白井 怜子 院長の独自取材記事
千歳烏山ウィメンズクリニック
(世田谷区/千歳烏山駅)
最終更新日:2026/08/24
京王線千歳烏山駅北口から徒歩1分。住宅や飲食店が並ぶ通り沿いのビル3階にある「千歳烏山ウィメンズクリニック」は、2026年4月に開院した婦人科・産科のクリニックだ。受付や待合室には木のテーブルや家具が取り入れられ、診療室は淡い青色の壁紙が穏やかな空間をつくっている。院長の白井怜子先生は、大学病院や基幹病院、不妊治療クリニックで20年にわたり産婦人科医療に携わってきた女性のヘルスケアの専門家。目の前の症状だけでなく、患者の将来を見据えた医学的判断を大切にしている。言葉を一つ一つ選びながら話す姿からは、患者に誠実に向き合う人柄がにじむ。「あそこなら相談しやすそうだから行ってみよう、と思っていただける存在でありたいです」と語る白井院長に、開業の経緯や診療への思い、不妊相談への取り組みなどを聞いた。
(取材日2026年7月21日)
初めてお産に立ち会った経験が産婦人科医としての原点
まず、先生が産婦人科の道を選ばれた理由をお聞かせいただけますか?

現在の医療は専門分化が進み、多くの診療科では特定の臓器や疾患を中心に診療を行います。一方で、産婦人科は思春期から妊娠・出産、更年期まで、女性のさまざまなライフステージに関われる診療科です。一人の女性の人生に長く寄り添っていけるところに魅力を感じ、産婦人科を志しました。今も忘れられないのが、実習で初めて出産に立ち会った時のことです。初産の方で、赤ちゃんが生まれた瞬間、分娩室が温かな空気に包まれました。「おめでとう」だけでも「お疲れさま」だけでも言い表せないような、一人の女性がお母さんになるかけがえのない瞬間。その場に立ち会えて、心を大きく動かされたことを覚えています。この経験が、産婦人科医としての私の原点になっています。
開業を決めた経緯を教えてください。
これまで、大学病院や基幹病院、不妊治療クリニックなどで幅広く産婦人科医療に携わってきた中で、特にやりがいを感じていたのは、やはり一人の患者さんの人生に長く関わらせてもらえることでした。例えば、妊娠・出産を担当した方が、しばらくして「2人目がなかなかできなくて」と不妊の相談に来られ、そこから再び妊娠・出産を迎える。さらに年月がたつと、更年期の症状で受診されることもあります。そうした診療を重ねる中で、患者さんにとってもっと身近な存在として、一人ひとりとより長く向き合っていきたいと考えるようになりました。勤務医として20年の節目を迎えたこともあり、その思いを実現するために開業を決めました。
千歳烏山を開業の場所として選ばれた理由や、院内のこだわりについて教えてください。

開業にあたって多くの街を見て回りましたが、千歳烏山を初めて訪れた日が、たまたまお祭りの日でした。活気にあふれていて、「いい街だな」という第一印象を持ちました。当院の目の前の広場にも、休日には多くの人が集まります。駅近で通院しやすい立地なこともあり、この場所での開業を決めました。院内づくりで大切にしたのは、患者さんが少しでも安心して過ごせる空間にすることです。診療室の机はL字型にして、患者さんと向き合ってお話ししながら、必要な記録もスムーズにできるよう工夫しました。また、妊婦健診用の4Dエコーや当日に結果がわかる貧血検査機器など、診療に必要な設備もそろえています。受付や待合室には温かみのある木の素材を、壁には産婦人科に多いピンクではなく、私の好きな色でもある青を選び、年代を問わずほっとできる空間づくりをめざしました。
今だけでなく将来も見据え一人ひとりの人生に向き合う
診療で大切にしている考え方を教えてください。

“今”の症状だけでなく、数年後、数十年後の健康も見据えながら診療することです。例えば、生理が来ていない若い方が受診された場合、生理を起こすこと自体は薬で対応が望めることもあります。ただ、その方が将来妊娠を望まれるかもしれないことまで考えると、症状の対処だけに目を向ければよいわけではありません。女性は年代によって体の悩みも変わっていきます。だからこそ、その時々の症状だけでなく、ご自身では気づきにくい将来の健康面にも目を向けて、その方に合った選択肢をご提案したいと思っています。また、必要なことをできるだけわかりやすくお伝えすることも心がけています。医療の話は専門的になりがちですが、患者さんがご自身の体のことを理解し、安心して選択できるようなお手伝いができればうれしいです。
不妊に悩む方への対応についてもお聞かせいただけますか。
不妊治療は、身体的にも精神的にも負担を感じやすいものです。だからこそ、「少し気になることがある」「まず話を聞いてみたい」という段階でも気軽に相談していただける場所でありたいです。当院では高度生殖医療は行っていませんが、不妊について初めて相談される方の最初の窓口としてお役に立てればと思っています。10年以上不妊治療クリニックで診療に携わった経験を生かして、タイミング療法をどのくらい続けるか、人工授精へのステップアップをどう考えるかなど、お一人お一人の状況に合わせて整理していきます。高度な治療が必要な場合には適切な施設をご紹介し、「まずは無理のない範囲で始めたい」という方には、そのお気持ちも大切にしながら進めています。
患者さんとのやりとりの中で、特に意識していることはありますか。

患者さんが何に困っていて、何を不安に感じているのかをしっかりお聞きすることです。同じ症状でも、患者さんによって悩みや背景は異なります。そのため、まずは困り事の本質をきちんと理解した上で、その方にとって本当に必要な医療やケアを判断することを大切にしています。例えば、生理の重い患者さんが、階段を上るだけで息切れするようになり、「さすがに変かな」と思って受診すると、実は輸血が必要なほどの貧血状態で生活をしていたことが判明した、なんてことも珍しいことではありません。生理に限らず、産婦人科の症状を「これくらい我慢しなければ」と抱え込んでしまう方は多いですが、患者さんのお話を聞いて、必要な医療に正しくつなげることも医師の役割。つらい時は、頼ってほしいとお伝えしたいです。
「あそこなら相談しやすい」と思える場所をめざして
開院から数ヵ月、どのような患者さんが来院されていますか。

妊婦さんや不妊のご相談の方をはじめ、更年期の症状でお困りの方、生理痛や月経量の多さなど月経に伴う不調を抱えた方まで、さまざまな患者さんにお越しいただいています。年齢層も幅広く、思春期のお子さんがお母さんと一緒に生理の相談に来られることもあります。診療面では、子宮頸がん検診で「要精密検査」となった方の二次検査にも院内で対応しています。妊婦健診では4Dエコーも備えており、分娩施設と連携しながら、お一人お一人の妊娠経過を見守っています。そのほか、月経の悩みや更年期症状に対するホルモン治療、漢方治療などにも幅広く対応していますので、女性の健康に関することは、お気軽にご相談ください。
今後、注力したいことはありますか。
開院から数ヵ月ですが、ありがたいことに多くの患者さんにお越しいただいています。その中で改めて大切だと感じているのは、一人ひとりの患者さんとしっかり向き合える時間を確保することです。そのため現在は、院内の動線や受付の流れなど、診察以外での時間短縮の工夫にも取り組んでいるところです。まだ開院して間もないため試行錯誤の毎日ですが、スタッフにとっても居心地の良い職場であってほしいと考えています。気持ち良く働けることが、結果として質の高い医療やサービスにつながると思うからです。今後もチームで力を合わせながら、皆さんに安心して頼っていただけるクリニックに育てていきたいです。
最後に、地域の皆さんへメッセージをお願いします。

お体で少しでも気になることがあれば、まずは気軽にお話しいただけたらと思います。産婦人科のことはもちろんですが、どこに相談すべきかわからないことでも大丈夫です。一緒に整理しながら、必要に応じて適切な医療につなげていければと思っています。最近は以前に比べて産婦人科を受診するハードルは下がってきたように感じますが、それでも受診をためらう方は少なくありません。だからこそ、気軽に足を運んでいただける場所でありたいです。「あそこなら相談しやすそうだから行ってみよう」と思っていただける存在であることが、私の一番の願いです。

