山田 勝敏 院長の独自取材記事
サンタハウスこどもクリニック
(品川区/武蔵小山駅)
最終更新日:2025/01/24

武蔵小山駅から徒歩1分の便利な場所にある「サンタハウスこどもクリニック」。子ども好きが高じて小児科の医師になったという山田勝敏院長が、「サンタクロースのように、子どもたちへ笑顔をプレゼントできたら」という思いから開業。院内はまるで子どものための城で、さまざまなイラストが飾られており、不測の行動を取る子どもたちの安全性への細かな配慮もなされている。「子どもたちに遊び感覚で診療を受けてもらうのがポリシー。スタッフにも常に笑顔の対応をお願いしています」と笑顔で語る山田院長に、クリニックの特徴や今後の展望などの話を聞いた。
(取材日2024年9月12日)
生まれ育った地域で、子どもたちの健康を支援
武蔵小山駅近くとアクセスの良い立地ですね。

品川区は私の生まれ育った場所で、大井町や戸越、旗の台などに住んでいました。武蔵小山も子どもの頃に母親に連れられてきた思い出があります。子ども心に、特に商店街などは「活気のあるいいところだな」と思ったものです。今では様変わりをしていて洗練された街並みが中心になりましたが、一方で昔ながらの気風も残る温かみのある都会の下町といった土地柄でもありますね。そんな地域の多くの皆さまに支えられて、2020年に開業10周年を迎えることができました。お子さんだけでなく、保護者の方やお孫さんを連れておみえになるおじいちゃん・おばあちゃんなど、大人の方も診察しています。子どもだけでなく家族全員で通院できるファミリークリニックでありたいと思っています。
最近の診療の変化があれば教えてください。
新型コロナウイルス感染症が5類に移行されて1年以上たち、ピーク時と比べると患者数は減り、重症化する患者さんの割合も少なくなりました。その一方で、最近は手足口病やプール熱、溶連菌感染症など、コロナ禍では影を潜めていた小児の感染症が増えてきています。お子さんの体調に変化があったときは、たとえ微熱程度であったとしても2、3日症状が続く場合は受診していただきたいですね。2024年はマイコプラズマ肺炎も流行していますが、咳はあるものの微熱だからと1週間ほど様子を見ているうちに病状が悪くなるということもあります。こじらせてしまうと治療が難しくなることもありますので、少し早めに受診していただいたほうが良いと思います。
クリニックでも感染対策に力を入れておられるそうですね。

はい。当院の隔離室は大学病院の手術室などにも採用されている陰圧室となっており、中の空気が院内に出ない仕組みです。2室ある隔離室は部屋ごとに枠を設けて予約制としており、お一人ごとにスタッフが消毒や換気の徹底に努めています。発熱者の診療はすべて隔離室で完結する体制ですので、安心して受診していただけると思います。また、院内での待ち時間を短縮するために、問診を取り入れた予約システムを取り入れています。小児の発熱の外来、大人の発熱の外来とインフルエンザワクチン接種は時間予約制ですので、ギリギリまで自宅待機が可能です。うまく活用していただければと思います。
喘息や鼻炎など小児アレルギーの診療にも注力
小児科全般を幅広く診療されているそうですが、特に力を入れている領域はありますか?

アレルギー疾患の治療に力を入れています。特に小児の気管支喘息はぜひご相談いただきたいですね。患者さんの負担を少しでも減らせるよう吸入器の貸し出しもしています。アトピー性皮膚炎に関しては、なるべく保護者の方の希望を尊重した治療を大切にしています。治療にはステロイド剤の軟膏を用いますが、中にはステロイド剤に抵抗がある方もおられます。その場合は、ステロイド剤以外の薬剤での治療をご提案することも可能ですので、ご相談ください。また、花粉症やアレルギー性鼻炎の治療では舌下免疫療法を行っています。舌下免疫療法は、スギ花粉症またはダニアレルギー性鼻炎と確定診断された患者さんに対して行われる治療で、適切に治療を行うことで症状の緩和や、根本的な体質改善が期待できるとされています。
舌下免疫療法は、何歳から治療が可能なのでしょうか。
適用は5歳からで、舌の下に薬を1分ほど置いてから飲み込むという治療です。保険診療のため、子どもの場合は医療費助成制度の対象となります。大人の方の舌下免疫療法にも対応していますので、親子で治療を受けていただくことも可能です。1日1回の薬の服用を3年以上継続するという長期にわたる治療ですので、親子で一緒に取り組むことで治療を続けやすい面はあると思います。舌下免疫療法は耳鼻咽喉科でも受けられますが、お子さんの場合はアレルギー性鼻炎と気管支喘息が合併していることも珍しくありません。その場合は鼻炎と喘息の両方を治療することが大切ですので、くしゃみや鼻水、鼻詰まり、咳などが長く続いている場合は、まずは小児科で診察を受けることをお勧めします。
乳幼児健診の体制も充実しているそうですね。

乳幼児健診では、聴力と視力のスクリーニングのための検査機器を導入しています。視力検査では、遠視・近視・乱視・斜視のほか、左右の瞳孔の大きさが異なるかどうか(瞳孔不同)や左右の眼球が向いている方向(眼位)もチェックしています。従来、乳幼児の視力・聴力検査は本人に見えているか、聞こえているかを確認することができないため、異常があるかどうかの判定が難しかったのですが、こうした検査機器を使用することで結果を数値化できるようになりました。もちろん、赤ちゃんですからその日の体調などで結果が変わることもありますが、重大な病気を早めに見つけるためには有用だと思います。どちらの検査もお子さんの体への侵襲はなく、短時間で終わります。お子さんの目の発達や聞こえに不安をお持ちでしたら、一度検査してみることをお勧めします。
子ども目線に立ち、楽しんで受けられる診療の提供を
診療の際、心がけていることはありますか?

患者さんや子どもの目線に立つことを大切にしています。私のポリシーは、子どもが私と遊んでいるうちに診察が終わるようにすることです。スタッフにもいつも笑顔で接して、楽しげな雰囲気が子どもに伝わるようにしてほしいとお願いしています。おかげさまで当院に通う子どもたちはニコニコして入ってきてくれます。かかりつけの子どもたちは「また遊ぼう!」という態度で来てくれたりしますから、かわいさ倍増です。保護者の方は子どもが機嫌の良いときも悪いときも対応しなくてはならないので大変ですが、私は楽しく遊ぶだけなので純粋に楽しいですね。本当に毎日元気をもらっています。
院内の安全設計にもこだわっているそうですね。
子どもは予測のつかない行動をするものです。私自身、子ども時代には危ないことをしてずいぶん怒られたものでした。そうした記憶も頼りに、開業の際には危ないと思われるポイントを一つ一つつぶして子どもたちが安全に過ごせるような環境づくりに努めました。院内のフロアはすべてスプリングが入った床に衝撃吸収シートを張った二重構造なので、転んでも硬いコンクリート床ほどの衝撃がありません。また、引き戸は床にレールを敷く必要がない吊り戸とし、すべての自動ドアには指挟みなどの事故を防ぐためのシールドを設けています。エントランスの自動ドアも、外側からはベビーカーを押しながらでも入りやすいよう自動で開閉するものですが、内側からはボタンを押さなければ開かない仕様にしてあり、子どもたちがすぐに外に出られないようになっています。クリニックとして子どもたちの安全を守る責任がありますから、その点は特に力を入れています。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

子どもの患者さんはまだ幼いので、体調のことは保護者の方からお聞きします。医師の欲しい情報は「いつ」から「どんな」状態なのかということですが、わが子が心配なあまり言いたいことがあふれてしまうのか、こちらの質問に対し的を射たお答えをいただけないこともあります。こんなときのためにお勧めしているのが来院前にメモにしてお持ちいただくことです。「いつ」から「どんな」症状が「どう」変化したかなどを大まかにメモにしてきていただけると助かります。新型コロナウイルス感染症は落ち着いてはきましたが、コロナウイルス自体がなくなったわけではありませんし、子どもがかかりやすい感染症はたくさんあります。発熱はもちろん、いつもと様子が違うとお感じのときは、遠慮せず早めにご相談ください。