早めの受診が「悪循環」を防ぐ
見過ごさないで、子どもの便秘
藤が丘こどもあクリニック
(名古屋市名東区/藤が丘駅)
最終更新日:2026/06/19
- 保険診療
便秘は大人にも身近な症状のため、「子どもの便秘くらいで受診していいのだろうか?」と迷う保護者も少なくない。しかし、便秘を放置すると悪循環に陥り、自力で排便できなくなるだけでなく、便意そのものを感じにくくなり、漏便(ろうべん)が続く状態に至ることもあるという。さらに子どもの場合、排便のトラブルは生活や心にも大きな影響を及ぼす。失敗への不安から登園しぶりや不登校につながるケースもあるそうだ。「便秘の悪循環が起こる前に、少しでも心配なことがあれば気軽に相談してほしい」と話すのは、「藤が丘こどもあクリニック」の宮本亮佑院長。小児の消化器疾患において豊富な治療経験を持ち、子どもの便秘診療に力を注ぐ宮本院長に、受診を検討するタイミングや治療の進め方、家庭でできるサポートについて詳しく話を聞く。
(取材日2026年6月1日)
目次
子どもの便秘は環境変化がきっかけになることも。気になる症状は早めに相談を
- Q子どもの便秘にはどのような特徴があるのでしょうか?
-
A
▲院内のサイネージで子どもの便秘についても解説
大人の便秘とは異なり、小児の場合は「便秘になりやすい3つの時期」があることが特徴です。1つ目は離乳食期です。母乳やミルクから食事へと切り替わることで便の性質が変わり、出にくくなることがあります。2つ目はトイレトレーニングの時期で、排便の場所や姿勢の変化が引き金になります。そして3つ目が、小学校へ入学する学童期です。授業中にトイレへ行きにくく、恥ずかしさから我慢癖がつき、便秘が始まることも少なくありません。また、家族に便秘の人がいると、お子さんも便秘になりやすい家族集積の傾向があります。親御さんが自分の排便ペースを基準に「3日に1回でも普通」などと思い込んでいると、受診が遅れる原因にもなります。
- Q治療をせずに放置すると、どのようなリスクがあるのでしょうか?
-
A
▲「気になる症状があれば早めに相談することが大切」と宮本院長
「便秘の悪循環」と呼ばれる状態があり、便を我慢すると、腸で水分が吸収されて便は硬く、大きくなっていきます。これが巨大化すると、自力では肛門から出せなくなります。さらに、大きな便が直腸に長期間とどまると、ズボンのゴムが伸びきるのと同様に、直腸が広がってしまいます。すると、便がたまっても便意を感じにくくなり、ますます排便が難しくなります。症状が進行すると、詰まった便の隙間から液状の便が漏れ出る漏便(ろうべん)が起こることがあります。下着が汚れるため、「毎日便が出ている」と誤解されがちですが、実際には便が詰まっているサインです。この段階になると治療が長期化し、入院治療が必要になることもあります。
- Q子どもの便秘で、クリニックを受診する目安を教えてください。
-
A
▲ロゴに込められた想いのように、保護者にも寄り添う姿勢を
目安としては、排便の回数や量が減ってきたことに加え、おなかを痛がる、息んでも便が出ない、大きくて硬い便がポトンと出る、排便時に出血があるといった症状が見られる場合です。また、便秘はおなかの痛みだけでなく、嘔吐の原因になることもあります。「なんとなく体調が優れない」の背景に、実は便秘が隠れていることも少なくありません。便秘の治療は早いほど悪循環を防ぐことにつながります。お子さんの場合、我慢する癖がついてしまったり、排便に対する恐怖心を持ってしまったりすると、治療が難しくなることもあります。「そのうち治るだろう」と様子を見続けるのではなく、気になる症状があれば早めに相談することが大切です。
- Q治療はどのように進めますか?
-
A
▲エコーを活用し、保護者にもわかりやすいように診察を行う
排便のペースは一人ひとり異なり、2~3日に1回でも、その子にとって問題のない場合があります。また、ほかの病気が隠れていないか確認するためにも、まずは小児科の受診をお勧めします。当院では、エコーで直腸の便の大きさや腸の伸び具合を確認しています。放射線を使わないため体への負担が少なく、その場で状態を確認できるのが特徴です。治療では、まずたまった便を除去した上で、赤ちゃんには腸内細菌の働きを助けるためのお薬、2歳以上のお子さんには自然な排便を促すためのお薬を使用します。その後、便の減り具合をエコーで確認しながら、生活習慣や食習慣も見直し、最終的にはお薬なしで自然に排便できる状態をめざします。
- Q家庭でできるサポートはありますか?
-
A
▲待合室では栄養士がヒアリングしてくれる曜日がある
まずは排便のペースや便の硬さ、いつ出ているかを把握しておくことが大切です。ただ、学童期以降はお子さんが恥ずかしがるようになり、なかなか教えてくれなくなります。気づいた時には重症化していることもあるので、日頃から「今日うんち出た?」「おなか痛くない?」とさりげない声かけを続けてあげてください。中高生も同様で、進学など環境の変化が大きい時期には気にかけてほしいと思います。子どもの便秘は社会生活にも影響を及ぼします。漏便が原因でからかわれたり、不登校につながることもあります。様子がおかしい、排便のペースが落ちてきたなど、小さなサインを見逃さないことが、ご家庭でできる一番のサポートではないでしょうか。

