田中 宏史 院長の独自取材記事
たなか歯科口腔外科クリニック
(新居浜市/新居浜駅)
最終更新日:2026/06/22
2026年6月1日、新居浜市横水町に新規開院する「たなか歯科口腔外科クリニック」。近年開通した新居浜市の南北を結ぶ幹線道路沿いという利便性の高い立地にある。院内は木目を基調とし、歯科医院らしさを感じさせない開放的で優しい雰囲気。院長を務めるのは、日本口腔外科学会口腔外科専門医であり、有病者歯科医療にも詳しい田中宏史先生。愛媛大学医学部附属病院歯科口腔外科や済生会西条病院で、口腔外科や有病者歯科医療に長年携わってきた経験を生かし、「基幹病院レベルの医療をクリニックで提供する」ことをテーマに掲げる。親知らずの抜歯や口腔外科治療はもちろん、持病のある患者への歯科治療、病院と連携した周術期口腔機能管理など、全身を見据えた歯科医療に力を注ぐ。
(取材日2026年5月14日)
地域基幹病院レベルの歯科医療をクリニックで
開業までの経緯について教えてください。

徳島大学歯学部を卒業後、愛媛大学医学部附属病院歯科口腔外科へ入局し、口腔がんの研究や臨床に携わってきました。その後、済生会西条病院歯科口腔外科の新規立ち上げに関わり、以降約10年間、主に口腔外科の分野で研鑽を積んできました。また、口腔がんや親知らずの抜歯などの口腔外科手術に加え、心疾患で血液をサラサラにするための薬を飲まれている方、骨粗しょう症の治療薬を使用している方、抗がん剤治療中の方など、持病のある患者さんの歯科治療も数多く経験してきました。私は日本口腔外科学会の口腔外科専門医を取得していますが、クリニックで診療している口腔外科専門医となるとかなり限られてきます。だからこそ、これまで病院で行ってきた口腔外科診療を、もっと地域の身近な場所で提供したいと思ったんです。
クリニックづくりでこだわったことは?
いい意味で「歯科医院らしくない空間」がコンセプトです。歯科医院に対して、「怖い」「痛い」というイメージを持たれている方は多いと思いますので、少しでもハードルを下げられるようにしたいと考えました。住宅を数多く手がけてらっしゃる設計士さんに依頼し、院内は木目を基調にして、優しく開放感のある雰囲気にしています。また、有病者歯科医療に携わる歯科医師として、持病のある方でも安心して通える環境を整えたいという思いもありました。段差のないバリアフリー設計にして、入り口もスロープにしていますし、トイレも車いすを利用されている方が使いやすい広さを確保しています。加えておむつ替えスペースも設けました。「病気があるから断られるかもしれない」と不安を抱えている方にも、安心して来ていただけるクリニックにしたいと思っています。
力を入れたい診療について教えてください。

テーマとして掲げているのは、「基幹病院レベルの医療をクリニックで提供すること」。「口腔外科」「有病者歯科」「医科歯科連携」を三本柱としています。口腔外科では、親知らずの抜歯がメインですね。当院では難しい生え方をしているケースにも対応が可能ですので、地域のクリニックから患者さんをご紹介いただければと思います。もちろん、全身麻酔が必要な症例などは病院と連携しますが、クリニックレベルで対応できる範囲はしっかり診ていきたいと思っています。また、一般の歯科医院では対応が難しい有病者歯科においては、心疾患や糖尿病などの持病を抱える方、抗がん剤治療をされている方などに対応しています。病気や服用している薬によっては、歯科治療にもリスクが伴うことがありますので、全身状態を考慮しながら慎重に治療を進めます。
全身の健康を見据えた口腔機能の管理に注力
医科歯科連携について詳しく教えてください。

お口の健康は、食事や会話といった生活の質に関わるだけでなく、糖尿病や心疾患、脳血管疾患など、全身の健康にも深く関係しています。その中で、特に力を入れていきたいのが「周術期口腔機能管理」です。手術前後の患者さんや、抗がん剤治療を受けている患者さんのお口の管理ですね。現在は、愛媛県立新居浜病院で治療を受ける患者さんの口腔ケアに携わっています。抗がん剤治療中の方は、口内炎ができたり、口の中が荒れたりすることで食事が取れなくなることがあります。すると栄養状態が悪化して、抗がん剤治療そのものが続けられなくなることもあるんです。ですから、歯科としてお口の状態を整えることは、全身の治療をスムーズに進める上でも非常に大切なんです。病院側としても、周術期口腔管理を連携してくれる歯科医院を必要としていたようで、私がご相談に伺った時も「非常にありがたい」と言っていただきました。
ロゴマークに込めた思いもお聞かせいただけますか。
ロゴに取り入れた3つのデザインには意味があって、まず1つは「親子3世代」。お子さんから高齢の方まで、幅広い世代の方に来ていただきたいという思いがあります。もう1つは「医歯薬連携」。医科・歯科・薬科の連携をイメージしています。そして、波のモチーフは私の趣味であるサーフィンですね。大学時代を過ごした徳島はサーフィンが盛んな地域で、友人と始めたのがきっかけでした。今でも徳島や高知まで行くことがあります。ロゴは自分でイラストレーターを使ってデザインした完全オリジナルです。
外傷などの治療にも対応されるそうですね。

例えば、お子さんが自転車で転倒して歯が折れた、唇を切ったというケースです。交通事故などで口周りをけがされて来院されることも想定してます。そういった場合、一般の歯科医院では「大きな病院へ」と言われることもあると思いますが、当院では口腔外科として対応が可能です。もちろん、骨折などで全身麻酔が必要な場合は病院と連携し、適切な治療につなげたいと考えています。済生会西条病院時代から連携している先生方も多いので、今後は他院からの親知らず抜歯や外傷治療の紹介も積極的に受け入れていければと考えています。
持病があっても、安心して通える歯科医院に
診療の際に大切にしていることは何でしょうか?

やはり、患者さんとのコミュニケーションですね。特に口腔外科や有病者歯科では、手術や持病に関わるリスクもありますので、事前の説明が非常に大切です。歯科医院で「今日、何をされたかわからない」という経験をされた患者さんって結構多いと思うんです。でも、それでは不安が残りますよね。どういう状態で、どんな治療をして、どういうリスクがあるのかを、しっかり説明した上で治療に臨んでいただきたいと思っています。もう一つ、自分が昔から大事にしているのが、「妥協しないこと」です。研修医時代にお世話になった先生が、本当に小さなことまで一切妥協しない方だったんです。その姿勢を見て、「自分もこうでありたい」と思いました。説明も治療も妥協せず、真摯に向き合いたいと思っています。
印象に残っている患者さんとのエピソードを教えてください。
大学病院時代は、口腔がんなど重症の患者さんを多く診てきました。ですので、印象に残っている患者さんは本当にたくさんいます。手術後に、笑顔で外来に来てくださる方もいました。一方で、残念ながら亡くなられる方もいます。そのもどかしさや悔しさは、今でも忘れられません。だからこそ、クリニックという地域に近い場所で、もっと早い段階で病気を見つけたいという思いがあり、それが開業に至った理由の一つでもあります。口腔がんは早期発見できれば、かなり高い確率で治療が可能です。ただ、初期は痛みもほとんどなく気づきにくい。だからこそ、定期的に歯科医院へ通っていただき、異変を早く見つけることが大切なんです。
今後の展望、読者へのメッセージをお願いします。

地域に根差した歯科医院として、「新居浜の歯科医療のハブ」のような存在になれたらと思っています。医科歯科連携はもちろん、地域の歯科医院との診診連携、薬局との連携も含めて、患者さんにより良い医療を届けていきたいですね。また、院内でもスタッフとの連携を大切にしています。当院には歯科衛生士のほかに看護師も在籍していますので、これから口腔外科、有病者歯科について、一緒に学びながら成長していきたいと思っています。歯科医院って、どうしても怖いイメージがあると思うんです。でも、まずは「相談してみようかな」くらいの気持ちで来ていただけたらうれしいですね。一度来ていただければ、「こんな雰囲気なんだ」と安心していただけると思います。

