中野 貴明 院長の独自取材記事
かい脳神経外科・救急クリニック
(川崎市宮前区/たまプラーザ駅)
最終更新日:2026/06/17
「悩んだら、遠慮なくすぐに来てください」と、朗らかに語るのは「かい脳神経外科・救急クリニック」の中野貴明院長だ。形成外科や麻酔科での診療、アメリカ留学、救急医療の現場など、面白いと感じた領域に真っすぐ飛び込みながら研鑽を重ねてきたベテラン医師である。2026年4月に同院を開業。脳神経外科・救急科・形成外科の3科に対応するのは、好奇心に従って経験を広げてきた延長線上に自然と生まれた形だという。ハワイをモチーフにした青と木目基調の院内は、カフェのような穏やかさが漂い、取材中もスタッフとの間に笑いが絶えなかった。「医療の何でも屋さんとして頼りにしていただけたらうれしいです」と朗らかに語る中野院長に、多彩なキャリアの背景や同院が担う役割、地域への思いなどについてたっぷり聞いた。
(取材日2026年5月22日)
興味の赴くまま広げた経験が「何でも診る」力に
まずは、中野院長のこれまでの歩みについてお聞かせください。

北里大学医学部を卒業した後、最初に選んだのは形成外科でした。ケガの治療、つまり外傷に携わりたいという思いがあったんです。しばらく診療に携わってから、局所的な治療だけでなく全身を診る力が必要だと感じて、麻酔科へ転向しました。このとき、手術室での全身管理に加え、緩和ケアも学ぶことができましたね。その後、アメリカ・オレゴン州の大学に留学し、脳の神経保護に関する研究に取り組みました。振り返ると、そのときどきで面白い、やってみたいと感じたことに真っすぐ飛び込んできた結果、気づけば複数の領域をまたぐキャリアになっていました(笑)。また、要所要所で恩師に恵まれたことも大きいでしょう。「こんなことがやりたい」など、包み隠さず本音を話していると、不思議と力を貸してくださる方が現れサポートしてくださったのです。
その中で、今の診療に特につながっている経験はありますか?
医師人生で最大の転機は、横浜市立みなと赤十字病院の救急科に移ったことです。ここはER型と呼ばれる救急救命センターで、「断らない救急」を掲げていました。軽い症状から重い症状まで、分野を問わずさまざまな患者さんを受け入れる現場だったのです。その環境で鍛えられるうちに、「この科だから得意・不得意」という感覚が自然となくなっていきました。さらに、救急の専門知識だけでなく、脳卒中やプライマリケアの分野でも深い知見を身につけることもできましたね。救急だけだと慢性的な疾患への対応が弱くなりがちですが、そこを脳卒中の知識やプライマリケアの視点で補っていたからです。幅広く診られるのは、あの現場での経験があったからこそでしょう。また、開業前には新百合ヶ丘総合病院の救急科で部長を務めており、現在も必要に応じて同院と連携しながら、患者さんにとって最適な医療を提供できるよう体制を整えています。
この地域で開業された理由を教えてください。

自分の経験を生かしながら、長く地域の方のお役に立てる環境をつくりたいと考えたのがきっかけです。たまプラーザ駅の周辺は学生時代からなじみのある土地で、中学の頃にはこの辺りに住んでいたこともあって、とても思い入れがあります。横浜市が自分にとってのホームグラウンドでもあるので、土地勘のあるこの場所で開業したいという思いは、自然と固まっていきました。当院は、私が培ってきた経験を生かして、脳神経外科・救急科・形成外科の3科に対応しています。地域の方々にとって、昔の医師みたいな「何でも診られる存在」になれたら何よりですね。
急な不調もケガも、悩む前にまず相談できる場所
クリニック名に「救急」とありますが、どのようなときに受診すれば良いのでしょうか。

ひと言で言えば「急な症状なら何でも」です。発熱やおなかの痛み、めまいなど、体調が急に変わったときは症状の軽い重いを問わず対象になります。「この程度で行っていいのだろうか」と悩む方も多いと思いますが、ぜひ来てください。受診していただくことで、安心材料をお渡しできますからね。夏場でいえば熱中症も同様で、少しでも疑いがあれば自己判断せず早めに受診していただきたいです。当院は一次救急として、まず何が起きているかを診断し、院内で対応できる場合はそのまま治療に進みます。もし入院や専門の医師の介入が必要だと判断したら、連携する病院へ速やかにおつなぎします。こうした見極めができることも、救急の現場で力を培えたからでしょう。地域の方々には、最初の一歩を受け止める場所として使っていただけたらと思います。
形成外科のご経験は、日々の診療にどのように生かされていますか?
勤務医時代に形成外科に在籍していた経験から、傷をきれいに治すことが大前提だと考えている診療を心がけています。切り傷や転倒によるケガの縫合処置はもちろん、傷の状態に合わせて感染を防ぎながら治癒を促すことをめざす創傷管理を丁寧に行っているのです。また、当院では局所麻酔で対応可能な形成外科的処置も行っており、わきがの手術や帝王切開の傷痕をきれいに整えるための処置などにも対応しています。特にお顔のケガは「何科に行けばいいんだろう」と迷われる方が多いのですが、形成外科の経験があるからこそ部位を問わず対応できますので、頼りにしていただけましたら幸いです。
患者さんと接する際に大切にされていることを教えてください。

一番大切にしているのは、患者さんとの距離を自然に縮めていくことです。いくら医師の知識が豊富でも、患者さんから必要な情報を引き出せなければ適切な診断にはつながりません。「この先生には話しにくいな……」と患者さんが感じてしまった時点で、診療に必要な会話が止まってしまうんです。だからこそ、まずは「この人なら話してもいいかな」と思っていただける関係性をつくることを意識しています。体調の話だけでなく、子育ての悩みなど、日々の暮らしの中で気になっていることに耳を傾けることも大切にしています。そうした何げない会話の中にこそ、診療に必要な手がかりが隠れていることもありますからね。
笑顔で帰れる、身近なクリニック
院内の穏やかな雰囲気が印象的です。スタッフの方々についてお聞かせください。

クリニックの雰囲気って、院長のキャラクターに引きずられるところがあると思うんです。私自身がフレンドリーなタイプなので、スタッフにもその空気が自然と伝わっているのかもしれません。スタッフとの普段の会話は、まるで友達間で気兼ねなく話すような、ほとんど雑談のようなものが多いんですよ(笑)。日常的に会話ができているからこそ、何かあったときも率直に意見が言い合えるという、当院の良さにつながっているでしょう。また、互いの得意なところ・苦手なところを知っているからこそ、カバーし合える関係が築けています。私を含めて、元気なスタッフがそろっていますので、「ここに来ておしゃべりしたら元気になった」と患者さんに言っていただけたら、スタッフ一同の励みになります。
今後の展望についてお聞かせください。
患者さんが笑顔で帰れる空間、カフェにふらっと立ち寄るくらいの気軽さで足を運んでもらえる場所となるのが、私の理想です。脳神経外科の領域で言えば、脳卒中を経験された方がその後に気持ちの落ち込みを抱えるケースが少なくありません。そうした方にとって、誰かとおしゃべりをすること自体が心のケアにつながるのだと日々実感しています。医療としてしっかり診ることはもちろん大前提ですが、その上で「ここに来ると気持ちが軽くなる」と患者さんに感じていただけたらうれしいですね。地域のかかりつけ医として、ご近所さんのような存在でいたいなと思っています。
最後に、読者の方へメッセージをお願いします。

「悩むぐらいだったら来ればいい」、それが私の正直な気持ちです。インターネットで症状を調べても情報が多すぎて、かえって不安が膨らんでしまうことってありますよね。そんなとき、答えはこちらが用意しますから、最初の一歩として気軽に足を運んでみてください。切り傷から発熱、腹痛まで、症状の軽い重いは問いません。何科にかかればいいか迷ったとき、自分では判断がつかないとき、まず相談できる場所があるだけで気持ちはずいぶん楽になると思うんです。私は自分のことを「医療の何でも屋さん」だと思っています。この地域の皆さんの暮らしのそばで、ちょっとした不安を一緒に解きほぐしていけたらうれしいですね。

