茨木 一行 院長の独自取材記事
いばらき整形外科クリニック
(枚方市/樟葉駅)
最終更新日:2026/10/09
京阪本線・樟葉駅から徒歩圏内にある「いばらき整形外科クリニック」は、地域の身近なかかりつけとして、幅広い整形外科診療に対応するクリニック。院長を務める茨木一行先生は、幼い頃から人と関わることが好きで、「いつか地域の人と身近に接する仕事がしたい」と考えてきたという。そんな思いを原点に整形外科医の道を歩み、幅広い経験を積んだ末、自身が育ったくずはで2026年9月に開業。痛みやけがへの治療だけでなく、リハビリテーションや予防にも力を注ぎ、その人がこの先も元気に暮らせることを大切にしている。気取らず、誰にでも同じ目線で接する茨木院長に、医師を志した原点や診療への思い、地域との関わりについて聞いた。
(取材日2026年9月17日)
人と関わる仕事を原点に、地域に根差す整形外科医へ
先生が医師、そして開業医を志した原点を教えてください。

母方の実家が京都で和菓子店を営んでいて、幼稚園の頃からお客さんと接する機会が多かったんです。店にいればいろいろな人が出入りして、自然と地域や社会にふれられますよね。僕はそういう環境が好きで、将来は人と直接関わる仕事がしたいと思っていました。そうした経験もあって、子どもの頃から社会の中で人がどう関わり、暮らしが成り立っているのかに興味があったんだと思います。病院へ行った帰りにスーパーや商店街へ寄ると、いろいろな人が働いていて、「社会ってこうやって動いているんだな」と感じたことも覚えています。一方で、研究職だった父からは「勉強する以上は社会に貢献できる仕事をしなさい」と言われて育ちました。中学生の頃、そうした経験や父の言葉が自分の中でつながり、人の役に立ちながら地域の人とも身近に関われる開業医という仕事に惹かれるようになりました。
その中で、整形外科を選んだのはなぜですか?
子どもの頃から、これから日本は高齢者が増えて、若い世代が減っていくんだろうなということは何となく意識していました。そう考えると、高齢になっても元気に動ける人が増えることは、本人にとっても社会にとってもすごく大事だと思ったんです。整形外科は、けがや痛みを治療するだけでなく、体を動かす力を保ち、健康寿命を延ばすことにも直接関われる診療科だと思ったので、高校生の頃には「将来開業するなら整形外科がいいな」と考えるようになっていました。もともとは外科にも興味がありましたが、大学での学びの中で、きちんと専門性を身につけた上で地域医療に関わりたいという思いが強くなって、それならと整形外科の道を選びました。
開業までには、どのような経験を積んでこられたのですか?

医師になってからは神戸大学の関連病院を中心に、外傷の多い病院で骨折やけがの診療に数多く携わり、その後は大学院で足の外科について学び、発表なども経験しました。大学院修了後は、外傷だけでなく人工関節をはじめとする幅広い整形外科診療を行う病院で経験を重ね、さまざまな年代、症状の患者さんを診てきました。もともと何か一つの分野だけを専門にして開業したいという考えはなかったんです。地域のクリニックには、けがをした子どもから、腰や膝が痛む高齢の方まで、本当にさまざまな患者さんが来られます。だからこそ、これまで幅広く診療してきた経験を生かして、まずは何でも相談してもらえる整形外科でありたいと思っています。自分が育ったくずはで、地域の方々の身近な存在として長く診療を続けていけることは、僕にとって大きな意味があることなんです。
リハビリと予防で、元気な毎日を支える
日々の診療で、特に大切にしていることは何ですか?

まずは、なぜ痛みや不調が出ているのかをきちんと見極めることですね。同じ膝の痛みでも原因や状態は人によって違いますし、痛みを和らげることだけが、その方にとって一番良い治療とは限りません。もちろん痛みが強ければ薬や注射などで症状の抑制を図ることも必要ですが、それと同時に、これ以上悪くしないために何ができるのか、その方の生活に合わせて考えることが大切だと思っています。また、医学的に正しいことを一方的に押しつけるのではなく、ご本人が今何に困っていて、どうなりたいのかにもきちんと耳を傾けたいですね。その上で、無理なく続けられる治療を一緒に考えていくことを心がけています。
リハビリにも力を入れているそうですね。
そうですね。痛みを和らげることはもちろん大切ですが、それだけで終わってしまうと、また同じように症状が出たり、少しずつ体の機能が落ちてしまったりすることもあります。勤務医時代には、骨折などをきっかけに、それまでできていたことができなくなり、生活そのものが大きく変わってしまう患者さんも数多く見てきました。だからこそ、症状がある今だけでなく、その先の生活まで考えることが大切だと実感しています。医師がきちんと状態を診断した上で、理学療法士と連携しながら、できるだけ体の機能を取り戻したり、今ある機能を保ったりしていく。さらに、日常生活の中でご自身でも続けられる運動や体の使い方を知ってもらい、症状が落ち着いた後の再発予防にもつなげていけたら、今よりもっと多くの人が元気に過ごせるんじゃないかなと考えています。
骨粗しょう症の診療にも力を入れていきたいと考えているそうですね。

骨粗しょう症は、骨が弱くなっていても自覚症状がほとんどなく、転んで骨折して初めて気づくことも少なくありません。見た目ではわかりませんし、知らないうちに進んでいることが多いんです。ただ、特に太ももの付け根などを骨折すると、その後の生活に大きな影響が出ることがあります。だからこそ大切なのは、骨折してから治療するのではなく、その前に骨の状態を知っておくこと。必要であれば治療につなげ、運動や生活習慣にも目を向けながら、骨折するリスクをできるだけ減らしていく。骨粗しょう症も、今困っている症状だけを見るのではなく、この先も元気に生活していくための診療の一つだと考えています。将来の大きな骨折を一つでも減らせるよう、予防の段階からしっかり関わっていきたいですね。
人と人とのつながりを力に、地域に根差す医療を
患者さんと接する時に、大切にしていることはありますか?

まず、自分がされて嫌だと思うような話し方はしないようにしています。それと、話しかけにくい雰囲気にはしたくないですね。僕が理想としているのは、ちょっと極端に言えば「商店街のおっちゃん」みたいな存在なんです。何かあった時に、「これってどうなん?」と気軽に聞いてもらえる距離感がいい。行きつけの店で、隣り合った人と自然に言葉を交わすような感じで、何でも相談してもらえる医師でいたいと思っています。どんな小さなことでも構えずに相談してもらえて、顔を合わせるうちに少しずつ関係ができていく。そうすればきっと、その人のための医療ができるんじゃないかなと思います。医師だからといって一方的に話したり、見た目や話し方だけで相手を決めつけたりせず、誰に対しても同じ目線で接したいです。
人と人とのつながりをとても大切にされているのですね。
僕は子どもの頃から、人間も動物だから、年を取って老いていくのは自然なことだと思っているんです。いずれ誰にでも終わりは来る。でも、だからこそ一度きりの人生をできるだけ楽しく過ごしたいし、自分だけでなく、周りの人や世の中も少しでも良くなったらいいなと思っています。人も社会も、誰か一人で成り立っているわけではなく、いろいろなものが関わり合いながら続いていくものだと思うんです。院内に、大阪・関西万博の「大屋根リング」で使われた木材を活用したベンチを置いたのも、そんな思いと重なるところがあります。役目を終えたものが形を変えて、また別の場所で生かされていく。そういう巡りというか、つながりを大切にしたいんです。
最後に、これからどんなクリニックにしていきたいですか?

まずは、何かあった時に「ちょっと先生に聞いてみよう」と思ってもらえる場所にしていきたいですね。その上で、今後はリハビリのスペースもさらに広げて、より幅広いリハビリに対応できる体制を整えていきたいと考えています。整形外科は、痛みやけがを治すためだけでなく、その人がこれからどう動き、どう暮らしていくかにも関われる診療科だと思っています。だからこそ、目の前の症状だけで終わらず、その先の生活まで見据えながら、一人ひとりに合ったサポートができる場所にしていきたい。地域の方々と長く付き合いながら、今よりもっと元気に過ごせる人を増やしていけたらうれしいですね。

