豊田 寛朗 院長の独自取材記事
黄河歯科医院
(横浜市瀬谷区/三ツ境駅)
最終更新日:2026/07/30
三ツ境駅前から徒歩5分の「黄河歯科医院」は、1980年の開院以来、同じ地域で診療を続けてきた歯科医院だ。2018年に2代目院長に就任した豊田寛朗院長は、開院以来大切にしてきた「食べることは生きること」という考えを受け継ぎ、高齢になっても楽しんで食事ができる口腔環境の維持をめざしている。歯周病の予防と治療、口腔機能発達不全症・口腔機能低下症の改善、訪問診療、地域連携にも力を入れ、患者一人ひとりの生活に根差した歯科医療を提供している。
(取材日2025年11月12日・更新日2026年7月13日)
「食べる喜び」を支える治療で人生の豊かさにも貢献
1980年の開院で、半世紀近くもこの地で診療されているのですね。

当院は1980年に開院し、瀬谷区・三ツ境の地域に根差して診療を続けてきた歯科医院です。私は2013年から当院での診療に携わり、患者さん一人ひとりの話をよく聞き、その方の生活背景や気持ちも踏まえた治療を大切にしてきました。2018年に院長を継承してからは、前院長時代から通院されている患者さんも含め、当院として責任をもって継続的に診療を引き継ぎ、2025年末に前院長が当院での診療を終えてからは、私を中心にスタッフ全員で患者さんを支える体制を整えています。診療では痛い部分を治療するのはもちろん、その方がきちんと噛んで飲み込めて、食事を楽しめるかどうかまで留意します。実生活できちんと機能するように歯を治療できれば、周囲の方との食事やおしゃべりが楽しめるなど人生の豊かさにも貢献できます。これが、開院以来大切にしてきた「食べることは生きること」という考え方なのだと思っています。
先生のこれまでのご経験を教えてください。
私は神奈川歯科大学を卒業後、さまざまなタイプの歯科医院に勤めて診療の幅を広げました。入れ歯治療では、患者さんの歯型をとり、入れ歯を製作し、フィットするよう細かく調整しますが、それぞれのステップでエラーや誤差をなくすように徹底することで、入れ歯の仕上がりが格段に良くなることも経験から学びました。「一つ一つの仕事を着実に行う」という、私の歯科医師としての基礎をつくった時代といえます。また、母校が運営する横浜駅近くの神奈川歯科大学附属横浜クリニックでも勤務し、全身疾患やアレルギー疾患の患者さんの歯科治療にも携わりました。医科領域の知識や他科との連携について学ぶセミナーにも参加し、知識を深めました。ただ、勤務医のときは目の前の仕事をこなすのに精いっぱいで、地域密着の医療を意識し始めたのは当院に戻ってからなんです。
今はどのような思いで診療されているのでしょうか?

「食べることは生きること」の考えに基づき、歯科医療を通して患者さんの健康寿命の延伸に寄与することが目標の一つです。特に高齢の方は、自分の歯で噛んで食事をすることが脳への刺激になり、十分な栄養の摂取にもつながるでしょう。友人と食事を楽しむなどで人との交流が広がり、その方らしい生活や社会参加を支えることにもつながるはずです。そのために当院では、お子さんから高齢の方まで「噛む」「飲み込む」「発音する」といった口腔機能の維持・向上に努めてきました。また、私は歯周病が専門で、適切な予防と治療で歯を失わない診療にも注力しています。最近は歯周病を診てほしいという30~50代の患者さんも増えてきました。見過ごされやすい歯周病の治療にしっかり取り組み、たとえ重症化していても可能な限り噛める歯を残せるようにしたいと考えています。
多職種の地域連携で患者に適した医療・介護を
子どもの診療にはどう取り組まれていますか。

一般的に口腔機能は年齢とともに発達すると考えられますが、さまざまな要因で機能が十分に発達しない「口腔機能発達不全症」が多くなっていると感じます。口腔機能発達不全症のままでは、口がぽかんと開く、出っ歯になりやすいなどの悪影響も考えられます。そこで当院では、舌の筋肉を中心に口腔筋をトレーニングする「あいうべ体操」などのトレーニングと日常の指導を通して、舌や口周りの筋肉が本来の働きを身につけるよう促し、口腔機能の健やかな発育をサポートしています。また中学生くらいのお子さんが歯並びを気にするケースも増えていますが、医療的な必要性やご本人・親御さんの希望を踏まえ、矯正治療が必要かどうか、また専門医療機関への紹介が適切かどうかを相談しています。
訪問診療ではどんなことに留意されるのでしょうか?
ご家族の意向までくみ取って、ご本人の口腔機能が維持できるようにと考えています。ほとんど寝たきりの方でも、きちんと合う入れ歯を製作し、よく噛んで食べられるようになれば、体や心にもプラスに影響するかもしれません。要介護者のQOL向上や、ご家族やスタッフが安心して介護するためにも、口腔環境を良い状態で維持することは重要と考えています。また、高齢の患者さんの多くは基礎疾患が併存し、「血液をさらさらにする薬を服用している」「糖尿病があり感染や治癒に配慮が必要」など、治療時に注意すべき点も少なくありません。そのため、必要に応じて内科などの主治医の先生方とも連絡を取り、治療時期や処置内容、止血方法などを検討しながら、患者さんに適した治療を心がけています。
訪問診療や高齢者医療では地域連携も大事なのですね。

地域の医師、薬剤師、ケアマネジャーなど多職種の方々と、顔の見える関係をつくることは大切だと考えています。現在は、摂食嚥下などに関する意見交換会にも参加し、日頃から連携しやすい関係づくりを心がけています。特にケアマネジャーは患者さんの細かなニーズに対応するなど大変な職種ですから、適切な医療を安心して選択していただけるようしっかりと情報を提供し、連絡を取りやすい関係づくりをめざしています。最近は患者さんがうまく食事ができないときに、ケアマネジャーの方から相談いただくことも増えましたね。
普遍的な歯科医療をぶれずに継続して提供する
先生が診療の際に心がけている点をお聞かせください。

患者さんの話をよく聞いて気持ちを理解し、その方に合った治療を提供できるよう努めています。お子さんは虫歯の治療で初めてユニットに座ると、驚いて泣いてしまうことも少なくありません。そのため、治療が必要になった時にもスムーズなよう、クリーニングやフッ素塗布などで定期的に通院し、歯科医院に慣れてもらうことを親御さんにお勧めしています。大人の患者さんにも安心して通っていただけるよう、「ちょっと物が詰まりやすい」「ここの高さが合っていない」といった小さな変化でも、気軽に話せる雰囲気づくりを心がけています。また、患者さんにより良い診療を提供するためには、スタッフが働きやすい環境づくりも欠かせません。昨年は診療室のバックヤードを拡充・整備し、動線の改善や作業効率の向上を図りました。今後も、患者さんに安心して通っていただける環境と、スタッフが力を発揮しやすい体制の両面を大切にしていきます。
院内でのチームワークはいかがでしょうか?
歯科医師、歯科衛生士、歯科助手、受付スタッフなど、お互いが敬意を払いながら協力し合って当院は成り立っています。歯科衛生士もほとんどの時間帯で院内に在籍する体制になり、私と二人三脚で患者さんを診ていますが、歯磨きの仕方などを、患者さんに近い目線でわかりやすく丁寧に伝えてくれていると感じています。また、患者さんは受付スタッフに治療の感想やご家族について話されることがよくあります。必要な情報は歯科医師にも共有してもらい、次回に役立てています。加えて、長く勤めていただいている清掃スタッフの方もいらっしゃいます。患者さんに接する立場でなくても、院内を居心地良く保つには絶対に必要な職種だと思いますし、すべてのスタッフを大切に、一つのチームとして当院を運営したいと考えています。
歯科医院として今後の展望をお聞かせください。

虫歯や歯周病の予防と治療、入れ歯治療、口腔機能の維持・向上など、社会で必要な歯科医療は今後も大きくは変わらないはず。そのような普遍的な歯科医療、地に足のついた治療を、ぶれずに継続して瀬谷区の皆さんに提供することが当院の役割です。患者さんが、おいしく食事をして、楽しくおしゃべりをして、生き生きとした人生を送っていただけるよう、口腔内のトラブルがボトルネックにならないようケアをご提供したいと考えています。1980年の開院以来、この地域で積み重ねてきた信頼を大切にしながら、これからも同じ黄河歯科医院として、瀬谷区の皆さんに必要とされる歯科医療を提供し続けたいですね。

