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三嶋 絵美 院長の独自取材記事

瀬底皮膚科クリニック

(品川区/旗の台駅)

最終更新日:2021/10/12

三嶋絵美院長 瀬底皮膚科クリニック main

東急池上線、東急大井町線が交差する旗の台駅から徒歩2分、活気ある三間通りの商店街に「瀬底皮膚科クリニック」はある。2代目院長の三嶋絵美先生は、地域のかかりつけ医として長年にわたって診療を行うベテラン医師だ。初心を忘れないことを戒めにしながら日々研鑽を積み、多様な症例に対して的確な診察を心がけている。母の代からの患者も多く、夫が診療を行う内科医院や近隣の大学病院との連携もスムーズだ。「毎日の診療に対応しているうちに10年たってしまいました」と笑顔で話す三嶋先生。多い疾患や診療への思い、趣味に至るまで余すことなく話を聞いた。

(取材日2019年10月30日)

子どもから高齢者まで、年齢に応じた適切な治療を提供

こちらはお母さまが開業されたクリニックだそうですね。

三嶋絵美院長 瀬底皮膚科クリニック1

1979年に母が開業し、2009年に私が引き継ぎました。旗の台は何世代にもわたって住んでいる方が多いので、街の景色は昔とそう変わっていませんね。母の代からの患者さんも多く、大半がここから徒歩圏内の方々です。開業当時から夜7時まで診療を行っているので、都心で仕事を終えてから来る会社帰りの患者さんも多いです。向かいの「みしま内科」は夫が診療を行っている医院です。以前は「瀬底内科胃腸科医院」として父が診療を行っていたのですが、2018年に夫にバトンタッチしました。

内科医院とは連携されているのでしょうか?

内科で診察をしたら帯状疱疹が見つかって当院に来たり、肥満や脂質異常症、糖尿病などで脚がむくんでかゆくなったりと、内科と関連した皮膚疾患で当院を受診する方もいらっしゃいます。ほかにも「みしま内科」に通院中の方が、かゆみや水虫などのちょっとした症状を相談しに来られるなど、父の代よりも風通しが良くなり紹介が増えました。皮膚科は理学的な検査があまりなく、主に視診や触診で診断する科なので、医師の経験が診断の正確さを左右します。私も年数を重ねて経験を積んできたことで、相応の診断力が身につきました。

もし患者さんに大きな病気が見つかったときは?

三嶋絵美院長 瀬底皮膚科クリニック2

皮膚科は視診である程度診断がつき、皮膚がんなども「普通のほくろではない」と印象でわかります。その際はその場で紹介状を書いて昭和大学病院に行っていただくことが多いです。自院で血液検査などをして診断に当たりをつけて治療をし、それで良くならなければ紹介するというスタンスが一般的と思いますが、当院は大学病院にほど近いという恵まれた環境にあるので、患者さんが二度手間にならないよう早めに紹介します。当院で血液検査をしても、紹介先でまた血液検査を受けることになりますし、紹介先からすると余計な治療をせずに患者さんを送ってほしいものなので。

初心に返った診療と、アップデートを重ねることが重要

患者さんの主訴で多いものは何ですか?

三嶋絵美院長 瀬底皮膚科クリニック3

お子さんでは、アトピー性皮膚炎や水イボ、尋常性疣贅(ゆうぜい)というウイルス性のイボも多いです。高齢者は皮脂欠乏性湿疹が断然多いですね。皮膚が乾燥してかゆくなる疾患で、寒い季節や乾燥する季節に患者さんが増えます。夏は虫さされやあせもの相談が増えるので、季節的な患者さんの変動もあります。またここ10年ほどで、ニキビで受診する患者さんが大幅に増えました。「ニキビは病院で治療」という考え方が浸透してきたようです。10代から治療する人が増えれば、ひどいニキビ痕で悩む大人を減らせると思います。爪水虫も、テレビや広告で見てはじめて病気だと気づいて受診する方が多いですね。

ニキビも爪水虫も病院で治療したほうが早く治るのでしょうか?

昔は市販薬で何とかしていたニキビも、今は皮膚科を受診する時代になりました。現在、当院で主に処方するのは、毛穴の詰まり改善が期待できる塗り薬です。これらの薬ができたことで病院でのニキビ治療は劇的に進化しました。早く治るというよりニキビをできにくくするところにメリットがあります。爪水虫にも有用とされる飲み薬や塗り薬があります。中には小学生の頃に父親の水虫がうつり、高校生の頃には立派な爪水虫に進行しているケースもあります。治療をしないと治りませんし、他人にうつす恐れも。高齢になるほど菌の保有率が上がるので、患者数も増えていく傾向にあります。家族に言われて受診したとか、お孫さんが生まれたので爪水虫を治すように言われて来たという人もいらっしゃいます。

診療の中で大事にしていることは何ですか?

三嶋絵美院長 瀬底皮膚科クリニック4

初心を忘れないことでしょうか。診療への慣れや忙しさは、検査を省くなど手抜きにつながりかねません。特に皮膚科では「舐めるように皮膚を診ろ」と言われるように、顔を近づけてじっくり診ることが大事とされています。長年一人で診療していると似たような症状に見慣れて、細かく診ずに済ませがち。だから「初心忘れるべからず」と自分を戒めて、意識的に視診を念入りにするよう心がけています。それに一人診療では、自分から勉強しにいかないと知識がさびついてしまいます。そのため医学誌に目を通すことと、皮膚科の勉強会にできるだけ参加することを自分に課して、知識をアップデートし続けるよう努めています。勉強会はほかの先生方と情報交換もできて、とても貴重な時間ですね。普段の診療時に、「こんなときほかの先生はどうしているのかな」と思ったことを近隣の先生方とお話しすることで、独りよがりの診療の歯止めにもなっています。

気軽に受診できる、コンビニエンスな診療所でありたい

医師をめざした理由をお聞かせください。

三嶋絵美院長 瀬底皮膚科クリニック5

両親と祖父が医師で、母方の祖母は歯科医でした。医師になるのが当然といった環境に流されました(笑)。だから強い意志があったわけではないのですが、DNAのなせる業か、医師の仕事は非常に自分に向いていると思っています。ただ一人で診察を任されるようになった当初はうれしい反面、不安も大きく、「私なんかが診断して薬を決めて処方していいの?」と感じたのを覚えています。人と話すのは平気だったので患者さんとのやりとりは苦ではなかったのですが、卒業したての若い医師って未熟ですよね。その未熟さを悟られないよう虚勢を張っていたように思います。思い出すと恥ずかしいですね。

なぜ皮膚科を選んだのですか?

小さい頃から手先が器用なほうで、本当は外科向きなんです。ただ24時間働ける自信がなかったので、医師1年目は外科の次に手先が生かせそうな麻酔科に進みました。麻酔科は繊細さが必要な手技が多くて器用さを発揮できてうれしかったですね。人一人の命を預かりコントロールするという経験も人体の理解に役立ちました。ただ一日立ちっぱなしで夜間の緊急手術が入れば帰れず、顔中吹き出物だらけで体力的には限界ギリギリでした。一人前になるのに10年以上かかる上、一生勤務医。このまま麻酔科の医師を続けて母のクリニックが潰れてしまうのも残念に思い、3年目に母と同じ皮膚科の医師の道に進むことを決めました。皮膚科は治療まで一貫して携われて、患者さんから笑顔をたくさんもらえるのがうれしいですね。

休日の過ごし方は?

三嶋絵美院長 瀬底皮膚科クリニック6

夜はパソコンに向かっている時間が長いです。旅情報を見ている時が一番楽しいですね。あとは運動音痴の私が唯一得意な水泳に週1回通っています。日曜は出不精の小学生の娘を連れ出したいので必ず出かけていますね。趣味は海外旅行。若い頃はよく1人旅をしました。環境をガラッと変えたほうが休んだ気がするので、言葉が通じない所へ好んで行っています。気分転換になりますから。今でも年に3〜4回は嫌がる家族を連れて(笑)、出かけています。近場のアジア圏内が多いです。子連れで行った一番遠くはハワイですが、そろそろヨーロッパに挑戦したいですね。

今後の展望や、読者へのメッセージをお願いします。

開院して40年以上たち、地域ではかなり認知されていると思います。「あそこに皮膚科がある」という皆さんの安心感を裏切らないよう、生まれ育ったこの地で、体が続く限り診療を続けていきます。病気にならなければあと25年はやれると思います。今後の課題は待ち時間の短縮です。どうしても待ち時間は発生しますが、せめて患者さんの貴重な時間を快適に過ごせるよう工夫するつもりです。予約や会計も合理化したいですね。また、かゆみごときで病院へ行ったら笑われる、恥ずかしい部分を見せたくない、などの理由で受診を我慢している方もおられます。当院は患者さんが気軽に寄れて治療ができる、「地域のコンビニ診療所」でありたいと思っていますので、些細な症状でも構いません。何でも気軽に相談してください。

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