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松本 慈寛 院長の独自取材記事

ロータスクリニック

(横浜市磯子区/新杉田駅)

最終更新日:2025/07/09

松本慈寛院長 ロータスクリニック main

京急本線・杉田駅、JR根岸線・新杉田駅から徒歩10分ほどの場所にある「ロータスクリニック」は、整形外科とペインクリニック内科を中心に、皮膚科やリハビリテーションも含めた診療を行っている。院長の松本慈寛先生は、麻酔科医として救急や手術現場に携わってきた経験に加え、日蓮宗の僧侶として世界三大荒行にも挑んできた異色の経歴を持つ。「痛みの感じ方に正解はありません」と話す松本院長の診療には、整形外科的な注射技術に加え、ペインクリニックとしての幅広い視点、さらには仏教的なまなざしが息づき、医学と心の両面から患者の痛みに向き合っている。地域に根差した医療をめざす松本院長に、これまでの歩みと診療への思いについて聞いた。

(取材日2025年6月3日)

患者の命を預かる麻酔科の医師としての歩み

医師になろうと思ったきっかけを教えてください。

松本慈寛院長 ロータスクリニック1

子どもの頃、野口英世に憧れたことが医師をめざす最初のきっかけでした。研究職への興味が強く、高校時代にはゲノム解析の進展に影響を受け、遺伝子研究の道を考えるようになりました。その際、農学系の研究者から僧侶になった父から「研究もできて、人に触れられるのは医師だけ」と助言を受け、医学部進学を決意します。入学後、組織学の実習で細胞を長時間観察するような地道な研究に取り組む中で、自分にはもっとスピード感のある現場のほうが合っていると感じるように。そこで選んだのが麻酔科です。麻酔は投薬の反応がすぐに現れ、判断や対応を迅速に行える点が魅力でした。また、オンオフの切り替えがしやすい働き方は、将来的に僧侶としての活動も視野に入れていた自身のライフスタイルにも合っていると感じました。

北里大学麻酔科での研鑽や、ご経験された領域について教えてください。

北里大学の麻酔科では、手術室麻酔を中心に、ペインクリニック、ICU(集中治療)、ターミナルケア、産科麻酔など麻酔科全般を幅広く経験しました。特に印象深いのは、愛知県の刈谷豊田総合病院のICUです。夜間に26床を1人で担当したり、救急科外来で重症患者の対応にあたったりと、実践的な経験を重ねました。また、複数の病院に出向し、施設ごとに異なる手技や考え方にふれられたことも貴重でした。こうした研鑽は、現在のペインクリニックや内科・整形外科の診療において、全身管理の知識や注射技術、患者さんとの向き合い方に大いに生かされています。麻酔科で身につけた「身体のバランスをコントロールする視点」も、痛みの診療に深く結びついていると感じています。北里での幅広い経験が、今の自分をかたちづくっていると感じますね。

僧侶としての修行経験が医療にどう影響していると感じますか?

松本慈寛院長 ロータスクリニック2

私は日蓮宗の僧侶として、これまでに3度「世界三大荒行」に挑みました。まだ暗い早朝に目を覚まし、冷たい水を浴び、寒さや眠気、疲労、空腹と闘う日々。心身の限界に挑む修行を通して、「あの時に比べれば大丈夫」と思える、揺るがない精神的な土台が築かれたと感じています。仏教には「世界は自分の心がつくる」という教えがあります。痛みもまた、心が感じた瞬間に現実になるもの。たとえ検査で異常が見つからなくても、患者さんが「痛い」と感じているなら、それは確かな痛みです。また、「執着を手放す」という仏教の教えは、医療においても偏りのない姿勢を保つ支えとなっています。そうした意味で、僧侶としての経験は、医療現場でも大きな力になっていると感じます。

極限の修行体験がもたらした医療へのまなざし

クリニック継承の経緯とその時の想いをお聞かせください。

松本慈寛院長 ロータスクリニック3

クリニックを継ぐことになったのは、いくつもの偶然が重なった末のことでした。前院長の佐野新一郎先生が閉院を決め、後継者を探していた折、たまたま私が不在のときに実家のお寺を訪ねてこられたそうです。住職である父と話す中で、「ここで医療を続けてもらえたら」と話が広がっていったと聞いています。私はというと、ちょうど荒行に入る直前で、前の病院も退職し、修行の準備に追われていた時期でした。「今はとても無理ではないか」と戸惑いましたが、それでも、お寺の目の前で医療と仏教をつなぐ場が生まれるかもしれないと感じ、そのご縁に心が傾きました。医療と仏教の融合を願う父の想いも重なり、私は自然とその流れに身をゆだねるように、この地で診療を始めることになったのです。

ペインクリニック内科と整形外科の両面からアプローチできる強みをどう考えていますか?

麻酔科の医師は診療科を横断して患者さんに関わりますが、その中でも整形外科領域の患者さんを数多く担当し、運動器疾患や筋骨格系の痛みに対する理解を深めてきました。また、学生時代はスポーツに打ち込み、ケガをすることも多く、そこから体の構造や回復のプロセスに関心を持つようになりました。麻酔科で培った注射技術を生かし、整形外科的な処置としてトリガーポイント注射や神経ブロック注射など、「体を診る」診療と、ペインクリニック内科で痛みの背景や心身の状態に丁寧に耳を傾ける「心に寄り添う」診療、その両方を大切にしています。こうした両面からのアプローチを通じて、幅広い痛みに対応できることが当院の特徴ではないでしょうか。患者さんのつらさに向き合う姿勢そのものが、私にとって自然な診療スタイルなのかもしれませんね。

日々の診療で大切にしていることは何ですか?

松本慈寛院長 ロータスクリニック4

日々の診療では、「検査では異常がないと言われたけれど、つらさが残っている」と訴える方に向き合うことが少なくありません。レントゲンに映らない筋肉のこわばりや、原因がはっきりしない不調に悩む方に対しては、症状だけでなく、その方の感じ方や生活背景にも目を向けながら、体の変化を丁寧に読み取ることを大切にしています。痛みにはその人なりの現れ方があり、一律の対応では見落とされてしまう要素も少なくありません。だからこそ、これまでの経験を生かしながら、その方に合ったアプローチを組み立てていくことが大切だと考えています。患者さんの痛みを「心」の問題としても捉え、耳を傾け、これまでの多様な医療経験を生かして、その痛みを和らげるための適切な方法を見つける、ということを大切にしています。

診断から注射・リハビリまで、一貫した痛みのケアを

どのような患者さんが多く来院されていますか?

松本慈寛院長 ロータスクリニック5

来院される患者さんで多いのは、整形外科と皮膚科の疾患をお持ちの方です。ペインクリニックを目的に来られる方もいらっしゃいますが、整形とペインは症状が重なる部分も多く、結果として整形外科領域の診療が中心になっています。年齢層では、70代、80代のご高齢の方が最も多く、関節や筋肉の不調で来院されるケースが目立ちます。皮膚科では、水虫などの慢性的な皮膚疾患を中心に、比較的幅広い年代の方が受診されています。整形外科・皮膚科・ペインクリニックそれぞれの特性を生かしながら、地域のかかりつけ医として、多様なニーズに応じて診療にあたっているのが現状です。

ペインクリニックは、どんな悩みを持つ方に向いていますか?

痛みに悩んでいるけれど、何科を受診すればいいかわからない。そんな方にこそ、ペインクリニックを活用してほしいと考えています。整形外科では関節をはじめとする運動器の痛みを扱うことが多いですが、ペインクリニックでは神経の痛みや皮膚の表面に出るような原因不明の不調にも対応しています。顔面神経痛のように一般的な鎮痛薬で改善が難しいケースでは、より専門的な薬を使うこともあります。患者さんの「痛い」という訴えを大切にし、丁寧に話を聞くことも治療の一つと考えています。整形外科とペインクリニックの両方の視点で診療できるのは当院の強みですね。注射や薬で痛みの緩和を図り、リハビリにつなげることも可能ですので、どんな痛みでも、我慢せず早めにご相談ください。

今後の展望と地域の方へのメッセージをお願いします。

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ますます高齢化が進んでいく中で、地域の皆さんができるだけ長く、ご自身の力で日常生活を送れるようなお手伝いができたらと思っています。そのためには、やはり足腰の健康が大切です。ほんの少しの違和感も、我慢を続けると動きにくさにつながることがあります。だからこそ、「ちょっと気になるな」「話だけでも聞いてもらえたら」というタイミングで、気軽に足を運んでみてください。整形外科とペインクリニック、両方の視点から診療できる体制があるため、はっきりしない痛みにも丁寧に向き合うことができます。これからも、どんな小さな声にも耳を傾けながら、地域に寄り添うクリニックで在り続けたいです。

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