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鈴木 雅登 院長の独自取材記事

成城ペインクリニック

(世田谷区/成城学園前駅)

最終更新日:2025/07/14

鈴木雅登院長 成城ペインクリニック main

2025年5月、成城学園前駅近くに開業した「成城ペインクリニック」。体のさまざまな場所に生じる痛みを和らげ、生活の質の向上をめざすクリニックだ。院長の鈴木雅登先生は、原因が明らかな痛みから、ホルモンバランスの乱れなどによる数値や画像に表れない痛みまで、患者の訴えを受容してその人に合った解決方法を探っていく。データ上は特に問題がない「自分だけの痛み」は、「気のせい」「不定愁訴」といった言葉で片づけられ、一人で苦しんでいる人も多い。見えない痛みを共有し、その軽減に向けてともに考えてくれる同院は、鈴木先生の言葉を借りれば「万能ではないが、豊かな生活を送るための選択肢として考えてみてほしい」存在だ。ペインクリニックの役割から可能な治療、痛みに寄り添う鈴木院長の思いまで、詳しく話を聞いた。

(取材日2025年6月27日)

痛みを和らげ、日々の暮らしの質を上げるための診療科

まずは、開業までの経緯をお聞かせください。

鈴木雅登院長 成城ペインクリニック1

大学卒業後、名古屋大学医学部附属病院とその関連病院で勤務した後、環境を変えたいと思って関東の市中病院に移りました。働く場所は変わっても、一貫して麻酔科、ペインクリニックに携わってきました。開業を考え始めたのは4~5年前でしょうか。急性期の治療を担う大学病院や総合病院では、どうしても麻酔科医として手術のサポートを求められる場面のほうが多かったため、患者さんの痛みをケアするペインクリニックにより注力したいと思うようになりました。

開業にあたっては、もともとあったペインクリニックを継承されたそうですね。

都内で開業する場所を探していた時、成城学園前で長く診療していたペインクリニックの宮沢クリニックさんが閉院を決め、継承者を探していることを知ったんです。同時に、同院の宮沢章子先生が大切にしていた「患者さまお一人お一人の立場に立ち、その方にとって最善の治療を考える」という精神も知って共感し、この場所での開業を決めました。宮沢先生がこまめに手入れしてくださっていたおかげで、院内はとてもきれいで機能的でしたから、私はほぼ手を加えていません。アクセントの赤色が効いた待合室の雰囲気もすてきだなと思って、そのまま使わせていただいています。

「ペインクリニック」を知らない方も多いと思います。どんな診療をしているのか、ぜひ教えてください。

鈴木雅登院長 成城ペインクリニック2

ペインクリニックとは、痛みを和らげ、毎日の暮らしを前向きに楽しめるようにすることを目的とした診療科です。例えば椎間板ヘルニアのように病名が明らかな痛みの場合、病気そのものを治すわけではありません。病気に付随して発生し、生活の質を落としている痛みにアプローチして改善を図るのがペインクリニックです。同様に、原因がはっきりしない痛みについても、痛みの原因を突き止めるよりは「痛みがあること」を理解し、その軽減を図ることを目的として診療します。診療対象は「痛みやしびれなどの症状がある人」全般で、どこか特定の臓器や疾患に特化しているわけではありません。

患者の状態や主訴に応じて治療法をカスタマイズ

主に、どのような患者さんがいらしていますか? また、どんなときに受診するのが望ましいですか?

鈴木雅登院長 成城ペインクリニック3

顔の特定の領域に激しい痛みが生じる三叉神経痛なども散見されますが、腰の痛みと、帯状疱疹後の痛みを訴えて受診される方が目立ちます。帯状疱疹は、体内に潜伏していた水痘・帯状疱疹ウイルスが活性化し、体の片側の皮膚に痛みと水膨れを伴う発疹が出る病気で、最近ではメディアを通じて予防接種が推奨されるようになりました。多くの場合、皮膚症状がなくなると痛みも消失するのですが、人によっては帯状疱疹後神経痛(PHN)といって激しい痛みだけが続くことがあります。早期に適切な治療をしないと長引きますから、痛みが引かないと思ったらすぐに受診することをお勧めします。その他、「原因がわからない」とさじを投げられてしまった方や、原因の疾患を治療しているけれども慢性的に痛みが続いている方は、一つの選択肢としてペインクリニックを受診していただくと良いと思います。

原因不明の痛みを訴える方には、どのようにアプローチされるのでしょう。

まずは、患者さんが感じている痛みが内臓や脳の疾患のサインではないことを確認しなければなりません。詳しい検査をしていない方や、急性期的な症状を訴えている方は、連携している近隣の医療機関にご紹介しています。近隣の医療機関には開業が決まってからごあいさつに行きましたが、腕の立つ優しい先生方が多く、とても助かりますね。一方、原因疾患がないことが明らかで痛みを感じている方の多くは、自律神経が乱れ、心と体のバランスが取れていない印象です。その場合、「どこがどんなふうに、どんなときに痛むのか」を詳しく聞いた上で治療案を提示し、ご自身が納得できる方法を選んでいただきます。

どんな治療法があるのか、詳しく教えてください。

鈴木雅登院長 成城ペインクリニック4

主にレーザー治療、神経ブロック注射、漢方薬を使用しています。神経ブロック注射は、痛みを感じている神経に直接、あるいは間接的に働きかけ、痛みの伝達を遮断するための方法です。血管が拡張して血流が良くなることで、血行不全や冷えの改善も期待できます。痛みが続くと交感神経が緊張状態になり、血管が収縮して冷えや痛みの悪循環が生じるため、それを断ち切ることはとても重要なんですよ。「手足が冷える」「気圧や天候が変化すると痛みが出る」といった方には、漢方薬も有用ですね。どんな痛みに対しても、考えられる選択肢とそのメリット・デメリットをすべて説明し、患者さん自身が納得して治療法を選べるようにしています。

患者の訴えを否定せず受容し、対処法をともに考える

安全性と確実性を重視して、エコーガイド下での神経ブロック注射を積極的に行っているそうですね。

鈴木雅登院長 成城ペインクリニック5

はい。従来の神経ブロック注射は、エックス線画像や医師の感覚で骨や筋肉を避け、目的の部位に向かって針を刺していました。この場合、狙った場所にきちんと注入できたかどうかは、注射後の患者さんの状態でしか図ることができません。一方、エコーガイド下で行う神経ブロック注射は、リアルタイムで超音波画像を見て、他の神経や血管を避けてピンポイントで注射をすることができます。当院が使っているのは先が丸まった珍しいプローブで、喉仏の左右にある交感神経に打つ繊細なブロック注射も非常にスムーズなんですよ。薬がちゃんと広がっているかどうかも可視化されますし、痛みの緩和が見込めない場合は早めに別の治療法を検討できるのもメリットですね。

痛みは人に伝わりにくくつらい思いをしている方も多いと思います。患者さんにはどのように接していますか?

患者さんの訴えを丸ごと受け止めることを大切にしています。特に、数値や画像には問題がないのに痛みがある患者さんの中には、医師に「痛みは気のせいだ」と言われたり、「うちでできることはない」とさじを投げられたりして苦しんできた方が少なくありません。痛みがある、痛みによって生活が阻害されている、という患者さんの訴えをしっかりと聞き、それに対する打ち手を考えるのが私の役割です。なんでも話していただきたいですね。私に言いにくいことは、スタッフに伝えてくださっても構いません。スタッフのほとんどは宮沢クリニックさんでも働いていて、聞き上手でホスピタリティーのある方ばかり。安心してお話しいただけると思います。

最後に、読者にメッセージをいただけますか?

鈴木雅登院長 成城ペインクリニック6

「痛み」全般にアプローチして患者さんの生活の質を上げることがペインクリニックの目的であり、私のやりがいでもあります。痛みを感じたときのファーストチョイスは他の診療科であることが多いと思いますが、いつまでも治らない痛み、原因がわからない痛みなどにお悩みの方は、セカンドチョイスとしてぜひ相談にいらしてください。西洋医学的に異常が認められない場合でも、患者さんが感じている痛みを否定せず、一緒に対処法を考えます。「痛みを和らげて、こんなふうに生活したい」「こういうことができるようになりたい」といった希望を持って治療に取り組み、前向きな暮らしを取り戻しましょう。

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