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林田 博人 院長の独自取材記事

林田ブレストクリニック

(西宮市/西宮北口駅)

最終更新日:2026/10/15

林田博人院長 林田ブレストクリニック main

阪急神戸本線・西宮北口駅から徒歩3分のアクセス至便な場所にある「林田ブレストクリニック」。西宮市立中央病院(現・兵庫県立西宮総合医療センター)で長年乳腺外科の診療にあたってきた林田博人院長が、病院の統廃合に際し、「今診ている患者さんをこれからも責任を持って診ていきたい」と2026年に開業した。現在急速に増えている乳がんの啓発活動にも積極的で、「もっと多くの方に乳がん検診を受けてほしい」と力を込める。不安を抱えて訪れる患者が多い乳腺外科だからこそ、「安心して受診できる場所でありたい」と穏やかに笑う林田院長に、診療への思いをたっぷりと語ってもらった。

(取材日2026年9月16日)

いつまでも現役で患者を診ていきたい思いから開業

医師をめざしたきっかけとこれまでの経歴を教えてください。

林田博人院長 林田ブレストクリニック1

医師をめざしたのは、小学校高学年の頃に読んだ漫画がきっかけです。主人公が手術で人を治療する姿がかっこいいなと思い、外科医を志しました。医師になってからは救命救急や消化器外科で研鑽を積み、大阪大学第二外科では上部消化管グループに所属し、主に胃がんの診療に従事してきました。乳腺外科に転向したのは、医師になって8年がたった頃。赴任先の市立豊中病院で出会った恩師に誘われたのがきっかけです。以来、乳腺外科一筋で、乳がんの診断と治療をはじめ、さまざまな乳腺疾患を経験してきました。特に、西宮市立中央病院では2001年から24年半にわたり乳腺外科を担当。病院での豊富な臨床経験と、救急や外科で培った全身を診る姿勢は、当院での診療にも生きていると感じます。

どのような経緯で開業を決意されたのでしょうか。

実は、ずっと前から「いつかは開業を」と思っていたんです。医師として、いつまでも現役でいられる場所を築きたくて。一方、病院ではステージ4の患者さんをたくさん抱えていましたから、途中で投げ出すことに抵抗がありました。できる限り責任を持って診ていきたいという気持ちが大きく、なかなか踏ん切りがつかなかったんです。そんなとき、長年勤務してきた西宮市立中央病院が兵庫県立西宮病院と統合されることになって。タイミング的には準備期間も含めると今しかないとなって、開業を決めました。この場所は、ちょうど開業に向けて動き出したときに空きが出たんです。ずっと「開業するならこの辺りがいい」と思っていたので、不思議なご縁を感じます。

どのような患者さんが多く通われていますか?

林田博人院長 林田ブレストクリニック2

現在は西宮市立中央病院から引き継いだ患者さんが中心で、乳がん術後のフォローアップが多いですね。ありがたいことに新しい患者さんもどんどん増えていて、40代から60代を中心に幅広い年齢層の方が通ってくださっています。今は検診の方に比べて、検診後の精密検査に来られる方の割合が多い印象です。精密検査で乳がんと診断した方には手術のできる病院を紹介しています。良性でも気になる病変は定期的に経過を診ていきます。私は職人気質というか、少し凝り性なところがあって、その性格は、きめ細かさが求められるフォローアップにも生かされていると思います。

スキルと機器の両面でめざす精度の高い乳がん検診

乳がん検診に力を入れているそうですね。

林田博人院長 林田ブレストクリニック3

乳がんは今、すごい勢いで増えているんです。20年前は20人に1人ぐらいの割合とされていましたが、今は9人に1人が乳がんになるといわれています。昔に比べると乳がん検診を受ける人も増えてきてはいるものの、まだまだ追いついていない印象です。また、乳がんを罹患する年齢のピークが高齢化しているのも特徴で、以前は40代がピークだったのが、今では60代・70代で罹患する人のほうが多くなっています。40代の方は会社の健診などで乳がん検診を受けている人も多い一方、60代・70代は仕事をしていないと健診を受ける機会がなかったり、「乳がんは若い人の病気だから、高齢者は乳がん検診を受けなくても問題ない」と思い込んでいたりする人が多いのが現状です。当院に来てくださるご高齢の患者さんに話を聞くと、「何年も乳がん検診を受けていなかった」という人が多く、まだまだ啓発の必要性を感じています。

貴院の乳がん検診の特徴を教えてください。

乳がん検診は基本的にマンモグラフィで行いますが、質の高い検診には「精度の高い機器」、「技師の撮影技術」、「医師の読影力」の3つが不可欠です。当院ではマンモグラフィの撮影装置はもちろん、読影モニターにもこだわり、先進の超高解像度モニターを導入しています。当院の放射線技師はみな高い撮影技術を習得しておりますし、私は豊富な読影経験があり、県内で読影専門の医師の育成に携わってきた実績があります。20代や30代の方は乳腺の濃度が高く、マンモグラフィを撮影しても中があまり鮮明に見えないため、超音波検査が有用です。超音波検査は1件あたりの時間が長くなることもあるため、精度にこだわった装置を2台導入し効率化を図っています。有用な検診プランは年齢や乳腺の濃度で異なりますから、その人にあった乳がん検診を提案できるよう心がけています。

ステージ4の患者さんの診療にも対応しているそうですね。

林田博人院長 林田ブレストクリニック4

はい。ステージ4の方も、クリニックで診られる間はできる限り診ていきたいと思っています。入院や急変には対応できないため病院との連携は欠かせませんが、状態の変化に対応し胸部や骨のエックス線撮影ができるよう、一般撮影の装置も導入しました。病院に勤務していた頃はあまり感じていませんでしたが、今はステージ4の患者さんをクリニックで診る難しさを実感しています。日々勉強ですね。また、乳がんの術後はホルモン剤を服用する人が多いのですが、その影響で骨密度が下がる場合があります。骨粗しょう症の治療も行える環境を整えるため、骨密度測定装置も導入しています。乳腺クリニックでも一般撮影や骨密度測定の装置を導入しているところは少ないと思います。対応できる患者さんの幅を少しでも広げられたらと考えています。

安心して受診できる環境を整え、多くの人の受け皿に

診療では、どんなことを大切にしていますか?

林田博人院長 林田ブレストクリニック5

見落としがないよう精密に診療することと、わかりやすい説明を重視しています。そのために、「こういう時はこういう話をする」という言葉の引き出しをたくさん持つようにしていますね。また、患者さんが不快な思いをしないように、相手の立場になって考えることも大切にしています。乳腺外科は不安を感じて来られる方も多いので、患者さんが安心して受診できるような声かけを意識していますね。「患者さんに安心していただきたい」という思いは全員が共通して持っていて、スタッフの優しく丁寧な対応は患者さんからの評判も良いんですよ。放射線技師は患者さんとの接し方が非常に上手で、患者さんが安心して検査を受けられるよう進めてくれています。当院のロゴは、当院に来た女性が診療を受けて安心している様子をモチーフにしているんです。内装も、ゆったり過ごしていただけるような配置を意識しました。

今後の展望を教えてください。

開業当初から掲げている一つの大きな目標は、本格的なリンパ浮腫の外来を行うことです。乳がんの手術で、脇の下のリンパ節をきれいに取り除く手術を受けると、あとから腕がむくんでくる人がでてきます。これをリンパ浮腫といいます。リンパ浮腫の外来というのは、専門のセラピストとともにリンパ浮腫の治療を行うところですが、アロマなどのリラクゼーションを取り入れた、癒やしのあるリンパ浮腫の外来を始めようと準備を進めています。婦人科の患者さんでは足のリンパ浮腫で受け皿がなくてお困りの方も多いので、乳腺の垣根を超えてそういう方の受け皿にもなりたいと思っています。あと、経営に余裕ができれば、院内で血液検査を行う装置の導入や、小手術のできる環境も整えていきたいです。

読者へのメッセージをお願いします。

林田博人院長 林田ブレストクリニック6

乳がんは決して若い人の病気ではなく、60代・70代で罹患することも多い病気です。「自分には関係ない」と思わずに、乳がん検診の受診に来ていただければと思います。兵庫県では市の枠を超えて乳がん検診を受けられるようにする、乳がん検診の広域化も検討課題となっています。私もウェブで乳がん検診の情報を広く発信したり、診察に来てくださった患者さんに正しい情報を伝えたりといった草の根運動を行っていますが、いずれはイベントの開催など、啓発活動により一層取り組みたいと考えています。当院では精密な診療と、丁寧な対応で安心していただくことをモットーにしていますので、ぜひお気軽にお越しください。