三浦 昭順 理事長の独自取材記事
やすらぎホームクリニック
(葛飾区/お花茶屋駅)
最終更新日:2026/07/10
京成本線お花茶屋駅から徒歩10分ほど。葛飾区白鳥の介護老人保健施設の1階にある「やすらぎホームクリニック」は、かかりつけ医としての外来診療から、専門的な消化器内科領域の診療と内視鏡検査、そして訪問診療・訪問歯科・レスパイト入院まで、一貫した医療の提供をめざすクリニックだ。三浦昭順(みうら・あきのり)理事長は食道外科・消化器内科の医師として長年病院で診療経験を積む中で、地域医療への思いを高め、同院の統括院長に就任。同院の新しい医療モデルを広めるべく日々邁進している。大きな使命を持ちながらも物腰はとてもやわらかく、患者想いの優しい先生といった印象の三浦理事長に、開業までの経緯や同院の特徴、思い描くビジョンなどの話を聞くと、現在の医療の課題に立ち向かう頼もしい姿が見えた。
(取材日2026年6月25日)
消化器疾患の診療に従事する中で地域医療に視点を移す
三浦先生はこれまで消化器疾患の診療や内視鏡のご経験を積まれてきたそうですね。

東京医科歯科大学を卒業後、まず大学院に進み、肺水腫の研究に従事しました。大学院修了後に福島の太田西ノ内病院の外科に勤務したのですが、当初は消化器外科ではなく血管外科に進もうと考えていました。ですが、その病院の外科のトップの先生が食道胃外科の先生で、かつ東京医科歯科大学の先輩でもあり、私たち後輩を熱心に指導してくださっていたのです。その先生のようになりたいと思い、食道胃外科に進むことに。福島での勤務は3年間でしたが、自分にとてもフィットしていたこともあり、そのままその道を進み、食道胃外科の医師として20年間診療を続けてきました。長年在籍していたのは東京都立駒込病院で、食道がんをはじめとした消化器疾患の診療に携わってきました。
病院に勤務する中で、地域医療に関わろうと思ったきっかけは何かあったのでしょうか?
もともと地域医療に対する構想はあったのですが、実際こうして地域医療に向かったのは、家族の病気や介護が大変になって自分の時間をつくる必要があったというのも理由の一つです。外科の医師という仕事柄、自由な時間が取りにくく介護に関しては後悔もあり、ご家族の介護を皆さんどうしているのか今でも考えています。もう一つ、当院は介護老人保健施設の1階にあるのですが、施設の方からここでクリニックをやってくれないかと打診があったこともきっかけです。そこで東京都立駒込病院を退職し、葛飾区にあるイムス東京葛飾総合病院の消化器内科で約2年間地域医療にふれ、2026年よりここの統括院長に就任するに至ります。
消化器疾患の専門的な病院から地域の病院に移られていかがでしたか?

専門医療だけでは支えられないことを実感しました。東京都立駒込病院の食道外科は、患者さんやご家族が病院のことを調べて全国から来られて、専門的な治療を受けたいという強い想いを持っている方ばかりでした。手術後も通う必要があれば、近くにウイークリーマンションを借りて通院する方も少なくありません。対して、イムス東京葛飾総合病院は地域医療の支点であり、地域の困っている方が来る病院です。がんの専門施設まで通うのが大変だから家から近いここで診てほしいという方もいます。でもそれは決しておかしなことではないのです。単身の高齢者だったり、ご夫婦どちらも高齢でご家族も遠方で頼れなかったりする場合、家の近くの病院にしか通えないのは普通のこと。それに応える医療の必要性を感じました。
外来から訪問診療、入院まで一貫して支える拠点に
改めてこちらのクリニックの診療の特徴を教えてください。

外来診療から、訪問歯科を含めた訪問診療、施設入所、入院まで当院を拠点に一貫して支える体制が当院の特徴です。特に高齢者に向けた地域医療の提供に注力しています。もう一つの強みとなるのが、私の専門でもあるがんの診断をはじめとする消化器疾患の診療を、高いレベルで行えることです。胃痛や胸やけなどの症状の相談から、高精細な先進のカメラを用いた胃の内視鏡検査も行い、葛飾区の健康診断にも対応しています。当院での診療はもちろんのこと、患者さんの症状に合わせて適した専門の医療機関への紹介も得意としています。
先生はどういった想いでこの医療モデルを構築したのでしょうか。
当院の理念は「住み慣れた地域で、最期まで自分らしく暮らせる社会」をめざして、医療・介護・福祉・生活支援が一つにつながる「地域包括医療」を実現することです。葛飾区は東京の中でも高齢者の多いエリアであり、困っている方の多いこの地域で医療はどうあるべきかを考え、このモデルにたどりつきました。当院に頼れば大丈夫、ここに来れば完結すると思っていただける医療の提供をめざしています。まだまだ問題点はありますが、改善しながら葛飾モデルとして全国に広げていきたいと考えています。
こちらは訪問歯科も対応されていますね。関わるスタッフさんについても教えてください。

当院はもともと歯科医師の江口友也院長が訪問歯科を行っていて、非常に丁寧な口腔ケアを行っています。通常別のクリニックになることが多い訪問歯科と内科の訪問診療が同じクリニックで行えるメリットはとても多く、スピード感を持って連携できています。また、こうした当院のようなクリニック、スタッフはとても大変だと思います。病院で育った看護師は病院の業務は得意、訪問診療専門クリニックの勤務を経ているなら訪問診療と、それぞれの経験はあっても、当院は高齢者医療に訪問診療に内視鏡に……と対応する分野が多岐にわたるため、新たに学び直さなくてはなりません。事務スタッフも同様の大変さを抱えています。ですが、モチベーション高く取り組んでくれているようで、勉強会を予定すれば多くのスタッフが参加に手を挙げてくれます。自慢のスタッフたちです。
地域医療においても、医療レベルを高く保つ
レスパイト入院もできる体制を整える予定とお聞きしました。

2026年7月に開設する予定ですが、そこができれば、介護疲れをしているご家族の休息のために短期間預けられるレスパイト入院も可能になりますし、大きな病院に入院するほどではないが家に帰るのは不安という方も受け入れられるようになります。例えば、ちょっとした肺炎を「自宅で診られるなら自宅で」と言われて家に帰ったら悪化してしまったというケースは少なからずあり、かといって病院には入院できない、そういう方を支えてあげられなければ、私のめざす地域医療は完成させることができません。訪問診療と、病院への入院、その間にいる方の受け皿になる場所を提供していきたいと思っています。
その他、今後めざされていることはありますか?
地域医療に加えて、レベルの高い医療の提供も当院がめざすところです。クリニックへの通院が難しくなった方には訪問診療、訪問診療が無理なら施設を含めたご提案をしていきますが、実はそれだけでは足りないと思っていて、専門性が高く、かつ精度の高い医療の提供というのも重視しています。加えて、それが普通と思っていただけるようにしたいですね。実際、当院の訪問歯科の口腔ケアはレベルが高いと思うのですが、患者さんやご家族はそれを普通のことだと思っていらっしゃるはずです。そのように高いレベルが普通となるようにならなければ、医療全体のレベルも上がっていきません。また、医療の質を保つために、訪問看護ステーションなどにも説明を欠かさず、チームとして取り組むことも大切にしていきたいと考えています。
最後に地域の方へのメッセージをお願いします。

ちょっとした心配事でも気軽に何でも相談しに来てください。「当院に来れば完結する」と思っていただけるよう努めていますが、決してすべて当院で診続けるというわけではありません。別のクリニックのほうが適した治療が受けられるのでは、というときは当然紹介もしますので、安心して頼っていただきたいと思います。また、消化器内科に関しては、20年以上専門的な治療に携わってきましたので、食道関係である胸やけや胃もたれ、ピロリ菌のことやがんの心配があれば、ご相談ください。内視鏡検査もこの地域には数少ない高精細なカメラを導入し、精度の高い検査を提供できると自負しています。また、地域の先生の中で胃ろうの交換に困っているという話も聞きます。当院では内視鏡下で胃ろうの交換も行いますし、胃ろうの造設にも対応していますので、当院に通える範囲内の方になりますが、ぜひご相談ください。

