大石 暢彦 院長の独自取材記事
大石歯科クリニック
(横浜市戸塚区/東戸塚駅)
最終更新日:2026/06/08
地域住民の「健口寿命」の延伸に尽力すべく開業し、20年にわたり、家族そろって来院できるクリニックをめざして地域密着の診療を続けてきた「大石歯科クリニック」。院長の大石暢彦先生は、健全な子どもの成長発育を促す口腔育成の取り組み、歯科医師を対象としたセミナーや、市民講演も行うなど活動の場を広げる歯科医師だ。開業後、町の成長とともに子どもの患者が増え、歯並びや噛み合わせに問題のある子が多いことに気づいたことをきっかけに、口腔育成として生活習慣改善のための指導や口腔筋機能療法を行うようになった。やわらかな笑顔が印象的な大石院長に、同院の診療の特徴や、小児歯科における口腔育成の可能性などについて話を聞いた。
(取材日2024年11月26日/更新日2026年3月19日)
家族で通える歯科として、「健口寿命」の延伸をめざす
クリニックの特徴をお聞かせいただけますか?

小児の口腔育成を中心にしながら、家族みんなで通える歯科をめざして診療を続けています。家族3世代で通ってくれる患者さんも増えてきて、うれしい限りです。そのために、これまで赤ちゃんから高齢者まで幅広い診療技術を身につけてきました。歯科医院は、歯や歯茎が痛くなってから治療に来るだけではなく、口腔内のトラブルを予防し、健康を維持するために来る場所でもあるという意識を地域に伝え、「健口長寿」を延ばすことが使命だと考えています。また「常に最善のものを選ぶ」ことを重視し、保険診療など経済的な問題以外のところでは、その時代を反映した最善の方法、最良の技術と材料を提供することをめざしています。
院内のこだわりを教えてください。
予防のために定期的に通っていただきやすくすることを心がけ、診療室はゆったりした半個室でプライバシーも確保し、静かな音楽が流れるようにしています。また、アクティビティールームを設置し、口腔育成に関する豊富な専門知識を持つエデュケーターと呼ばれるスタッフが、子どもの患者さんに対する呼吸や嚥下、姿勢などのレクチャーに集中できる空間をつくっています。口腔筋機能療法で行う呼吸や嚥下に関するトレーニングの指導や姿勢についてのアドバイスを行うエデュケーターは、子育て経験があるスタッフがほとんど。自身の成長のためにも勉強をしたいという意欲が強い人が集まっていますね。上から目線の指導ではなく、子どもたち一人ひとりと同じ目線で寄り添い、正しい方法を獲得するまで責任を持って伴走をする役割を担ってもらっています。
子どもの歯ブラシの開発にも携わっているそうですね。

ええ、そうなんです。約30年前に私がメーカーと共同開発した歯ブラシが原型で、スタッフたちからの後押しもあって、復刻に取り組んできました。ヘッドが広く毛に適度な弾力がある歯ブラシなら、歯をサンドするように包み込めて、きれいに磨きやすいんですよ。お子さんが自分で使う際も磨きやすいです。楽にきれいに磨ける歯ブラシがあれば、それを活用することで、お子さんにも親御さんにもストレスにならない仕上げ磨きができ、笑顔が増えるのではと思っています。
子どもの健全な成長発育を促す口腔育成に力を注ぐ
なぜ子どもの口腔育成に注力されるようになったのですか?

子どもの治療や予防を行う中で、歯並びが悪い子がとても多いことに気づき、正常な発達を促す口腔育成に力を入れるようになりました。例えば母乳で育つ時期が短いと顎が弱く、頬・唇・舌のバランスも悪くなりがちです。口呼吸や、加工食品などやわらかい物の多い食生活も歯並びや噛み合わせに影響を及ぼします。人間は息をすることや、食べることは教わらなくてもできるのですが、それらを必ずしも正しくできているとは限りません。そこで、呼吸法や姿勢、食生活などの改善を指導し、頬と唇、舌のバランスを整えるため、マウスピース型装置を用いた咬合誘導を行います。この取り組みにより、歯並びも自然に整うことが期待でき、ワイヤーによる矯正治療が不要になる、もしくは非抜歯矯正が可能になることも期待できます。ただ歯並びが整うというのはあくまでも期待できる結果であり、大切なのは子どもたちの健康発育だと考えて口腔育成に取り組んでいます。
マウスピース型の装置を使った咬合誘導とはどのような内容ですか?
口を閉じて鼻呼吸し、正しい位置に舌がある状態に整えるためのマウスピース型の装置を着けてもらいます。基本的には夜寝る時に口の中に装着しますが、大抵の場合、初めの1ヵ月くらいは朝までつけ続けられずに、布団の中に落ちてしまうでしょう。けれども、起きている時にお風呂や勉強、ゲームなどをするときに装着し、鼻呼吸や舌の位置を癖づけることでだんだんと長い時間着けていられるようになります。
口腔筋機能療法や咬合誘導など、口腔育成を開始する年齢はいつ頃が良いのでしょう?

乳歯から永久歯への生え替わりの時期でもある、5〜7歳くらいがベストタイミングですね。そのくらいから保護者がお子さんの歯並びに気がつきはじめると思います。矯正というと抜歯をしたり、ワイヤーで動かしたり、というイメージがあると思いますが、当院では早い段階で介入することで、歯を抜かずに「良い歯並びに育てる」ことをめざしています。歯並びが悪く育ってしまうと、虫歯になりやすくなってしまいます。歯並びを育てるところから、予防歯科は始まっているんですね。当院では大人の歯並びになる12〜13歳くらいまでは口腔育成の指導を続け、その後は定期検診に移行します。
笑顔で過ごせるよう、子どもと親の負担軽減に努める
子どもの治療で心がけていることはありますか?

治療では、お子さん本人の意思と保護者の協力が重要になってきますので、治療の内容や目的をしっかりとお子さんと保護者の両方に伝えるようにしています。そして、治療するかどうかの判断の際には「この歯をきれいにしてみたい?」などと本人に伺うようにしています。主体性が大事な治療なので、そこですぐに答えが出ない場合には、治療を開始してもうまく行きません。保護者の思いが強くても、本人の意思が定まってから開始することをお勧めしています。治療では呼吸や嚥下の仕方を少しずつクリアしていけるように、宿題ノートで指導しています。ほかにもお子さんに合わせて風船を膨らませるトレーニングを提案するなど、それぞれの性格に合った方法を提案します。また虫歯予防や診療全般についても、ご家族みんなが笑顔で過ごせるように、先ほどお話しした歯ブラシなどお子さんと保護者のストレスを軽減する工夫を心がけています。
診療以外では、講演会も多いそうですね。多忙な中、プライベートはどのように過ごされているのでしょう。
子どもたちの口腔環境を正しく導くことが私の歯科医師としてのやりがいやモチベーションになっているので、多くの保護者、そしてほかの歯科医師たちにも、この重要性を知ってほしいという思いで講演会を続けています。長年、講演を続けていますが、自分も勉強しないと人には教えられないと思い、勉強時間が減ることはありませんね。一方で、休日には歯科以外の分野のインプットも大事にしています。オペラ鑑賞をしたり、近くの海で自然を感じたりと気持ちを切り替えて楽しむ時間も必要だと感じています。
ところで、先生が歯科医師を志したきっかけは何だったのでしょうか。

父も歯科医師で、子どもの頃、父が患者さんに感謝される姿を見るたび、いい仕事だと思っていました。患者さんに対して父はとても丁寧に説明し、正しいブラッシング方法が身につくまで教えるのです。そんな父の背中を見て、何の迷いもなく歯科の道へ進みました。息子としては後を継いで地域医療に貢献することが親孝行と思っていたのですが、父は自分ができるうちは仕事をしたいと言うので、私は独立して東戸塚でこの歯科医院を開業したのです。大学では噛み合わせや、顎関節症などの臨床と研究に携わり、幅広い年代の診療にあたってきたので、その経験を生かして地域医療に貢献したいと考えています。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
当院では、お子さんの健全な成長発育を促す口腔育成に注力していますが、子どもの口腔機能発達不全症と共通点が多いのが、高齢者の口腔機能低下症。高齢になると、呼吸や咀嚼・嚥下、発音などの口腔機能が低下する方が増えてきます。これまでどおり、お子さんに対する取り組みに力を入れつつ、当院ならではの経験も生かして、ご高齢の方にも口腔機能を維持するトレーニングを提唱して、地域の「健口寿命」を延ばしたいと願っています。
自由診療費用の目安
自由診療とは小児の咬合誘導/50万円~

