永倉 仁史 院長の独自取材記事
ながくら耳鼻咽喉科アレルギークリニック
(品川区/目黒駅)
最終更新日:2025/06/26

現在、約2人に1人がアレルギー性鼻炎や喘息など何らかのアレルギー疾患を患っているといわれる。そんな人々の悩みに対応するのが、「ながくら耳鼻咽喉科アレルギークリニック」だ。院長を務めるのは、患者の身になって考えることを何より大切にする、永倉仁史先生。さまざまなアレルギー疾患に精通したエキスパートで、耳鼻咽喉科の一般診療はもちろん、専門とするアレルギー疾患の治療にも注力する。さらに耳鼻咽喉科ではまだ少ないという、スポーツ選手の健康管理やスポーツ時のケガの治療などにあたるドクターでもあり、ダイビングにおける耳・鼻のトラブルにも対応。スポーツ愛好者やアスリートにとって、心強い存在だろう。取材の中で花粉症の根治をめざす治療法についても聞いたので、花粉症で悩んでいる人はぜひチェックしてみてほしい。
(取材日2024年9月10日)
患者の身になって、誠心誠意向き合うことを大切に
医師をめざしたきっかけをお聞かせください。

私の父も耳鼻咽喉科の医師で、大学病院で勤務医をしていました。幼い頃、父が勤める下町の病院に虫歯の治療に通っていて、治療後に父のところに寄るのですが、いつも外来の最中で……。そんな時は父が診療している姿をじっと見ていました。父はいつも忙しそうで、子どもながらに「お医者さんて大変なんだな」と感じたことをよく覚えています。父は出張病院の部長を任されて定年まで勤め上げた後、「郷里に帰って診療したい」と言い出しました。当時60歳を過ぎて新たな環境で働くのは異例だったと思います。結局それから20年以上静岡の沼津で開業医を続けましたので、生涯診療していたような印象がありますね。父にとって診療はおそらく生活の一部だったのでしょう。体力の続く限り診療していた姿を本当に尊敬しています。
お父さまの影響が大きかったのですね。ほかにも理由がありますか?
私は子どもの頃斜視で、小さい頃に手術を受けましたが、うまくいかず治りませんでした。小学生くらいになると自分でも気にしていたのを覚えています。それでもう一度手術が必要ということになり、今度は父の同級生で、その後母校の東京慈恵会医科大学の眼科教授になった先生に、腕を信頼してお願いしました。そうしたら、今度は改善につなげることができたんです。その時に感じたのが、病気は手術法を選んだり、正しく治療したりすれば改善が期待できるようになるということ。自分にとってこのことは大きかったですし、子ども心にもうれしかったですね。こんな経験もあって、自然と医療の道に進むことを決めていました。
普段の診療で大切にされていることは?

最も大切にしているのは、どんなに忙しくても相手の身になって考え、話をよく聞くことです。医師にとって、目の前にいる患者さんは診察で出会う何十人何百人の中の1人ですが、患者さんからすれば、その時に診ている医師は、自分にとってすべてと言って良い存在だから。それに治療のヒントになる情報は、患者さんが話してくれるものですからね。私自身、若い頃に整形外科で治療を受けた際、自分の思いがうまく伝わらず、もどかしく感じたことがあります。そのこともあって、「患者さんにできる限り誠心誠意向き合いたい」と思うように。お一人お一人に親身に寄り添い、サポートすることを大事にしています。
根治をめざす治療法で、花粉症に悩む患者をサポート
どんな患者さんが来院されていますか?

生後数ヵ月の赤ちゃんからご高齢の方まで、幅広い年齢層の患者さんが風邪をひいたなどとおみえになります。最近、外国人の方も増えてきたように思いますね。さまざまな方に安心して来ていただけるよう、院内はベビーカーや車いすでも通いやすいバリアフリー設計にしました。また、お母さんが風邪をひいたら、ベビーカーを横に置いて診療を受けられるように、お母さんが聴力検査を受ける際には、待っている子どもからガラス越しに様子が見えるように工夫しています。プライバシーにも配慮した院内レイアウトになっていますので、女性の方も受診しやすいと思いますね。
主訴としてはどのようなものが多いですか?
アレルギー性鼻炎のお子さんが多いですね。近年、発症の低年齢化が進んできているように感じています。早いお子さんでは、2~3歳くらいで花粉症を発症することも。喘息やアトピー性皮膚炎も併発しているなどその症状はさまざまで、当院ではできる限りトータルに診療したいと思っています。診療では、内視鏡を使って画像を見てもらいながら、病状や治療内容を詳しく説明。私の説明を全部覚えられなかったり忘れたりすることもあると思うので、パンフレットを作って渡し、しっかりとお伝えするよう心がけています。また、必要な場合は積極的に大学病院などを紹介します。患者さんには適切な治療を受けてもらいたいですからね。
先生は花粉症治療に注力されているとか。

これまで花粉症といえば、薬を使って症状の抑制を図る「対症療法」と、アレルギー症状を起こす原因物質を注射して徐々に体を慣れさせていくことをめざす「皮下免疫療法」がありました。「免疫療法」の中でも近年注目されているのが、「舌下免疫療法」という、舌の下に薬を入れる方法です。スギ花粉症とダニによるアレルギー性鼻炎に対しては、保険が適用されます。注射は痛いですし、何度も通院する煩わしさもありますが、経口なら服用も簡単で、子どもでも取り組みやすいというメリットがあります。アレルギー性鼻炎の根治をめざせるため、早い時期から始めることを希望される患者さんが増えていますね。
長年ホームページで花粉情報も配信されていますね。
花粉シーズンには、毎日花粉情報を配信しています。慈恵医科大学耳鼻咽喉科のグループが計測したデータをもとに、翌日の花粉飛散予報を出すようにしているんです。夜の12時にデータが届くため、その後ホームページを更新します。近年、環境省や東京都が花粉の飛散状況をリアルタイムで公開する事業を終了。患者さんの中にも、当院の花粉情報を参考にしてくださっている方がいますので、やめるわけにはいかなくて。続けられる限り頑張りたいと思っています。
ダイバーも対応。スポーツ選手の診療にも力を入れる
スポーツ選手の診療にも携わっていると伺いました。

アレルギー性鼻炎や喘息などの症状を持つスポーツ選手が多い中で、運動の環境や条件を理解して治療できる耳鼻咽喉科の医師は少ないのが現状です。運動中に鼻が詰まっていたら苦しいですし、それでコンディションが悪くなったら困りますよね。また競技者にはドーピング問題などの課題もありますから、そうしたことにも対応していきたくて、スポーツ選手の診療を行っているんです。また、ダイビングの安全を図る団体の登録医も務めていることから、ダイバーの方を診ることも多いですね。ダイビングでは、初心者でもベテランでも耳抜き不良などのトラブルを起こすことが多く、沖縄など遠方から連絡が来ることも。近年、自分の呼吸だけで潜るフリーダイビングにおけるトラブルも増えてきたように感じています。
メディアなどを通じた情報発信にも努めていらっしゃいますね。
以前はあまりメディアに出ることはありませんでした。それは私がすることではないと思っていたんです。ただ特に花粉症などの分野で、メディアから発信される情報が必ずしも正しくなかったり、的外れな情報が伝えられたりしているように感じることもありまして。耳鼻咽喉科の医師として、皆さまに正しい情報を伝える責任を感じたんです。メディアを利用することで多くの方々に情報発信できますので、今は機会を得られればできるだけ発信するようにしています。
今後やってみたいことをお聞かせいただけますか?

スポーツ全般が好きで、水泳やテニスをはじめ、ほぼ何でも経験してきました。時間が取れたら、海に行ったり運動したりしたいですね。また、もっといろいろなことを経験したいとも思っています。例えば日本でも世界でも旅行をして、刺激を受け、見聞を深めたいという気持ちが強いですね。さまざまな文化財や美術品など、人々が一生懸命作り上げた物に触れることで、人として成長できるのではないかと思うのです。開業して20年近くになりますが、もっとこのクリニックを良くしようと走り続けてきました。今後は時間を見つけて、医師の仕事だけでなく、自分のライフワークのようなことも考えていきたいと思っています。