成尾 英和 院長の独自取材記事
なるおリハビリペインクリニック
(羽曳野市/古市駅)
最終更新日:2026/10/15
近鉄南大阪線・古市駅から徒歩5分、羽曳野市白鳥に2026年9月に開院した「なるおリハビリペインクリニック」は、肩こりや腰痛、頭痛、帯状疱疹後神経痛など、身近な痛みに対応するクリニック。院長を務める成尾英和先生は、麻酔科医として経験を積み、大学病院でがん性疼痛の治療にも携わってきた痛みのスペシャリスト。そんな成尾院長がめざしているのは、「こんな程度で受診していいのかな」と迷う症状でも、気軽に相談してもらえる場所だという。治療では薬やブロック注射、リハビリテーションを組み合わせながら、痛みの強さだけを見るのではなく、その人が何に困り、どんな生活を取り戻したいのかまで見つめている成尾院長。ペインクリニックを志したきっかけから、診療への思い、一人ひとりの痛みとの向き合い方まで話を聞かせてもらった。
(取材日2026年9月25日)
身近な痛みに向き合うため、地域での開業を決意
まずは、先生のこれまでの歩みを聞かせてください。

和歌山県立医科大学を卒業後、浦添総合病院で初期研修を行い、その後はりんくう総合医療センターの麻酔科へ進みました。麻酔科を選んだきっかけは、学生時代の病院見学。ペインクリニックの外来について話を聞き、「こんなふうに痛みに向き合う診療があるんだ」と惹かれたからです。それ以来「痛みを診る」という分野への関心が強くなり、ペインクリニックのある病院を選びました。そこで経験を積んだ後、より専門的に学びたいと考えて大阪医科大学の麻酔科学教室へ入局。手術の際の麻酔だけでなくペインクリニックの診療にも携わり、がん性疼痛の治療も数多く経験してきました。その後は守口敬仁会病院に勤務して経験を重ね、2026年9月に「なるおリハビリペインクリニック」を開院することになりました。
ペインクリニックのどんなところに魅力を感じたのでしょうか?
手術の麻酔では、患者さんは眠っている時間が長く、術後にお会いする機会も限られます。一方、ペインクリニックでは、治療をした後に「楽になりました」「まだここが痛いです」と、患者さんから直接反応を聞くことができます。そのやり取りを重ねながら、次の治療を考えていけるところに大きなやりがいを感じました。また、肩こりや腰痛、頭痛など、日常生活の中で多くの方が悩んでいる痛みに関われるのも魅力です。痛みは命に直接関わるものではありませんが、眠れない、歩きにくい、仕事や家事がつらいなど、生活には大きく影響します。そうした身近な困り事を少しでも軽くし、その人が普段の生活を取り戻す手助けができることも、この診療科の魅力だと感じています。
開業を考えるようになったきっかけはなんですか?

大学病院では、がん性疼痛をはじめ、大学だからこそ診られる難しい症例や治療を数多く経験してきました。ただ一方で、肩こりや腰痛、膝の痛み、頭痛など、日常生活の中で困っている方を継続して診る機会はそれほどありません。僕自身は、そうした身近な痛みにもっと深く関わり、患者さんの生活に近いところで一緒に経過を見ながら治療していきたい、痛みがある時にまず相談してもらえるような場所をつくりたいという思いが次第に強くなっていったんです。ですから、ペインクリニックを中心に診療していくなら、開業という形が合っているのではないかと自然に考えるようになりました。その後、大阪医科大学麻酔科の同門でもある酒井理事長とのご縁もあり、その思いを具体的な形にしたのがこのクリニックです。
その人らしさを尊重しながら、幅広い痛みに向き合う
ペインクリニックは、どのような診療科なのでしょうか?

基本的には、「痛い」と感じる症状を幅広く相談していただける診療科です。肩こりや腰痛、膝の痛み、ぎっくり腰や四十肩、テニス肘といった整形外科的な症状はもちろん、頭痛や腹痛、帯状疱疹の後に残る神経痛などにも対応しています。肩や腰など整形外科でも診る症状が多いため、「何が違うの?」と聞かれることも多いですね。整形外科が手術の必要性を判断する役割を担う一方、ペインクリニックでは「手術をするほどではないけれど痛い」「手術以外の方法で何とかしたい」といった痛みにもさまざまな方法でアプローチします。慢性的なものだけでなく、急に出てきた痛みでも構いません。必要なら他科や病院にもつなぎますので、まずは気軽に相談してほしいですね。
治療は、どのように進めていくのでしょうか?
当院では、飲み薬、ブロック注射、リハビリを治療の3本柱と考えています。ただ、すべての方に同じ治療をするわけではありません。注射が怖い、薬をできるだけ飲みたくない、仕事や生活の都合で通院の頻度を抑えたいなど、希望や生活スタイルは一人ひとり違います。ですから、まずはどんなことで困っているのか、どこまで改善したいのかを伺い、治療の選択肢やそれぞれの特徴も説明した上で、その方に合った方法を一緒に考えていきます。例えば注射を希望されない方なら、薬やリハビリを中心に進めることもありますし、反対に早く痛みを和らげたい方にはブロック注射を提案することもあります。無理に治療を押しつけるのではなく、納得できる方法を選んでもらうことを大切にしています。
リハビリを大切にされているそうですね。

痛みを和らげるための方法として注射や薬は大切ですが、それだけではなかなか改善しきれない方が多くいます。例えば肩や腰の痛みでは、痛みが出ている部分だけの問題ではなく、体の動かし方や姿勢、筋肉の緊張などが影響していることもあります。そうした部分まで含めて見ていくことで、痛みの背景をより丁寧に捉え、その方に必要なアプローチを考えやすくなるんです。ただ、痛みがある中で、自分だけで適切に体を動かすのは難しいこともあります。そこで当院では、理学療法士と連携しながらリハビリにも取り組んでいます。専門的な視点から、どこまで動かせるのか、どんな動きで痛みが出るのかを確認し、その方に合った方法を考えていきます。痛みを和らげるだけでなく少しずつ動けることを増やし、その人らしい生活を取り戻すことが大切ですからね。
暮らしの変化まで見つめた診療を
痛みは人によって感じ方が違いますが、患者さんとはどのように共有しているのですか?

痛みは血圧や体温のように、数字ではっきり測れるものではありません。だからこそ当院では、できるだけ患者さんと共通のものさしを持つようにしています。その一つが、表情で痛みの程度を示すフェイススケールです。問診票にも取り入れ、今の痛みがどの程度なのかを視覚的に確認できるようにしています。再診時には、治療前と比べて今はどのくらいなのかを見ながら、前回の治療がどれくらい合っていたのかを一緒に振り返ります。ただ、スケールだけですべてがわかるわけではありません。どんな時に痛むのか、何をすると強くなるのかなど、具体的な話も聞きながら、その時々の状態をできるだけ適切に共有し、次の治療につなげています。
治療のゴールは、痛みをなくすことなのでしょうか?
必ずしも、痛みをゼロにすることだけがゴールではありません。痛みは人によって感じ方が違いますし、同じ程度の痛みでも、生活への影響はそれぞれ異なります。ですから僕は、「どれくらい痛いか」だけでなく、その痛みによって何ができなくなっているのかを見るようにしています。例えば、途中で休まないと買い物に行けなかった方が休まず歩けるようになった、料理を立ったままできるようになった、夜に痛みで目が覚めなくなった。それだけでも生活は大きく変わりますよね。患者さん自身は残っている痛みに目が向きがちですが、以前よりできるようになったことを一緒に見つけながら、日常生活の負担を少しずつ減らしていくことを大切にしています。
最後に、痛みで悩んでいる方へメッセージをお願いします。

「こんな程度の痛みで受診していいのかな」と迷う方もいると思いますが、あまり構えずに来てもらえたらと思っています。肩や腰が少し重い、なんとなく動かしにくい、リハビリを受けてみたいといった相談でも構いませんよ。もちろん、こちらからより効果が期待できる治療をご提案することはありますが、無理に注射や薬を勧めることはありません。その方がどこまで困っていて、どんな治療なら受けてみたいと思えるのかを聞きながら、一緒に考えていきたいですね。一人で我慢しているうちに痛みが長引いてしまうこともありますから、我慢しすぎないでほしい。つらさが大きくなる前に、「ちょっと相談してみようかな」くらいの気持ちで気軽に来てもらえたらうれしいです。

