安田 聖人 院長の独自取材記事
皮ふと爪の診療所
(福岡市南区/高宮駅)
最終更新日:2026/06/12
福岡市の住宅街、メディカルモール内に2026年5月「皮ふと爪の診療所」が開院した。院長の安田聖人先生は、数多くの大規模病院で皮膚科・形成外科の医師として研鑽を積み、日本形成外科学会形成外科専門医と日本熱傷学会熱傷専門医の資格を有する。湿疹や巻き爪といった身近な皮膚トラブルから、けがややけど、粉瘤の手術まで幅広く診る。飾らない語り口が印象的だが、ベトナムでのボランティアに手弁当で赴くなど人情味あふれる先生だ。クリーム色と木目調の温かな院内にはペットロボットや絵本が置かれ、子どもから高齢者まで親しみやすい雰囲気が漂う。「公民館や道の駅ぐらいの気持ちで気軽に来てもらえたら」と話す安田院長に、開業の経緯や診療への思いを聞いた。
(取材日2026年5月26日)
「“治った”という喜びを共有したい」その思いを形に
先生が皮膚科・形成外科の道を選ばれたきっかけをお聞かせください。

皮膚の治療は、患者さん自身が変化を感じやすい分野です。かゆみの改善につながった、きずがきれいに治るよう促せたなど、治療の実感や喜びを患者さんと共有しやすいことが、この領域の魅力だと感じています。形成外科も皮膚科も同じ皮膚を扱う診療科ですが、考え方や治療へのアプローチには異なる部分もあります。2つの領域を経験したことで、“患者さん自身が治す力”と“医師の技術が支える部分”の両方を深く理解し、そのバランスを大切にすることが重要だと考えるようになりました。その上で、根本的なところではとてもシンプルで、患者さんが喜んでくれることが、こちらにとっても大きな喜びになる──それがやはり医療の原点だと思っています。その手応えを日々感じられることが、この分野で診療を続ける大きなやりがいになっています。
勤務医時代はどのような環境で経験を積んでこられましたか。
大学病院をはじめ、厚生病院や労災病院、赤十字病院、救急病院など、数多くの総合病院で勤務する機会に恵まれました。急性期から慢性期まで、病院ごとに役割や機能が異なるので、随分といろいろ勉強させてもらうことができましたね。熱傷や先天異常、難治性の潰瘍、皮膚がん、頭頸部の再建手術など症例も幅広く、骨を切るような大きな手術から顕微鏡を使って細い血管やリンパ管をつなぐ繊細な手技まで経験してきました。皮膚科や耳鼻咽喉科の先生と連携して診断から手術まで一貫して担当する機会も多く、それが今の診療スタイルにつながっています。2020年からは皮膚科クリニックの院長も務め、日本形成外科学会形成外科専門医と日本熱傷外科学会熱傷専門医の資格も取得しています。
福岡での開業に至った経緯を教えてください。

これまで大きな病院で診療してきた中で、治療が複雑化したり、複数の診療科が関わったりすることで、患者さんと喜びをじっくり共有することが難しい場面も少なくありませんでした。皮膚科と形成外科の両方を経験した今、患者さん自身が治っていく過程をそばで支えること、そして必要な場面では技術にこだわった治療を提供すること、その両方を大切にしたいと考えています。福岡はこの先も長く地域の方に通っていただける場所だと感じ、開業地に選びました。隣に内科もあり、ここでなら自分の医療を真っすぐ届けられる環境がそろっていると感じました。タイミングとご縁です。院内はクリーム色をベースに木目調で温かみのある雰囲気にしていて、待合室にはカラフルな椅子やペットロボット、絵本なども備えています。お子さん連れの方にもくつろいでいただける空間を心がけました。
一人ひとりに合わせた、最善の提案を心がける
開業されて間もないですが、どのような患者さんがいらっしゃっていますか。

今は近隣にお住まいの方がメインで、高齢の方を中心に、お子さん連れのご家族も少しずつ増えてきています。近くに皮膚科が少なかったから、当院ができてうれしいとのお声も伺います。症状としては湿疹や皮膚炎、虫刺され、あせもといった一般的な皮膚疾患が中心ですが、けがややけど、巻き爪にも対応しています。巻き爪矯正はワイヤーやフックなど複数の選択肢を設けていて、爪の状態や炎症の程度に応じて保険診療から自由診療のものまで一通りご説明した上で選んでいただく方針です。粉瘤の手術も含め、診断から治療までワンストップで対応できるのが当院の特徴ですね。処置室には超音波検査装置も設置しています。体表から深部まで血流を含めた観察ができるので、診断にとても役立つんです。
診療や処置の際に心がけていることをお聞かせください。
処置や手術では、まず麻酔を丁寧に行うことを大切にしています。麻酔は打ってすぐ効くわけではないので、薬がしっかり行き渡るまで待ってから始めます。特にお子さんのけがの場合、一瞬でも痛い・怖いと思うとその後の処置が難しくなり、病院がきらいになってしまいます。だからこそ、麻酔の段階から細かく気を配り、「できるだけ痛くない」「怖くない」そう感じてもらえるように、声かけや手順にも工夫をしています。小さな処置でも、手術でも、「ここなら大丈夫だった」と思ってもらえるような診療を心がけています。もう一つ、心がけているのがスキンケアの指導です。皮膚科の治療では、塗り薬が治療の中心になるのはもちろんですが、毎日のスキンケアがその効果を大きく左右します。そのため、「薬を塗る前のスキンケア」も治療の一部と考えています。日々のスキンケアという土台をしっかり整えることが、改善には大事なんですよ。
治療を提案する際に大切にされていることを教えてください。

私が大切にしているのは「最高・最新の医療が最善とは限らない」ということです。患者さんにとって何がベストかは、やはりご本人に聞かないとわからない。塗り薬がいいのか飲み薬がいいのか、通院間隔を延ばしたいのか、金額を抑えたいのか。事情は一人ひとり違いますから、「これを出しますね」ではなく「どうしましょうか」といくつかの選択肢を一緒に相談して決めるようにしています。金額面の説明も大事にしていて、最近は新しい薬と昔からある薬とで価格差がかなり大きくなっていますから、保険診療であっても処方前にお伝えするようにしています。「この薬はこのために出しています」という目的をお互いに共有して、同じゴールに向かっていくことが大切だと思っています。
公民館のように気軽に通える場所をめざして
スタッフの皆さんについてお聞かせください。

当院のスタッフはみんな経験がバラバラで、小児科で働いていた人もいれば、ケアマネジャーの資格を持っている人もいます。同じ分野にずっと携わってきた人をそろえたわけではなく、それぞれの得意分野で補い合えるチームになっているのがいいところだと思っています。スタッフには、患者さんに敬意を持って接するように、ということだけは繰り返し伝えています。特にご高齢の方に対して、口調が上からになったり、教えるような態度になったりすることがないように気をつけてもらっています。忙しい中で患者さんへの対応がおろそかにならないよう、私自身も、常に意識するようにしています。
先生ご自身の研鑽のために取り組まれていることはありますか。
主にベトナムで、形成外科の仲間と一緒にボランティアに行っています。1週間から2週間ほど滞在して現地の方のお手伝いをするんですが、日本ではなかなか出会わない経験ができる非常に貴重な機会です。一人で開業していると、どうしても世界が狭くなって考え方が偏ってきてしまう。一人善がりにならないように、こうした活動を通じて考え方をアップデートしていくことが大事だと思っています。視野を広く保つことが、日々の診療にも生きてくると考えています。
最後に、地域の方々へメッセージをお願いします。

ご家族みんなで通っていただける場所にしていきたいと思っています。お子さんを連れてきて「ここなら安心」と感じてもらって、それならきょうだいも連れてこようと、より多くの方に通ってもらえるようになるといいですね。皮膚のトラブルというのは、「これぐらいなら大丈夫では?」「こんなことで診てもらうのは申し訳ない」と思って受診されない方が結構いらっしゃるんです。でも、そんなことは全然思わなくていいんですよ。近所の公民館や道の駅に立ち寄るぐらいの気持ちで、気軽にお越しいただけたらうれしいです。けがややけども、ちょっとしたことと思わず早めにご相談くださいね。
自由診療費用の目安
自由診療とは薬剤を用いた巻き爪矯正/4400円、巻き爪矯正(弾性ワイヤー)/5500円~、巻き爪矯正(フック)/7700円、ピアス(両耳垂)7700円

