鈴木 良 院長の独自取材記事
右京みみはなのどクリニック
(奈良市/高の原駅)
最終更新日:2026/07/22
近鉄京都線・高の原駅から徒歩13分、淡い緑の看板が目印の「右京みみはなのどクリニック」は、30年以上地域に親しまれてきた耳鼻咽喉科を継承し、2026年2月に開院した。院長の鈴木良先生は京都大学大学院修了後、大学病院や基幹病院で頭頸部がんの手術から音声の研究まで幅広く研鑽を積んだ日本耳鼻咽喉科学会耳鼻咽喉科専門医だ。自然派を掲げる先生の考えが息づく院内は、緑を基調とした爽やかで明るい空間。診療では顕微鏡や内視鏡の画像をモニターに映し出し、患者自身が病態を確認できる「見える化」にこだわる。一見物静かだが、長引く咳や倦怠感の原因となる上咽頭炎とその治療を語る姿には確かな熱意がにじむ。「健康に悩む人の受け皿になりたい」と話す鈴木院長に、思いや展望を聞いた。
(取材日2026年7月3日)
大学病院での経験を礎に、地域に根差した耳鼻科診療を
まずはこちらのクリニックについてご紹介ください。

当院は、30年以上にわたり地域に親しまれてきた耳鼻咽喉科クリニックを継承する形で、2026年2月に開院しました。前院長とは縁あってお会いしたのですが、同じ京都大学の系列ということもあり、すぐに意気投合したんです。私自身も東大寺学園に在学中はこの辺りで過ごしていたこともあり、なじみのある大切な土地です。高の原エリアは京都や大阪へのアクセスが良い住宅街で、子育て世代から高齢の方までさまざまな世代がバランスよく暮らしています。来院される方もお子さんからご年配の方まで幅広く、アレルギー性鼻炎のほか、咳や喉の違和感、痰など慢性的な不調が長引いてなかなか治らないとお悩みの方が多いですね。
耳鼻咽喉科を専門に選ばれた経緯と、これまでのご経歴を教えてください。
大学時代の初期研修で耳鼻咽喉科にふれ、身近でわかりやすい分野だと感じました。内科と悩んだ時期もありましたが、研修医のときに京都大学の耳鼻咽喉科を見学し、学問的な環境と充実した教育体制にやりがいを感じたことが決め手となり、京都大学耳鼻咽喉科に入局しました。その後は関連病院や地域の基幹病院で、頭頸部がんの手術をはじめ副鼻腔炎の手術など幅広い分野を経験し、がん治療では抗がん剤や放射線治療を含めた総合的な診療にも携わりました。また米国のウィスコンシン大学マディソン校に研究員として渡り、音声や喉頭に関する研究にも取り組みました。手術から研究まで多くの経験を積んできましたが、そのすべてが今の地域での診療に生きていると感じます。
明るく爽やかな院内が印象的ですが、こだわったポイントはありますか。

院内は「自然派」という私の考え方を反映し、緑色を基調にした明るい空間にこだわりました。淡い緑の看板がクリニックの目印で、院内にも自然を感じる色合いを取り入れています。待合室は道路側が全面窓になっているので、光がよく入り開放感がありますよ。設備面で最もこだわったのは内視鏡と顕微鏡で、いずれも画像をモニターに映し出し、患者さんご自身が鼓膜や鼻腔、喉の状態をその場で確認できるようにしています。そのほか、指先の少量の採血で約15分のうちに40項目以上の結果がわかる迅速アレルギー検査の機器も導入しており、特にお子さんの検査に活用しています。聴力やめまいの検査設備も新たに整えました。隣に薬局もありますので、受診後の流れもスムーズです。
「見える化」で納得の診療を。Bスポット療法にも注力
患者さんとの向き合い方で心がけていることはありますか。

私が診療で最も大切にしているのは、患者さんご自身が自分の病態をしっかり確認し、納得した上で治療を選択できるようにすることです。診察の際は、モニターに映し出した画像を一緒にご覧いただきながら、今どのような状態なのかを丁寧にお伝えするようにしています。初めてご自身の鼓膜や鼻の中を見た方は皆さん驚かれると思いますが、だからこそ「自分の体がどうなっているか」を知っていただく意義は大きいと感じています。すべてを医師に任せるのではなく、ご自身の状態を理解した上で、治療に臨んでいただきたい。そのためにも、まずはしっかりお話を伺って、本当に何にお困りなのかを一緒に整理してから、診療を進めるようにしています。
長引く不調に悩む方に向けた治療について教えてください。
鼻の奥、ちょうど鼻と喉の間に「上咽頭」という部分があり、ここに慢性的な炎症を抱えている方が実はかなり多いんです。長引く咳や痰、後鼻漏、頭痛、倦怠感、慢性疲労など多彩な不調の原因となることがあり、薬をいろいろ処方されても完治しない方のそもそもの原因が上咽頭炎だったというケースも珍しくありません。上咽頭は扁桃と同じ免疫組織で薬が効きにくいため、塩化亜鉛という薬液で直接消毒するBスポット療法(EAT)が有用な治療法になります。当院では内視鏡で状態を確認した上で積極的にこの治療を行っています。慢性の炎症ですから繰り返しの通院が必要ですが、私自身、効果が期待できる治療法だと考えて取り組んでいます。
アレルギー性鼻炎にはどのように取り組まれていますか。

アレルギー性鼻炎については、まず原因を調べることを大切にしています。症状がひどい方には血液検査や迅速アレルギー検査を行い、何が原因になっているのかを明らかにした上で、適切な治療方針を立てていきます。スギやダニが原因の場合は舌下免疫療法という選択肢もありますので、症状が強い方にはお勧めすることもあります。薬による治療が基本にはなりますが、私はそれだけでなく生活指導にも力を入れています。鼻うがいなど日常的にご自身でアレルギーを予防する習慣をつけていただくことも大切です。ただ、すべての患者さんに一律の指導をするわけではなく、お悩みの深さや関心に応じてアプローチを変え、押し付けにならないよう配慮しています。
耳鼻科の枠を超え、地域の健康を支える存在に
院内の温かな雰囲気が印象的です。スタッフの皆さんについても伺えますか。

スタッフは近隣にお住まいの方や元患者さんなど、地元をよく知る方が中心です。地域の事情に詳しいので、私が気づかないことも積極的に伝えてくれますし、和気あいあいとした雰囲気の中で日々の診療にあたっています。スタッフ全員で共有しているのは「患者さんファースト」の姿勢で、患者さんに気持ちよく受診していただけるよう、気づいたことは遠慮なく声を上げてもらうようにしています。また、Bスポット療法や栄養面をテーマにした院内勉強会も定期的に実施し、みんなで健康に関する知識を高めています。前院長にも週に1回非常勤として来ていただいており、長年この地域を診てきた経験で当院を支えてくれている心強い存在です。
今後、クリニックとしてめざしていることはありますか。
まず近い目標としては、Bスポット療法の実績をさらに積み重ね、奈良市で一番の実績をめざしたいと考えています。奈良市内でこの治療を行っているクリニックはまだ数軒ほどですので、もっと広く知っていただき、遠方からも通っていただけるようになればうれしいですね。加えて、今準備を進めているのが栄養指導や予防医学への取り組みです。不調の背景には栄養の偏りや食生活の問題が隠れていることも多く、薬だけでなく根本的な部分からアプローチできる体制を整えていきたいと考えています。その先には、耳鼻科の枠にとどまらず、健康のことで悩んだら気軽に相談できるかかりつけ医としての受け皿になりたいという思いがあります。
最後に、読者へメッセージをお願いいたします。

薬を飲み続けても改善しない喉の不調、長引く咳や痰、頭痛、めまい、慢性的な疲労感や倦怠感、繰り返す鼻炎や副鼻腔炎、中耳炎――こうしたさまざまな症状の背景に、上咽頭炎という病気が隠れていることが実は少なくありません。ご自身やご家族に思い当たる症状がある方は、まずは一度悩みを聞かせていただければうれしいです。内視鏡で丁寧に状態を確認した上で、お一人お一人に合った治療の進め方を一緒に考えていきます。当院は耳鼻科の領域にとどまらず、健康全般について気軽にご相談いただける場所でありたいと考えています。お子さんからご年配の方まで、日々の暮らしの中でお体のことが気になったら、どうぞ遠慮なく声をかけてください。

