大野 暢久 院長の独自取材記事
大野内科・循環器内科クリニック
(尼崎市/武庫之荘駅)
最終更新日:2026/07/15
阪急神戸線・武庫之荘駅から徒歩1分。地域に根差してきた安藤クリニックを継承し、2026年4月に開業した「大野内科・循環器内科クリニック」。鮮やかなネイビーブルーの看板が新たなスタートを告げる一方、慣れ親しんだ院内はそのままに患者を迎えている。院長の大野暢久先生は、心臓血管外科医として約40年間、急性大動脈解離の緊急手術やロボット支援下手術などに携わってきた。その中で「もっと早くに生活習慣の改善を図っていれば手術に至らなかったかもしれない」という例が多いことを肌で感じ、その思いが、予防医療を軸にしたかかりつけ医への道を開いた。穏やかな語り口が印象的な大野院長に、開業の経緯や外科医の経験を生かした診療について聞いた。
(取材日2026年6月8日)
心臓外科医の経験を携え、地域のかかりつけ医へ
クリニックを開業されるまでの歩みをお聞かせください。

心臓血管外科医として約40年間、手術の現場に立ち続けてきました。特に1999年以降の27年間は執刀医として、冠動脈疾患や心臓弁膜症、大動脈瘤や急性大動脈解離の緊急手術、さらにはロボット支援下の低侵襲僧帽弁形成術にも取り組みました。尼崎総合医療センターで16年、小倉記念病院で5年と大きな病院に長く勤めてきましたが、定年が近づく中で先を考えたとき、やはり医者としての仕事を続けたいという思いが強かったんですよね。手術を続ける体力はなくても、これまでずっと見てきた循環器疾患の患者さんを今度は内科的な視点で診ていく。それならばまだまだ患者さんのお役に立てると考え、循環器と生活習慣病を中心にしたクリニックの開業を決めました。
以前からこの地域とのつながりがあったのでしょうか。
当院の前身である安藤クリニックの安藤先生は、同じ心臓血管外科出身の大先輩にあたります。尼崎で勤務していた頃から、私が手術した患者さんの術後管理をお願いしたり、逆に手術が必要な方を紹介していただいたりと、長く信頼関係がありました。引退をお考えだと伺ったのが一昨年の秋で、開業前には九州から何度もこちらへ足を運び、安藤先生の診察に同席しながら患者さんをお一人お一人ご紹介いただきました。患者さんが不安にならないようにという配慮です。引き継いだ患者さんは高齢の方が多く、90歳を超える方も通われています。開業後は、以前私が手術を担当した方が「ここで見てほしい」と訪ねてくださることもありますね。武庫之荘駅から徒歩1分という通いやすさもあって、良いご縁に恵まれたなと感じています。
院内の設備で新しくされた点を教えてください。

内装はほとんど変えていないんですよ。看板が新しくなったくらいで、昔から通われている方には違和感なく来ていただけると思います。一方で、機器面は大きく変わりました。一番の変更点は紙カルテから電子カルテへの全面移行で、それに伴いエックス線検査装置、エコー、心電計、動脈硬化を調べる血圧脈波検査の機器もすべて新しくしました。電子カルテとの連携が必要だったので、結果的に全部入れ替えることになったんです。エックス線を撮ればその場ですぐ画像をお見せできますし、大きな病院から届くCTなどのデータも取り込んで保存できるようになりました。発熱のある方には裏口側で検査を行う体制も整えていますので、感染症対策の面でもご安心いただけるかと思います。
手術の現場で痛感した、予防医療への強い思い
長年手術に携わる中で、強く感じてこられたことはありますか。

手術の現場では、「もう少し早くなんとかできていれば」と感じることが多かったんです。例えば急性大動脈解離で運ばれてくる方は、昔から高血圧があるのに十分な治療を受けていなかったケースが多かったですし、心筋梗塞で冠動脈バイパス手術が必要になる方の多くは、糖尿病による動脈硬化の進行や長年の喫煙習慣が背景にありました。もちろん、きちんと治療していれば絶対に防げたかと言えば、そうとは言い切れません。でも、もっと手前でできることがあったんじゃないかという患者さんがいるのは事実なんです。生活習慣病の治療というのは薬さえもらえばいいわけではなく、文字通り日々の生活を整えるところから始まるもの。その大切さを、ぜひ知っていただきたいと思っています。
そうしたご経験は、クリニックでの診療にどう生かされていますか。
大きな病院は毎日のように手術をしているので、術後の患者さんを全員フォローしているとパンクしてしまうんですよね。町のクリニックでの経過観察が欠かせないのですが、心臓手術後の管理は少し特殊なので、慣れていない内科の先生ですと対応が難しいかもしれません。そういう患者さんを私が診ていければと思っています。また、手術が必要だと言われて不安な方への術前相談にも対応しています。本当に受けたほうがいいか、どの病院がいいかといった相談だけでも構いません。例えば動脈瘤を指摘されながら、動脈瘤に詳しい医師にかかれていなかったという場合、エコーで状態を確認した上で今後の方針をお伝えするようなこともあります。こうした見極めができるのは、外科医としての経験があってこそだと感じています。
お一人お一人と向き合う上で、心がけていることはありますか。

同じ病名であっても患者さんの状態は千差万別ですので、お一人お一人の声にしっかり耳を傾けることを大切にしています。本当にすぐ対処すべき場合もあれば、心配のいらない場合もある。患者さんの背景によっては数年で進行するおそれがあるので半年ごとの検査をお勧めすることもありますし、ほとんど進行しない可能性が高い方であれば年に1回程度の経過観察で十分なこともあります。こうした見極めは、お一人お一人の状況を丁寧にお聞きしなければできません。また、風邪や発熱といった一般内科の診療にも対応していますし、新型コロナウイルスやインフルエンザの検査も行っています。動悸や息切れなど気になる症状があれば、ひどくなる前の早い段階で来ていただければと思いますね。
強固な病診連携で、地域の健康を見守り続けたい
患者さんを長く支えていくための体制について教えてください。

スタッフは当院の前身である安藤クリニックの時代から全員残ってくれていまして、患者さんにとっても慣れ親しんだ顔ぶれがそのまま迎える環境になっています。また、訪問診療も安藤先生から患者さんを引き継いで続けています。長く外来に通われていた方が、徐々に自力での通院が難しくなると、訪問介護、訪問看護、そして訪問診療へと段階的に在宅療養に移行していくことになります。これは私が意図的に増やすものではなく、患者さんの状態に合わせて必然的に増えていくものですが、一人で診療していますので、5~6人くらいが現実的な上限とは思っています。とはいえ、長く通ってくださった方を最後まで支えていきたいという気持ちはありますので、できる限り対応していくつもりです。
今後どのようなクリニックにしていきたいとお考えですか。
当面は、循環器を中心とした生活習慣病の管理という今の柱を着実に続けていきたいと考えています。クリニックで対応が難しいケースは、専門の先生に紹介する方針ですが、16年間この地域の基幹病院で働いていた分、紹介先とのつながりはしっかり築いてあります。信頼できる先生方におつなぎしますので、その点はご安心いただければと思います。また、開業医は勤務医に比べて診る患者さんの数が多い分、データが集まりやすいという面もあります。何か気づいたことがあれば少し掘り下げて調べてみたいなとも思っています。趣味の自転車も落ち着いたら再開したいですね。一人で診療していますから、自分が倒れるわけにはいかないので、健康管理もしっかりしないとと思っています。
最後に、読者の方へメッセージをお願いします。

健診で血圧や血糖値の問題を指摘されたら、まずは受診していただきたいですね。糖尿病や高脂血症は血液検査をしなければわかりませんし、健診で「要医療機関受診」となった場合、結果的に治療が不要であっても一度は確認したほうがいいと思います。ひどくなってからでは治療の選択肢が狭まってしまいますから、早めに来ていただくに越したことはありません。ちょっと気になるという段階でのご相談でも構いませんし、必要があれば適切な医療機関へおつなぎできます。心臓血管外科医として手術の現場に長く立ってきたからこそ、生活習慣に早い段階で対処することの大切さを身にしみて感じています。その思いをこれからは予防医療に注ぎ、地域の皆さんの健康を長く見守っていきたいと考えています。
自由診療費用の目安
自由診療とは基本健診(診察、身体測定、血圧、血液検査、胸部レントゲン写真、心電図)/9900円、健診(胸部レントゲン写真または心電図なし)/9350円、健診(胸部レントゲン写真および心電図なし)/8800円、血液検査/8000円、エックス線検査1枚目/5000円、2枚目以降/ 2500円、心電図検査/2600円、エコー検査(心臓)/1万8000円、エコー検査(腹部)/1万1000円

