木村 雄一郎 院長の独自取材記事
駒沢内科・呼吸器クリニック
(世田谷区/駒沢大学駅)
最終更新日:2026/11/02
学生でにぎわう駒澤大学エリアで2026年10月に開業した「駒沢内科・呼吸器クリニック」。院長の木村雄一郎先生は仙台の大学病院や基幹病院で、肺がんを中心に幅広い呼吸器疾患の診療に携わってきたスペシャリストだ。これまでの経験を生まれ育った地域で生かしたいと開業を決意した。クリニックで設置しているところがまだ少ないCTを備え、エックス線検査ではわかりにくい肺炎や、初期の肺がん発見にも役立てたい考えだ。温かな笑顔が印象的な木村院長は、多くの人が選ぶルートよりも、信じる道を歩んできた情熱家。急な発熱、長引く咳、生活習慣病などを相談するかかりつけ医として呼吸器の専門家を選ぶと、どのようなメリットがあるのか。常に目の前の人が幸せであるように全力で診療に取り組む木村院長に、詳しく話を聞いた。
(取材日2026年10月2日)
呼吸器内科の長年にわたる経験を地元に還元したい
まず、医師を志したきっかけからお聞かせください。

実家が世田谷公園の近くにあり、母が近隣の病院で臨床検査技師をしながら女手一つで私を育ててくれました。子どもの頃から医療系の仕事には興味がありましたが、医師を志すようになったのは高校生の頃です。弘前大学時代はラグビー部に所属していてとても忙しい毎日でした。卒業後は東北大学で臨床と研究漬けの日々を過ごしましたが、旧帝国大学ならではの厳しさの中で医師としての土台を形成できたのは一生の財産ですね。内科を志す医師が10人いれば7人は消化器内科に進むような時代でしたが、あえて人の行かない道を選んだことが、現在の私の強みになっています。呼吸器内科の診療では、危機的な状況にあった患者さんの状態が大きく変化する場面に接することがあります。そうした経験を重ねる中、この分野に強く魅力を感じ、呼吸器内科の道を志しました。ほかの診療科は考えられませんでしたね。
仙台厚生病院では副院長も務められたと伺いました。
東日本大震災の翌年、仙台厚生病院へ移り、14年間勤務しました。同院の呼吸器内科は症例数・入院患者数がとても多く、一通りの呼吸器診療をやり尽くしたと思っています。新型コロナウイルスの感染拡大時には防護服を着て対応しましたが、これまでの常識を超えた強敵でしたね。また、呼吸器内科は喘息、感染症、肺がんの大きく3つの分野があり、私が専門としてきた疾患の一つである肺がんは、「治せない病気」と敬遠される傾向がありました。その後、肺がん治療のパラダイムシフトが起きてさまざまな治療法が確立され、今は希望する若手が増えているのを感慨深く思います。
その後、なぜ東京で開業されたのでしょうか。

病院の副院長からいずれ院長になり、患者さんと接する時間がなくなってしまうのだけは避けたいと考えていました。仙台で開業すれば長年築いてきた人脈もあり苦労はしなかったでしょう。でも、誰にも迷惑をかけず、アドバンテージのない場所で初心に返って一生懸命やりたいという思いから、東京で開業することにしました。子どもの頃からなじみのある世田谷公園から駒沢公園にかけてのエリアで物件を探しましたが、なかなか苦労しましたね。ようやく開業の日を迎えることができ、初日から近隣の方々にお越しいただけた時は本当にうれしかったです。
マルチスライスCTを活用し呼吸器疾患を見守る
こちらではどのような診療を行っていますか?

呼吸器内科を専門としながら一般的な内科診療も行っているので、風邪や生活習慣病などでも気兼ねなく足を運んでいただければと思っています。睡眠時無呼吸症候群(SAS)に関しても、自宅でできる終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)を行い、結果次第ではそのままCPAP治療も開始できる体制を整えました。また、急に熱が出たときも発熱症状に対応する外来を設けていますので、ご相談いただければと思います。電話予約は不要です。ウェブ予約、またはお待ちいただくことになりますが直接来院も可能です。一般診療の患者さんと動線を分けて隔離室も設けるなど、院内の感染症対策も徹底しています。急性期から診て、熱が下がった後も長引く咳に注意して、喘息へ移行しないように見守ることができるのも、呼吸器内科クリニックならではといえるでしょう。
なぜ、マルチスライスCTの導入にこだわったのですか?
呼吸器内科の診療で、CTはとても大きな役割を果たすからです。胸部エックス線検査だけでは見つけられない病変も少なくありません。肺がんはもちろん、気管支拡張症、間質性肺炎、肺炎、肺気腫などの早期発見のためにもCTは非常に有用です。当院では複数の断層画像を高速撮影できる先進のマルチスライスCTを導入しています。通常の5mmではなく2mm間隔でスライスし、小さな病変も見逃しにくい機種にしているのもこだわっている点です。呼吸によるブレも少なく、検査時間は2〜3分と短いため被ばく量も抑えられます。健康診断の胸部エックス線検査で異常を指摘されたら、早めにCT検査を受けるようにしてください。便潜血陽性だったら大腸内視鏡検査というくらい、CT検査も一般的な流れになれば、早期発見・早期治療につながり、救える命がもっと増えるのではないでしょうか。
患者さんに接するとき、何を大切にしていますか?

どなたに向き合うときも「今、考えられる最善を提示する」という思いで診療にあたっています。仙台厚生病院では、重症肺炎や間質性肺炎の急性増悪、肺がんなど多くの患者さんを診療してきました。中には、呼吸困難によって溺れるような苦しさを訴える方も少なくありませんでした。投薬治療で抑制が期待できる痛みとはまた別の苦痛です。つらい気持ちで見守るご家族へのケアも含め、できる限りのことをしてきました。また、肺がんは全身に転移することもあるため、全身管理が必要です。一つの臓器にこだわるのではなく、マクロ的な視点で全身を診てきたこれまでの経験を、プライマリケアの最前線でも役立てることができればと思っています。急変することも多い呼吸器疾患だからこそ、これからも緊張感を持って見守っていきたいです。
信頼されるかかりつけクリニックとして地域に貢献を
今後の展望についてお聞かせください。

東京にはさまざまな働き方の選択肢がありますが、私は医師として地域に貢献したいという思いを強く持ってきました。このエリアにはCTを備えた呼吸器内科のクリニックが少なかったこともあり、その特性を生かしながら、近隣の方々の健康で幸せな暮らしに少しでも貢献したいと考えています。また、開業にあたって力を貸してくれたスタッフとそのご家族にも、幸せであってほしいですね。SNSでの情報発信が得意な人もいれば、母親のような包容力で周囲を支える人もいるなど、スタッフは皆個性豊かです。当院の明るい雰囲気をつくる、かけがえのない存在だと思っています。
お忙しい毎日と存じますが、休日はどうお過ごしですか?
今はなかなか休みがないのですが、仙台時代はお酒を楽しむことが息抜きでした。東北の日本酒は本当においしいんですよ。特に好きなのが、会津から山形に抜けるラインの蔵元のお酒です。国分町のお店などにもよく足を運びましたね。長く住んでいた仙台は本当に魅力的な町で、ぜひ皆さんにも訪れてほしいと思います。私も時間ができたら久しぶりに足を延ばしたいですね。見どころや遊びどころもたくさんありますし、冬になると街の中心部にある勾当台公園に野外アイスリンクが設けられます。まだ小さかった子どもたちを連れて行ったのも懐かしい思い出です。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

急な発熱など困ったことがあれば気軽に受診してください。この辺りは学生街なので一人暮らしをしている学生さんも多いかもしれませんが、具合が悪くて心細いときなども遠慮なく立ち寄ってください。土曜も18時まで診療しています。また、風邪の後の長引く咳は放置されがちですが、重大な病気が隠れているケースもあります。当院はCTを備えているので、受診日当日に検査を受けて結果をすぐに知ることも可能です。万が一の場合も、東京医療センター、虎の門病院、NTT東日本関東病院などと連携し迅速に紹介しています。呼吸器に強みを持つホームドクターとして、末永く町に根づいて皆さんの健康を守っていくことが何よりの願いです。どんな小さなお悩みでも、頼りにしていただければと思います。

