恒川 卓也 院長の独自取材記事
なごやおなか恒川クリニック
(名古屋市中村区/名古屋駅)
最終更新日:2025/06/06

オフィスビルや百貨店が集中する名古屋駅周辺は、働く人も多い街。その街で60年以上診療を続けるクリニックが、2025年4月に「なごやおなか恒川クリニック」としてリニューアルした。名古屋駅の太閤通南口から徒歩約5分。これまではビル内にあったが、そのすぐ隣に3階建ての独立したクリニックを建設し、駐車場も7台分設けた。3代目院長である恒川卓也先生は消化器内科が専門。「基幹病院で経験を積み、内視鏡検査の技術も磨いてきたので、この経験を生まれ育った町の医療に生かしていきたいです」と院長就任への意欲を語る。穏やかな人柄で、診察中はできるだけ患者の話を聞く姿勢だという恒川院長に、新しいクリニックについて話を聞いた。
(取材日2025年5月8日)
60年以上続く内科クリニックを移転リニューアル
先生は3代目の院長だそうですね。

当院は、私の祖父が1963年に内科と皮膚科を標榜して開業しました。その後、消化器内科が専門である父が継承し、風邪や腹痛などの一般的な内科の診療や内視鏡検査などを行ってきましたが、この度の継承にあたってもう少し広い場所で診療をしていくため、移転新築をしました。これまではビルの4階と5階にありましたが、新しいクリニックはバリアフリーで駐車場も前にありますから、利便性が高くなりました。建物は3階建てで、1階が診療室、2階は自由診療用の部屋と会議室になっています。名誉院長である父は、ホリスティックな考え方に基づく統合医療の観点からの診療に取り組んできました。現在は、がん患者さんへの養生法の指導や、漢方処方などに注力しています。会議室は、そんな父が患者さんを集って講和などを開く場所として利用できたらと考えて設けましたが、今後はヨガなどの健康教室で利用してみるのも良いですね。
クリニックの内装についてはどんな部分にこだわっていますか?
待合室の面積は広いわけではないので、天井を吹き抜けにしたり窓を広く取ったりしています。そのおかげで、空間が広く明るくなりました。院内は、白くなり過ぎない程度の自然な明るさの色合いにしています。真っ白にすると威圧感もありますからね。また、受付が混雑しないよう自動精算機も設置しました。入り口が2つありますが、1つは感染症の隔離室用で、発熱のある患者さんも動線を分けて診ることができます。診療室は、検査用と一般診察用の2部屋あり、内視鏡検査室や待機室なども設けています。内視鏡検査用のベッドは移動できるので、患者さんは寝たまま検査室や処置室に移動できます。できるだけ快適に検査を受けていただきたいので、そこはこだわりました。
内視鏡検査に力を入れているのですね。

はい。私の専門でもありますから、できるだけ気軽に受けていただけるよう、内容にもこだわりました。通常の大腸の内視鏡検査は、午前中に下剤を飲み、午後から検査を行って夕方に帰るという流れが一般的かと思いますが、それだと1日かかってしまいます。当院では、仕事や家事などで多忙な方のために、午前中で検査が終わる「モーニング大腸検査」を用意しました。早朝にご自宅で下剤を飲む必要がありますが、検査時間は15分程度ですから午前中には終了します。また、胃カメラは午前中に設定されているクリニックが多いですが、当院では夕方から行う「イブニング胃カメラ」も行っています。昼食は絶食が必要という注意点はありますが、仕事終わりにも検査ができるよう配慮しています。
培ってきた内視鏡の技術を地域医療に生かす
院長就任までのご経歴について教えてください。

愛知医科大学を卒業後は、刈谷豊田総合病院の内科、消化器内科に5年間勤務の後、名古屋医療センターで研鑽を積みました。名古屋医療センター在職中には、先進の内視鏡診療を学びました。内視鏡は進化がめざましい分野でもありますから、手技や治療、カンファレンスの質など、その時々の最良と思える方法をしっかり学ぶことができました。特にがん治療では、大きなサイズの腫瘍でも、先進の技術を駆使して安全性に配慮しながら摘出する方法を学び、とても刺激になりましたね。その後、幅広い内科疾患に対応するため、1年間、一般のクリニックで経験を積み、当院の院長に就任しました。
先生が消化器内科を選ばれたのは、お父さまの影響ですか?
父も同じく消化器内科が専門で、クリニックでもがん患者さんと接していたことは印象に残っていました。さらに、私が内科の研修医になってからも、がんの患者さんと接することが多く、「がんという病気は自分の人生に深く関わっている」と感じたのが最初です。循環器内科などを考えたこともありましたが、やはりがんが多いのは消化器だったので、消化器内科に進みました。発見が遅れた患者さんや痛みに苦しむ患者さんもいて、なんとか早くがんを見つけられるようにならなければ、という使命感は大きかったですね。技術や知識を磨いて早期発見し、治療ができるものは助けてあげたいし、たとえ発見が遅れたとしても、できることを考えて患者さんと相談しながら診療するというところにもやりがいを感じました。「できることはありません」と突き放すのではなく、私は患者さんが望む方向に患者さんと一緒に悩みながら寄り添っていきたいのです。
クリニックのコンセプトに、「和やか」という言葉を挙げられていますね。

消化器の病気というと、がんなどを心配して来られる患者さんも多いので、少しでも安心してもらえる和やかな雰囲気をめざしています。「なごやおなか」というクリニック名も、当院のコンセプトとしての「和やか」という意味も含んでいるんですよ。些細なことでも話しやすい和やかな雰囲気の中で患者さんが笑顔でいられるよう、スタッフ全員でお迎えしています。特に患者さんへの声かけは大事ですね。患者さんの情報はスタッフ間で共有して、患者さんとの信頼関係を築けるよう取り組んでいます。
聞く姿勢を重視して患者が安心できるクリニックに
がん以外にも注力している診療はありますか?

肝臓の病気や炎症性腸疾患(IBD)です。潰瘍性大腸炎やクローン病などに挙げられるIBDは、若い人がなりやすく、悩んでいる人も多い病気。生活スタイルなど患者さんの状況をしっかり聞いて治療することが大事な病気でもあります。通勤途中でトイレに行きたくなるとか、入院が必要でも入院せずに通院でなんとかしたいなど、悩みや状況に合わせた治療法を選ぶことも必要ですから。さらに、ただの胃腸風邪だと思われていて診断が遅れることも多いので、早く見つけてあげることも大切ですね。他には、ご本人も自覚症状のない病気を治療につなげることにも注力しています。例えば、鎮静下で行う内視鏡検査中に睡眠時無呼吸症候群を疑う症状が見つかることも考えられます。細かな点にまで気を配った診療に努めていきたいですね。
患者さんと接する時には、どんなことを心がけていますか?
まずは、患者さんの話を聞くことが大事ですね。こちらから促して、患者さんがどうしたいかを明確にしてから診察を進めることを心がけています。内視鏡検査は、怖いからとか時間がないから検査をしないというのが一番良くありません。できるだけ多くの人に受けてもらえるようにするための検査体制を整えるのもそうですし、鎮静剤がなくても苦痛が少なく済むような技術にも自信を持って行っています。技術だけでなく、患者さんに緊張感があると体に力が入ってしまって逆に苦しいですから、リラックスできるようスタッフもしっかりサポートしています。
自己紹介も兼ねて読者へメッセージをお願いします。

私は、姉2人がいる3人きょうだいの末っ子で、小学生から大学までサッカーを続けました。今は、フットサルや休日に子どもと一緒にサッカーを楽しんでいます。サッカー一筋で成長してきたこともそうですし、こつこつと努力を続けることは性に合っているようで、医師になってからも地道にスキルを磨いてきました。つらい症状や心配なことがあって来院される方も多いので、小さな悩みでも安心して相談できるクリニックをめざしています。父は人を集めて話すのが得意な医師ですが、私は自分から話すというよりも患者さんの話を聞いて対話していくタイプ。ですので、患者さんにはどんな小さなことでも遠慮なく話していただきたいと思っています。最適な方法を一緒に考えていきますので、困ったことがあれば何でもご相談ください。
自由診療費用の目安
自由診療とは人間ドック/2万7500円~