小笹 秀樹 院長の独自取材記事
小笹医院
(横浜市栄区/大船駅)
最終更新日:2025/09/11

大船駅から徒歩10分ほど歩いた場所に、地域住民から長く愛されてきた「小笹医院」がある。2020年1月に祖父から院長職を引き継いだ小笹秀樹院長は、一般内科で幅広い症例を診ながら、専門性の高い循環器内科診療や薬に頼らず対話を重視した精神科診療を提供している。要支援者・要介護者向けのデイケアサービスや、さまざまな事情でクリニックに通えない患者に向けたオンライン診療にも注力。病気の治療のみならず、患者の日常生活や人生に寄り添いながら、さまざまな困り事を解決に導いている。体の診療と心の診療を軸に、めざすは「なんでも診られる医師」。社会全体の幸せを願い、常に広い視野を持って診療にあたる小笹院長に、クリニックの特徴や生活習慣病治療における同院の強み、院長の勤務医時代の話などをたっぷりと聞いた。
(取材日2024年12月13日)
循環器内科の経験を生かし、将来を見越した治療を提供
こちらは、先生のおじいさまが開業されたクリニックと聞きました。

はい。当院は地域に根差したクリニックとして長年診療を続けております。祖父の高齢化に伴い、患者さんの数は年々減少していましたが、2020年1月に私が院長職を継承してからは、循環器内科・総合内科・精神科を診療する医師として複数の病院で培ってきた手腕を生かして診療にあたっています。特に力を入れているのが、生活習慣病の治療。例えば、血圧、血糖値、コレステロール値を管理する目的は、服薬指導で上昇した数値を下げることではありません。その先にある虚血性心疾患や脳血管障害といった動脈硬化性疾患の発症の予防にも目を向ける必要があるのです。現在は循環器内科の専門家としての経験を生かし、健康診断や特定健診などでの早期発見・治療にも注力しています。また、健康上の理由や多忙で通院が難しい方向けに内科のオンライン診療も行っております。
生活習慣病治療における循環器内科の強みや、こちらの循環器内科の診療について詳しく教えてください。
生活習慣病が悪化して心疾患などの合併症を発症した場合は、循環器内科が患者さんを診るのが一般的です。私も大学病院の循環器内科に勤務していた頃、重症例に対する治療と再発予防のための身体管理に数多く携わりました。高血圧に対するお薬にも種類があるのですが、それぞれにどんな特徴があり、どの状態に対してどの治療薬を選択するのが適切かなどもしっかりと学んできています。数値の改善だけではなく、将来的な疾患のリスクを踏まえた治療を提供できることが循環器内科の強みですね。当院では生活習慣病の患者さんはもちろん、動悸を訴える方や心不全の疑いがある方に対しても、専門的な視点から検査・診断を実施しています。心臓の機能を調べる心臓超音波検査のほか、不整脈の発見や脈拍数のコントロールの評価に役立つホルター心電図を備えており、病院へ行かずともある程度の身体管理が可能です。
睡眠時無呼吸症候群の検査や治療にも力を入れているそうですね。

睡眠中に何度も呼吸が止まってしまったり、睡眠が浅くなったりして体の低酸素状態が発生する睡眠時無呼吸症候群は多くの人に注意喚起していきたい病気の一つです。睡眠の質が低下すると日中の眠気や倦怠感などの症状を引き起こし、社会生活に大きな影響を及ぼすことがあります。また、血液中の酸素が欠乏することによって心臓、脳、血管に負担がかかり、脳卒中、狭心症、心筋梗塞などの重篤な合併症を来す危険が高まります。糖尿病、高血圧症などさまざまな持病への悪影響も報告されています。肥満の方が発症しやすいといわれていますが、痩せていても睡眠の質が良くない人は多いです。気になる方はお早めにご相談ください。
病気の診療を通して社会にも貢献したい
精神科の診療にはどのような特徴がありますか?

現在の精神科医療は、精神疾患の原因が脳の異常によるものと考えられているため薬物療法がメインとなっており、対話による治療である精神療法はそれほど重要視されていません。しかし、精神疾患の患者さんは、皆さん何らかの不安やつらさ、悩みを持っています。薬物を投与したとしても、根本的な原因は解消できません。そこで私は対話での精神療法を行い、幅広い年代の患者さんに向き合ってきました。人間関係やトラウマや受験など、さまざまなご相談を頂いております。問題の解消をめざすとともに、精神力の強化も視野に入れてアプローチしています。今まではつらいと思っていたことをつらいと思わないでできるようになっていただければうれしいですね。精神療法は対話での治療の時間をしっかりと確保するため予約制で行っております。
デイケアサービスについて教えてください。
心身のケアを通した地域の健康促進活動の一環として、令和6年からデイケアも開始しました。デイケアは医療保険で利用できるサービスになっており、必要に応じて点滴や採血、ケガの処置などの医療行為を行えるようになりました。ケガや病気、体力の低下などからも精神が不安定になることがあります。復職トレーニングやレクリエーションなどの心のケア、体操や歩行訓練などの体のケアを行うことで、健康面に不安を抱える方の日常生活がスムーズになればと願っています。老若男女問わず、仲良く楽しんでプログラムに参加してくださる姿を見ると、始めて良かったと思います。
リハビリテーション科も標榜されているのですね。

当院では希望される方には院内でのリハビリテーションを実施しています。その他、専門的な知識を持つインストラクターと充実した機材によるピラティスやバレエのレッスンも行っています。このような地域の健康促進を目的とした活動も、祖父が以前から精力的に取り組んでいたものの一つです。私も負けずに地域の健康寿命の延伸に貢献すべく、患者さん一人ひとりと向き合い、最高の治療を提供したいと考えています。
患者の笑顔と健康を守る「なんでも診られる医師」に
先生が循環器内科と内科を専門に選んだ理由を教えてください。

循環器内科を専攻した理由は、心臓を診る科で命を救う診療をしたいと思ったからです。内科領域で扱うがんの中には末期がんもあり、診療科によってはこれ以上打つ手がなく、残念ながら助かる見込みが薄いケースも存在します。しかし循環器内科ならば、やり方次第では助かる可能性があり、積極的な治療を患者さんに提示できます。そんな部分から「命を諦めない科」というイメージを持ったんですよね。その後に内科に進んだのは、開業医になるにあたって必要だったことに加え、「なんでも診られる医師」をめざしていたことも理由です。内科全般の診療ができる実力を身につけつつ、何かあったときに他科の医師から頼ってもらえる専門家でもありたいという考えから、最初に循環器内科、次に内科という順でキャリアを積みました。
医師としてやりがいを感じるのはどんな時ですか?
医師として、患者さんがお元気になっていく様子を見たいという思いが根底にあり、それが目標でもあり、やりがいにもなっていますね。特に精神疾患を抱えた方は、診察室に入ってきた時には本当につらそうな表情をされています。なので、診察室を出ていく時には、少しでも症状が和らいで笑顔になってもらいたいと思いながら診察を行います。患者さんの中には、受験勉強や仕事のプレッシャーで生活に支障が出てしまっている方、人間関係が苦手で外出できなくなってしまった方などもいらっしゃいます。そういった方々が不安を乗り越えてうまく社会生活を送れるようになった時、一緒に心の底から喜べるよう、しっかりと寄り添っていきたいです。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

当院は、どのような症状やお悩みにも適切に対応したいと考えています。どこに受診して良いかわからないという場合も、一番に頼ってほしいですね。内科や精神科などという区分けを厳密にする必要はあまりないと思っており、診療科の垣根を越えてなんでも診させていただきます。もちろん私一人ですべて行うのではなく、別の医療機関により良い選択肢があるならば、そちらへご紹介いたしますのでご安心ください。一方で専門分野もございますので、動悸や呼吸苦といった循環器系の症状をお持ちの方や、精神的な問題を抱えていらっしゃる方は、気兼ねなくお問い合わせいただければと思います。