噛むと顎が痛むのはなぜ
考えられる原因・対処法・受診の目安
恵比寿あごと歯のクリニック
(渋谷区/恵比寿駅)
最終更新日:2026/02/16
- 保険診療
食事の度に気になる顎の痛みや関節のカクカク音。これらは顎関節症の代表的な症状だが、その原因には日頃の食いしばりや歯ぎしりなどの癖も大きく関わっているという。「顎関節症がどういったものなのか知れば、予防にも取り組めます」と早期受診の必要性を訴えるのは、「恵比寿あごと歯のクリニック」院長の村岡渡先生。慶應義塾大学病院や総合病院口腔外科勤務時代に顎関節の治療に励み、顎関節症の治療から虫歯や歯周病などの口腔内全体のサポートまで一つの場所で完結できるようにとクリニックを開業したという。そんな村岡院長に、顎関節症発症の誘因となる癖や受診の目安、治療法などを詳しく教えてもらった。
(取材日2026年1月23日)
目次
噛みしめ・片側だけで噛む・睡眠中の歯ぎしり、癖の積み重ねが引き起こす顎への負担と痛み
- Q口を開けると顎が痛いときに考えられる疾患を教えてください。
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A
▲顎の痛みに専門的な知識を持っている院長
まず顎関節症が考えられます。顎関節症はその名前のとおり、耳の前にある顎関節に炎症が起こって痛みが出る病気ですが、顎関節以外にも咀嚼筋の痛みを感じているケースも多いです。咀嚼筋は物を噛むときに使う筋肉の総称で、中でも頬骨と下顎を結んでいる咬筋(こうきん)という筋肉に負担がかかると、顎に痛みが出ます。奥歯の辺りが痛いと訴える方もいます。もちろん、歯のトラブルが顎の痛みを引き起こしていることも少なくありません。虫歯・歯周病・親知らず・不正咬合などが原因となって痛みを感じるケースもあります。
- Q顎関節症の症状はどういったものがありますか?
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A
▲顎を触ることで症状を診る
顎関節症の三大症状として「噛むと顎が痛い」「口を開けると顎が痛い」「口を開けられない」が挙げられます。それにプラスして4つ目の症状として「口を開ける度にカクカクと音がする」ことに悩まれている方もいます。また、顎を動かさなくても顎がだるく感じたり、鈍く痛んだりすることもあります。顎周り以外では肩凝り・首の凝りの症状を伴うことも多いです。体の症状は直接的な顎関節症の症状ではありませんが、筋肉が原因の顎関節症の場合、肩や首の筋肉にも緊張が起こりやすいのです。また咀嚼筋に緊張があるタイプの顎関節症の場合、こめかみにある側頭筋(そくとうきん)の緊張によって頭痛の症状が出る方もいます。
- Q顎関節症になる主な原因は何でしょうか?
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A
▲マウスピースを使用して治療することも多い
顎関節症は顎関節や咀嚼筋に負担がかかって生じるのですが、例えば硬い物を噛んだ、急に大きな口を開けてしまったといったことは引き金に過ぎません。もともと顎に負担がかかるような、噛みしめ・食いしばり・片側だけでいつも噛む・睡眠中の歯ぎしりといった癖が積み重なっている中で何かきっかけが加わり、顎の耐久力を超えると発症に至ります。基本的には女性がなりやすい病気で、20代と50代前後に多いと言われていましたが、今ではなりやすい年代というのはないとされており、60~70代以降のご年配の患者さんも増えています。
- Q受診の目安を教えてください。
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A
▲顎の痛みが気になったら早めの受診を
痛みが出たときは早めに受診してください。特に先ほど挙げた三大症状が出ている方は、安静にしながら早めに受診していただきたいです。早期受診によって治療期間の短縮が望めます。また、痛みはなくてもカクカク音が気になる、たまに引っかかって口が開かないことがある、痛みが出るけどすぐに引くというときも、受診していただければ症状を軽減させるためのエクササイズなどの提案ができ予防に取り組めます。顎関節症がどういったものなのか知ることで、マネジメントがしやすくなると思います。
- Qこちらではどのように治療を進めますか?
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A
▲結果を丁寧に説明し、今後の治療計画を相談
これまでの経緯をよく伺った後、触診をして、口の開く量、関節に炎症があるか、どこの筋肉が痛むのかなどをチェックします。エックス線検査や必要に応じてCT検査、食いしばる力を測れる筋電図検査などを行います。重要なのは診断で、顎関節症はいくつかのタイプに分けることができますので、きちんとタイプを診断し、そのタイプに合わせた治療を選択します。治療では、現状と原因を知ってもらうことを大切しています。そしてその方に合ったセルフケアに取り組んでいただき、夜間の歯ぎしりから顎を守るためにマウスピースを作製したり、その他、痛みを和らげるためのお薬の処方や筋肉への低周波治療、トリガーポイント注射なども行っています。

