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松浦 宏美 院長の独自取材記事

飯田橋駅マール産婦人科クリニック

(千代田区/飯田橋駅)

最終更新日:2026/05/12

松浦宏美院長 飯田橋駅マール産婦人科クリニック main

JR飯田橋駅西口から徒歩1分の場所にある「飯田橋駅マール産婦人科クリニック」。院長を務める松浦宏美先生は、保健師として行政の現場で働いた後に医学部へ編入し、産婦人科医となったという稀有な経歴の持ち主。穏やかな語り口ながら、その奥には「女性の不調を当たり前と片づけたくない」という強い信念がうかがえる。2026年3月に同院を開業後は、子育てや仕事で忙しい女性にも医療が届くようにと、日帰り手術に対応できるよう設備を整えた。「その人らしい生活を支えることが病気を治療することでもあると考えています」と話す松浦院長に、開業の経緯や診療への思いを聞いた。

(取材日2026年4月22日)

保健師から医師へ転身、女性の「当たり前」を問い直す

医師を志した経緯を教えてください。

松浦宏美院長 飯田橋駅マール産婦人科クリニック1

もとは保健師として行政の現場に身を置き、結核や精神疾患を抱える方々と歩んできました。そこで気づかされたのは、病気はその方の「暮らしの中にある」ということです。どれほど正しいとされる治療であっても、生活のリズムに合わなければ、本当の意味で健やかさを取り戻すことはできません。一人ひとりの生活に寄り添い、直接お力になりたい。その一心で医学部への編入を決めました。研修医の頃は当初、小児科を志していましたが、新生児集中治療室で小さな命と向き合う中で、生まれる前からの関わりの大切さを痛感したのです。お母さんの健やかさは赤ちゃんの健やかさに直結しますし、思春期からの体づくりも欠かせません。「誕生」という瞬間の、ずっと前から支えていきたい。そうした願いに導かれ、産婦人科医としての道を歩み始めました。

どのような思いでクリニックを開かれたのですか?

コンセプトは「女性が女性であることを好きになるために必要な医療を、手の届く医療を」です。「生理痛は我慢するもの」「産後の尿漏れはそんなもの」、そうした不調が「当たり前」として片づけられてきた現実に、ずっと疑問を感じてきました。私自身、学生時代に試験日と生理が重なったり、産休からの復職後、職場で悔しい思いをしたりという経験もあります。体の心配事はどうしても女性のほうが多い傾向にありますが、医療の力を借りて、男女の差をある程度フラットに近づけていけたらと思います。ただ、勤務医時代は一人の患者さんとじっくり向き合う時間にどうしても限りがありました。その人の生活の変化に沿って必要な医療を届け、伴走していける医者でありたい。それが開業を決めた一番の理由です。

飯田橋を選ばれた理由と、院内づくりのこだわりを教えてください。

松浦宏美院長 飯田橋駅マール産婦人科クリニック2

飯田橋は中学・高校時代を過ごしたなじみの土地です。近隣の病院との連携が取りやすく、愛着のある場所で患者さんのお役に立ちたいという思いから選びました。院内は、さまざまな世代の方がリラックスできるよう、座席は一人ひとりがゆとりを持って座れるよう設計、お子さん連れの方のためにキッズスペースも設けています。また、患者さんがリラックスして過ごせるよう、院内では音楽を流し、アロマのやさしい香りを取り入れています。処置室は、つわりや採血で緊張されがちな方がホッとできるよう、暖色系で統一しました。さらに、廊下はお子さん連れの方や、術後のベッド移動に配慮した広さを確保しました。設備面では、日帰り手術に対応できる機器や当日に採血結果が出る体制を整え、エコーも4D対応機種を導入しています。ちょっとした不調であれば、検査から治療までここで完結できることを大切にしました。

日帰り手術を重視、治療のために生活を止めない

診療面で特に力を入れていることを教えてください。

松浦宏美院長 飯田橋駅マール産婦人科クリニック3

特に力を入れているのは、子宮内膜ポリープの切除や子宮膣部のレーザー蒸散術といった日帰り手術です。子宮膣部のレーザー蒸散術は、子宮頸がんの前がん病変を焼灼することで、子宮の温存を図ることができる有用な治療法です。しかし、婦人科領域で日帰り手術に対応しているクリニックは、多くありません。私自身、不妊治療の経験があり、検査一つ一つに時間がかかることを実感しました。不妊治療中の方にとって時間は非常に大切であり、一周期でも早く次のステップへ進めることが重要です。また勤務医時代には、短時間で終わる手術でも入院が必要となり、お子さんの預け先に苦労されるお母さんを何度も目にしてきました。保育園に預けている間に治療が終われば、生活を止めずに治療ができます。特に子宮頸がんは、予防が図れるがんなので、社会的な事情によって治療が遅れる状況はなくしていきたいですね。

そのほかに注力されている分野はありますか?

女性の尿漏れを「産後はそんなもの」と我慢される方は多く、泌尿器科だと男性の患者さんもいらっしゃるので、相談しづらいという声を耳にします。当院では女性だけの環境で投薬や物理療法、骨盤臓器脱に対するリングの自己脱着指導まで対応しています。歳を重ねるほど言い出しにくくなるお悩みでもあるので、会話の中からさりげなく引き出すことも心がけています。また、私の専門とするホルモンの領域では、思春期のホルモン異常や骨粗しょう症の予防にも注力しています。ホルモン治療を行う際には乳腺のチェックが欠かせませんので、マンモグラフィ検査に加えてエコー検査を必ずご案内しています。赤ちゃんが好きでこの世界に入ったという原点もあり、分娩は取り扱いませんが、セミオープンシステム等で基幹病院と連携して、安心して妊婦健診も受けていただける体制を整えました。

患者さんと向き合う上で心がけていることはありますか?

松浦宏美院長 飯田橋駅マール産婦人科クリニック4

診察では、患者さんが話された言葉だけでなく、その奥にある本当のお困り事に手が届くよう意識しています。お話されていることと実際に悩んでいることが異なる場合は少なくないからです。この姿勢の原点は、勤務医時代に、ある患者さんを初診から2度の手術を経て、最後まで診させていただいた経験にあります。子宮がん肉腫という難しい病気で、治療法を変えながら、ともに過ごしました。その方と向き合う中で、病気はその人のほんの一部であって、おいしい物を食べる喜びや家族との時間といった健康な部分を支えることこそ大切だと気づかされたんです。生活を支えることが病気を治療することでもある。その学びが今の私の診療の軸になっています。

「こんなこと相談して良いのかな」に応えたい

スタッフさんについて伺えますか?

松浦宏美院長 飯田橋駅マール産婦人科クリニック5

ありがたいことに、経験豊かで、人柄の温かいスタッフが集まってくれました。私からお願いしているのは、待ち時間が長くなった際に、こまめに声をかけてもらうくらい。初めて婦人科を受診される方は特に「何を話せば良いんだろう」と頭の中が整理できないことが多いんですね。そんなときは誰かと少し言葉を交わすだけで考えがまとまり、診察室で話しやすくなるものです。心配事が多い初診の患者さんには、先にスタッフがお話を伺うようにしています。そこで得た情報は私の診察にも役立ちますし、スタッフが最初の窓口になることで安心感が生まれれば良いなと思います。クリニック全体で、お一人お一人を受け止められる体制をつくっていきたいです。

今後、地域でどのような役割を果たしていきたいですか?

飯田橋周辺には産婦人科のクリニックが少ないので、気になったことを遠慮なく相談できる場になりたいと考えています。将来的には、思春期の方がワンコインで受診できるユースクリニックのような取り組みも始めたいですね。親には聞きにくい体の悩みを抱えている学生さんは多い一方、この地域にはまだそうした受け皿が十分ではありませんから。また、子育てで忙しくご自身の不調を後回しにしている方や、年齢を重ねて「これぐらい当たり前」と放置してしまっている方にも届く存在でありたいと思います。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

松浦宏美院長 飯田橋駅マール産婦人科クリニック6

開業にあたって一番意識したのは「女性だから困ること」を少しでも減らしたいということです。尿漏れが心配でお子さんとトランポリンで一緒に遊べない。ナプキンだけでは経血が漏れてしまう。生理痛で学校や会社を休んでしまう。これらは、完全に治せずとも上手に付き合う方法を知るだけでぐっと楽になるかもしれません。ロゴマークの渡り鳥は、荒波の中を一人で飛び続ける女性たちを表していて、当院がふっと羽を休められる場所でありたいという思いを込めています。困ったときにちょっと頼れる「近くにある知識袋」のように使っていただけたらうれしいです。今つらくても、少し先を見れば上手に乗り越えるやり方がきっとある、そうお伝えできるドクターでいたいと思っています。