宮本 亮佑 院長の独自取材記事
藤が丘こどもあクリニック
(名古屋市名東区/藤が丘駅)
最終更新日:2026/06/11
藤が丘駅から徒歩4分。利便性とほど良い静けさが融合する住宅エリアに、2026年5月に開院した「藤が丘こどもあクリニック」。グレーを基調に木目と緑を取り入れた院内は、日々奮闘する保護者にも「ほっ」としてもらいたいという思いから、穏やかな空間に整えられている。院長の宮本亮佑先生は、日本小児科学会小児科専門医と日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医の資格を併せ持ち、愛知医科大学病院で子どもの便秘を中心に消化器疾患の治療に力を注いできたスペシャリストだ。自身も3人の子を持つ父親として子育てを経験しているからこそ、保護者の負担や不安にも深く寄り添う。今回は、便秘に悩む子どもと家族に寄り添うクリニックづくりについて、宮本院長に詳しく話を聞いた。
(取材日2026年5月21日)
子どもの便秘には「なりやすい時期」が3回ある
子どもの便秘診療に力を入れるようになった経緯を教えてください。

前任地の愛知医科大学病院で小児の消化器疾患を担当していた際、近隣のクリニックから「うちでは対応が難しい」と、重症の便秘のお子さんが紹介されてくるケースが増えていったんです。診療を通じてお子さんの苦しみに寄り添うことができ、お子さんやご家族の「生活の質(QOL)」の向上に貢献できるという確かな実感を得られたことが、便秘診療に注力する大きなきっかけになりましたね。また、便のトラブルはお子さん自身が恥ずかしさから隠してしまったり、親御さんにも言い出せなかったりするという背景があります。日々たくさんの悩める保護者の方々と接する中で、「大学病院まで行かなくても、地域に根差したクリニック規模で、専門的な便秘診療を届ける必要があるのではないか」と考え、開業を決意しました。
大人の便秘と子どもの便秘には、違いがあるのでしょうか。
そうですね。大人の便秘とは異なり、お子さんの場合は「便秘になりやすい3つの時期」があります。1つ目は離乳食期で、母乳やミルクから食事へと切り替わることで便の性質が変わり、出にくくなるパターン。2つ目はトイレトレーニングの時期で、排便の場所や姿勢の変化が引き金になります。そして3つ目が、小学校へ入学する学童期です。授業中にトイレへ行きづらかったり、恥ずかしさがあったりして我慢癖がつき、便秘が始まってしまうお子さんが少なくありません。実は私自身、PTA会長を務めた際に学校のトイレ環境を調べたことがあるのですが、古い校舎のトイレがそのままで、子どもたちが使いたがらないという現状を目の当たりにしました。こうした環境の変化と我慢の積み重ねが、子どもの便秘の大きな特徴です。便秘は期間が長いほど重症化しやすいため、周囲の大人が早めに気づいてあげることがとても大切です。
受診のタイミングに迷う保護者は多いかと思いますが、目安はありますか。

力んでも出ない、排便の回数が明らかに少ない、出すときに痛みを伴うといったサインが少しでもあれば、便秘が始まっている可能性があります。排便ペースは1日に1回程度が1つの目安ですが、個人差が大きく、当院ではエコーでその子に合ったペースかどうかを確認します。「便秘だけで受診していいのかな」と迷われる方も多いですが、ぜひ来てください。ほかにかかりつけの先生がいる場合でも、便秘だけのご相談でまったく問題ありません。実際にホームページやSNSをご覧になって区外から来てくださる方もいらっしゃいます。適切に治療を行えばお子さんの便秘は改善が見込めますから、気になったら早めにご相談いただければと思います。
小児科と消化器、2つの専門性が支える便秘診療
先生が医師を志されたきっかけや、ご専門に進まれた経緯を教えてください。

父が整形外科医だったこともあり、医師は幼い頃から身近な存在でした。志したきっかけは、高校1年生の時に椎間板ヘルニアで手術を受けた経験です。「医師とはなんて素晴らしい仕事なのだろう」と身をもって感じ、医療の道を歩み始めました。もともと内科系に関心がありましたが、医学部の小児科実習で、元気な笑顔を見せる子どもたちと、安心した表情を浮かべる保護者の姿にふれ、「本当にやりたいのは小児科だ」と確信したんです。一方で消化器内科にも惹かれており、両立の難しさから一度は諦めかけましたが、5歳児の炎症性腸疾患の診断に携わったことで転機が訪れました。子どもに内視鏡検査を行う「小児消化器」という分野を知り、「これこそ自分の進む道だ」と点と点がつながったのです。その後は愛知医科大学病院で内視鏡治療の研鑽を積み、現在の診療へとつながっています。
こちらのクリニックでは、便秘の治療をどのように進めていくのですか。
初診ではまず、排便のペースや食事内容、偏食の有無、水分摂取量などを詳しく伺います。生活面のアドバイスだけでは改善が難しいことも多いため、お薬の併用が基本です。便をやわらかくするためのものや腸の動きを促すためのものなど、4〜5種類の中からお子さんの年齢や飲みやすさに合わせて処方します。診察では超音波(エコー)を使い、便のたまり具合をリアルタイムで画面に映して説明します。目で見てわかるため、保護者の方にも状態をパッと理解していただけるのが強みです。通院は最初1〜2週間後に再診し、安定すれば月1回程度になります。なお、重症で入院による処置が必要なケースは、安全面を最優先に考え、私が以前勤めていた愛知医科大学病院へ迅速に紹介します。お子さんは麻酔の影響が出やすいため、大学病院と密に連携して安全性に配慮した医療をお届けすることに努めています。
お子さんや保護者と接する際に、大切にしていることはありますか。

難しい言葉を使わないことを、一番に心がけています。専門用語を並べても伝わるのは医師同士だけですから、保護者の方にしっかり理解していただけるよう、一つ一つかみ砕いて説明します。お子さんに対しては、目線を合わせて同じ高さになること、好きなおもちゃや最近の話題で会話することを大切にしています。リラックスしてもらえるだけで、診察がぐんとスムーズになるんです。また、食事のケアが大切なお子さんの場合は、同じ悩みを持つ方の工夫を保護者の方と一緒にSNSなどを見ながらお話しします。私自身、日常的に料理をしているので、「この調理法なら取り入れやすいですよ」と具体的に提案できるのは、ちょっとした強みかもしれませんね。さらに当院では、火曜・水曜に栄養士が在籍しており、待ち時間の間に食事や生活面について丁寧にお話を伺っています。その内容をもとに診察でもしっかりフォローいたしますので、気軽にご相談ください。
子どもも保護者も、ほっとできる場所をめざして
院内の雰囲気にこだわりを感じます。空間づくりへの思いをお聞かせください。

日々子育てに奮闘する保護者の方にリラックスしてほしくて、院内はあえてパステルカラーにせず、グレーを基調に木目や観葉植物を配した落ち着いた空間にしました。また、クリニック名の「こどもあ」は、子どもプラスMOREの造語で、お子さんだけでなく周囲の保護者にもより多くの幸せを届けたいという思いを込めています。藤が丘を選んだのは、愛知医科大学病院が近く治療中の患者さんを引き継げることと、桜並木もある穏やかなこの環境が気に入ったからです。
先生も日々、子育てに奮闘されているとお聞きしました。
子どもが3人おり、上から高校2年生、中学1年生、小学4年生です。昼休みにスーパーへ走り、帰りの車内で献立を考え、帰宅後に料理を作ることも日常です。最近はパスタマシンを買い、麺から手づくりするほど料理にはまっています(笑)。宿題のチェックや音読を聞くのも日課ですし、PTA会長を引き受けたこともありました。こうした経験があるからこそ、保護者の方がどれだけ大変な思いをされているかが痛いほどわかります。診察の場でも、同じ親の立場からお話しできることがあればうれしいですし、「最近こんなことで困っていて」といった何げない子育ての悩みも、ぜひ気軽に聞かせていただきたいですね。
最後に、読者へメッセージをお願いします。

今の日本は子どもの数が減り続けており、私自身とても気がかりに感じています。日々奮闘している保護者の方が子育てを誇りに思い、ほっと息抜きできる場所にしたい。そんな願いを込めて当院をつくりました。便秘はもちろん、皮膚のトラブルや発熱など、お子さんに関することなら何でもご相談ください。お子さんとご家族にとって「ここなら安心して話せる」と思っていただける場所になれたら、これ以上うれしいことはありません。

