田中 大貴 院長の独自取材記事
総合診療・内視鏡 タナカ内科
(名古屋市名東区/一社駅)
最終更新日:2026/07/06
高針バス停から徒歩3分の住宅街に、2026年5月に開院した「総合診療・内視鏡 タナカ内科」。院長の田中大貴先生は、三次救急病院や在宅診療の現場で経験を重ね、消化器内科と総合診療の双方を専門とするドクターだ。「病気を治療するだけでなく、その方が自分なりの生活をちゃんと送れることが最終的なゴール」と明るい口調で語る田中院長の診療は、体の症状だけでなく心の不安にまで目を向ける。ベージュ基調の温かみある待合室と落ち着いた色調の検査室、そして田中院長の思いをくんで動く温かいスタッフが患者を迎える。苦痛の軽減をめざした内視鏡検査と、一人ひとりの暮らしまで見据えた総合診療。その2つの軸に込めた思いやこだわりを、田中院長にじっくりと聞いた。
(取材日2026年5月20日)
病気を治療するだけでなく、その先の生活まで支えたい
まず、こちらのクリニックを開業された経緯を教えてください。

以前は名古屋医療センターという三次救急病院に勤めていました。重症の方が運ばれてきて、急性期の治療を終えると退院や転院になるのですが、その先がずっと気になっていたんです。例えば足が不自由な方が退院したあと、家の段差で転ばずにいられるだろうか、一人暮らしなら食事はどうしているだろうか。病気を治療することは医師の仕事ですが、その方が自分なりの生活をちゃんと送れることが最終的なゴールだと思うんですよね。訪問看護師さんたちと協力しながら、クリニックと訪問の両方の面からもしっかり支えたい。その思いを実現するには開業が一番だと感じました。この土地で生まれ育ち、父が40年間すぐ近くで歯科医院を営んできた場所ですから、地域への愛着も大きな後押しになりました。
先生のこれまでの歩みについてお聞かせください。
父が歯科医師で、技術を持って患者さんと向き合う姿にずっと憧れていました。現在は父と姉が歯科を担い口腔からの健康を支えているため、私は全身を診て「食べる力」を支えたいと考え、内視鏡に惹かれて消化器内科を選びました。3年目に総合内科を経験した際、先輩医師から「次に入院させないためにはどうすればいいか」と常に問いかけられたことが、今の自分の原点になっています。名古屋医療センターでは約10年間、胃がんや大腸がんの内視鏡治療にも携わりました。その後、大同病院の小児科で勤務、豊田地域医療センターで在宅診療の部門長を3年間務め、開業前の1年間は中野胃腸病院で、毎週集中的に内視鏡の研鑽を積みました。消化器内科と総合診療、両方の経験が今の診療の土台となっています。
診療を支える設備や空間づくりのこだわりを教えてください。

当院の強みは、総合診療と内視鏡という2つの軸を両立させていることです。それを支える設備として、CTと内視鏡にこだわりました。CTがあることで診断の精度を追求でき、患者さんに自信を持って結果をお伝えできます。内視鏡は高性能なモデルを導入しており、細かい血管の構造まで確認できるため、ポリープが良性かどうかの判別にも役立ちます。空間づくりでは、外観をベージュ基調のタイルで温かい印象に仕上げ、待合室も温かみがあるリラックスできる雰囲気にしました。一方、診察室や検査室はクールグレーの落ち着いた色合いにしています。幅広いご年齢層の患者さんに安心してご利用いただけるよう、待合室は広めに確保し、内視鏡室と処置室の動線も工夫して、多くの方がスムーズに検査を受けられる設計にしました。
心身の健康を支え、がん予防を身近に
内視鏡検査について、先生が特にこだわっている点を教えてください。

胃内視鏡検査や大腸内視鏡検査は、究極のがん予防だと考えています。大腸がんは罹患率の高いがんですが、実はポリープの段階で切除すれば防ぐことが期待できます。ただ、苦しいというイメージが強く、検査を避けてしまう方が多いのが現状です。だからこそ苦痛を限りなく減らす工夫を徹底しています。使用する麻酔薬にもこだわっています。すぐに眠れることが見込め、体からの排出も早いため、スムーズな目覚めが期待できます。また、勤務医時代に胃がんや大腸がんの内視鏡治療を数多く経験してきたことで、検査の際にがんを見分ける目が養われている点も自分の強みだと思っています。
院名にも掲げている「総合診療」には、どのような想いを込めていますか。
当院のロゴには、不安で高まった気持ちを医療というエキスパートの力で安心安定のラインに戻してあげたいという思いを込めています。健診の結果が気になる、体調がすっきりしないといった不安は、検査だけでは解決できないことも少なくありません。子育ての悩みを抱えた親御さんの話をじっくり聞くこともありますし、心の不調だと思っていたら実は内科の病気が隠れていたというケースもあります。内科の医師だからこそ、心と体の両面からアプローチできるのは大きな利点だと感じています。また、高齢になれば病気でなくても体は弱っていきます。年齢による変化も含めて医学的に支えること、通院が難しくなった方には在宅診療で対応することも、総合診療の大切な役割だと考えています。
患者さんと接する際に心がけていることを教えてください。

患者さんが話していることがすべてではない、その奥に何があるのだろうと常に意識しています。目の動きや表情、緊張した様子など言葉以外の情報にも気を配り、検査結果を伝えたあとも「本当に納得できましたか? 気になることがあれば何でも言ってくださいね」と声をかけるようにしています。できれば家族全体のことまで見据えた診療を心がけたいですね。もう一つ力を入れているのが、メッセージアプリを使ったチャット相談です。かかりつけの患者さんに登録していただければ、お子さんの急な発熱時などに受診前にご相談いただけます。クリニックにかからなくても、不安に感じたときにすぐに相談できる相手が身近にいるという感覚をシステムとして届けたいんです。医療的な内容は私自身がお返事していますので、安心してご活用いただけると思います。
温かいスタッフとともに、地域の安心を支え続ける
スタッフの皆さんについてお聞かせください。

常勤7人、非常勤3人の計10人でスタートしました。全員、新たに採用したスタッフです。歯科医院と間違えて入ってきた患者さんを外まで案内して歯科医院への行き方を教えてあげるなど、自然と温かい対応をしてくれていたのが非常にうれしかったですね。内視鏡に携わるスタッフには、当院でのやり方を一緒に話し合い、検査のオペレーションや麻酔の扱い方を学んでもらいました。皆、素直に吸収してくれて、当院のめざす医療に合わせて動いてくれています。私の思いをくんでくれる温かいスタッフに恵まれたことは、本当にありがたいですね。
これまでの診療で、心に残っている出来事はありますか。
勤務医時代に、末期の胃がんの患者さんに向き合ったことがあります。大きな病院では最期まで診ることが難しく、その方も別の施設へ転院されましたが、亡くなったあと息子さんから「自分も病気になったら先生に診てほしい」と手紙をいただきました。つらい入院生活を送る若い患者さんに毎日寄り添った経験もあります。患者さんと真剣に向き合ってきたからこそ得られた経験が、今の診療に生きています。これからはより多くの方にこの医療を届け、内視鏡検査の普及を通じて地域の胃がん・大腸がんを減らすことにも貢献したい。関わってくださる患者さんを安心安定のラインに常に導ける存在でありたいと思っています。
最後に、読者の方へメッセージをお願いします。

日々の暮らしの中で、健康のことに限らず何となく不安を感じることは誰にでもあると思います。体調がすっきりしない、検診の結果が気になる、子どもの様子が心配――そんなときに気軽に相談できる場でありたいと考えています。体のことはもちろん、普段の生活で悩んでいることも含めて、一緒に解決の道を探っていければうれしいです。それから、内視鏡検査についてもお伝えしたいことがあります。これまでに胃内視鏡検査や大腸内視鏡検査でつらい思いをされた方、検査に抵抗を感じている方にこそ、一度当院の内視鏡を体験していただきたいんです。麻酔の工夫をはじめ、できる限り苦痛を減らす取り組みをしていますので、きっとこれまでのイメージが変わるのではないかと思っています。

