信行院長 アーツクリニック大崎6

家でゆっくりDVDの録画を見ることです。特に、大自然の映像や歴史番組が好きでよく見ています。格闘技や釣りの番組なども意外に好きで、幅広いジャンルのものを見ていますね。開業してからはなかなか行けないのですが、旅行も好きです。これまでに行った中で印象深いのはインドです。いろいろなことがアバウトで、まず物に定価がないことにびっくりしました(笑)。最初はものすごく高い値段でふっかけられて、それから交渉次第でどんどん値段が下がっていく。そういう世界があることが、とても面白いなと思いました。もしまとまった休みが取れたら、次はアフリカに行ってみたいですね。普段からDVDの映像はよく見ているので、実際に野生動物がたくさんいるサバンナで、本物を間近で見てみたいです。

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