土井 啓史 院長の独自取材記事
御所南リウマチ膠原病どいクリニック
(京都市中京区/京都市役所前駅)
最終更新日:2026/07/14
2026年6月に開業した「御所南リウマチ膠原病どいクリニック」は、リウマチ・膠原病を専門とするクリニック。院長の土井啓史先生は日本リウマチ学会リウマチ専門医の資格を持つリウマチ・膠原病のエキスパートだ。リウマチ・膠原病は、継続的な治療が必要にもかかわらず、専門のクリニックが少ないため通院に苦労するケースも多い。また「関節リウマチかもしれない」「膠原病の専門的な治療を受けたい」といった不安を抱えつつも、どのクリニックを受診すればよいのか迷う人も多い。土井院長は、これまでの経験を生かし「膠原病患者が安心して相談できる場所をつくりたい」と開業に至った。土井院長へのインタビューでは、経歴から膠原病・リウマチの治療について、診療で大切にしていることまでさまざまな話を聞いた。
(取材日2026年7月2日)
「困っている人を助けたい」という思いから医師へ
先生が医師をめざしたきっかけやご経歴を教えてください。

母が看護師をしていたことから病院との関わりも多く、小さい頃から医療になじみがありました。また困っている人のために何かをすることが好きな性分だったので、医師という仕事は自分に合っているのかなと思い、気づくと医師をめざしていました。琉球大学医学部へ進学し、卒業後4年間沖縄の病院で研鑽を積みました。その際、リウマチ・膠原病を専門に診る先生が少ないことを知り、そういった疾患で困っている患者さんをきちんと自分が診ることで、その方たちのその後の人生を変えられるのではと、リウマチ・膠原病領域をより専門的に学ぶために地元である京都に戻ってきました。京都大学医学部附属病院免疫・膠原病内科に入職し、京都大学大学院臨床免疫学教室で学びを深め、その後、京都大学の関連病院である滋賀県立総合病院では診療科長として免疫内科の立ち上げも経験しました。
開業に至った思いをお聞かせください。
リウマチ・膠原病は、専門にしている医師が非常に少ない領域です。大きな病院で治療を受けていた患者さんが、どんなに病気が落ち着いても逆紹介先が見つからず、総合病院や大学病院で継続的に診ていくしかないという状況も珍しくありません。簡単なことを気軽に相談できるかかりつけ医と、本当に困ったことを相談できる病院の医師が、患者さんをともに診ていく2人主治医制度を取ることが、非常に難しい状況と感じていました。そこで、膠原病に関することを気軽に相談でき、なおかつその他の小さな悩みにも幅広く対応できるような地域の窓口の必要性を強く感じて、今回クリニックの開業に至りました。開業後、患者さんからは「クリニックで膠原病について相談できるのは助かります」というお声を多くいただき、患者さんのニーズにお応えできたと感じています。
クリニックづくりでこだわったところはどこでしょうか?

まずアクセスの至便さです。京都市中から患者さんが来られるようにアクセスが良い場所にこだわりました。当院は京都市役所前駅・烏丸御池駅から徒歩5分の場所で、東西と南北に走っている地下鉄の2路線が利用可能。さらにバス停からも近く、近隣には大きな駐車場もあります。いろいろな手段を使って広い範囲から通っていただきやすいと思います。実際、開業してからは京都市内だけではなく、京都市外からも結構来ていただいています。院内のこだわりとしては、広めにスペースを取って落ち着いた雰囲気をめざしました。また検査機器としては、膠原病患者さんは状態の変化が多いので、血液検査にこだわりました。当日中にしっかり院内で結果を見ながら診察できる体制にするべく、腎機能、肝機能、電解質、CRPなどが測定できる生化学自動分析装置を導入しました。
病診連携にも注力し、シームレスな治療をめざす
膠原病にはどのような病気があるのでしょうか?

膠原病にはさまざまな病気がありますが、大半は自己に対する免疫の異常といわれています。免疫には大事な機能が2つあり、1つは敵を倒すこと。例えば、ばい菌など外から入ってきたものを攻撃することは大事な仕組みです。もう1つが自分自身を攻撃しないこと。しかし自己免疫疾患の患者さんはこの機能にエラーが起きて、自分の免疫が自分自身を攻撃してしまうことで慢性的に炎症が起きていることが共通点です。関節のこわばりや痛みが出る関節リウマチ、涙や唾液を出すところに免疫が反応してだんだん涙や唾が出なくなるドライアイやドライマウス、目の乾燥で苦しむシェーグレン症候群、他にもさまざまなところに免疫が反応して、全身にいろんな症状を起こす全身性エリテマトーデスなどがあります。
どんな症状があれば膠原病を疑うべきでしょうか?
関節のこわばりや痛みは、関節リウマチであるケースが考えられます。しかし実は関節リウマチ以外にも、例えば全身性エリテマトーデスや、多発性筋炎症・皮膚筋炎といった特発性炎症性筋疾患など、他の膠原病でも関節症状が起きることがあり、関節リウマチと思っていたけれども、実はもっと重篤な膠原病というケースもあります。また頬が赤くなる、指先の霜焼けが治らない、微熱が数ヵ月続く、冷たいものを触ると指が真っ白になるといった、意外と日常的な症状が実は膠原病の初期症状の可能性もあります。放置してしまうと見えないところで悪化していることに気づけずに発見や治療が遅れてしまうケースもあります。膠原病はできるだけ早い段階で専門的な診断と治療につながることが大切。初期のうちに適切な対応ができれば、症状の進行を抑え、関節の変形や臓器障害のリスクを減らすことにつながりますので、専門クリニックにかかるメリットは大きいです。
膠原病の検査や治療はどのように行っていくのですか?

免疫の情報を得るため、血液検査では抗体検査を行うケースが多いです。他にエックス線撮影や関節のエコー検査などを行います。膠原病の大半は免疫の異常なので、治療は全体的な免疫を落ち着かせるためのものになります。関節リウマチではメトトレキサートなどの抗リウマチ薬の服用の他、注射製剤の生物学的薬剤や内服薬のJAK阻害薬を使用します。また他の膠原病では必要な場合はステロイドを軸に使いながら、免疫抑制剤を併用することもあります。当院は、近隣の病院と連携しておりシームレスな治療につなげられる点も強み。入院加療が必要な場合はおつなぎし、状態が落ち着けば当院でフォローする形が可能です。
人生を邪魔しないライフステージに合わせた治療を提供
一般内科や発熱者の診療にも対応されていますね。

はい、専門である膠原病はもちろん、近隣の皆さんが少しでも安心できるように一般的な内科外来や発熱者の診療を行っています。健康診断で異常を指摘された場合などはゆっくり相談していただけますし、急にどこか痛くなったり熱が出たりして、どこに行って良いかわからないという方にも対応させていただきます。血液検査の結果を最短で当日中にお出しできることも当院の強みになると思います。またスタッフもリウマチなどの専門性を深めるために、勉強会に参加してもらっています。患者さんが安心して何でも相談できる場にしていきたいですね。
先生が診療をする上で大切にしていることは?
リウマチ・膠原病は、治療をすればすぐに治るという病気ではなく、10年、20年という長いスパンで治療を続けざるを得ない病気になります。そのため患者さんのライフステージに合った治療の提供を大切にしています。例えば若い女性であれば、将来の妊娠・出産の可能性を考え、妊娠・出産への影響が出にくいという視点から薬剤選択をしたり、働き世代であれば注射治療に毎週通うのは大変なので、月1回の治療に切り替えたりといったことを考えます。人生を邪魔しないような治療を一緒につくっていく視点を大切にしていきたいと思います。
最後に今後の展望をお願いします。

患者さんに対してハード面とソフト面の両面で、少しでも質の高いものを提供したいと思っています。まずハード面では、今後はCT検査も導入して、クリニックで検査を完結できるような環境づくりを整備していきたいです。またソフト面ではスタッフ一人ひとりが膠原病に対しての知識向上に励み、患者さんの安心につなげていきたいですね。これまで相談先がなかった膠原病患者さんが安心して相談できる、地域のかかりつけとして確立されたクリニックになるべく尽力してまいります。

