不安が伴う消化器の内視鏡検査
かかりつけ医で受けるメリットとは
川本胃腸内科外科
(横浜市旭区/鶴ヶ峰駅)
最終更新日:2023/06/15
- 保険診療
がんの早期発見に有用だとされている消化器内視鏡検査。近年胃の内視鏡検査の受診率は上がりつつあるようだが、大腸内視鏡検査については抵抗感を持つ人が多く、検査のためだけに医療機関を受診する心理的なハードルは高い。そんな中、いつものかかりつけ医が、診療の中で患者の症状や心配事から内視鏡検査の必要性を判断し、同じ医師が検査するクリニックがある。横浜市で35年以上にわたって地域の健康を見守ってきた「川本胃腸内科外科」だ。2023年に就任した川本聖郎院長は、日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医の資格を持ち、もともと消化器外科を専門とし、現在は内科から外科まで幅広い診療を行う地域のホームドクター。患者負担を軽減する工夫とサポート、かかりつけ医ならではの患者の安心感を重視した大腸内視鏡検査をレポートした。
(取材日2023年5月20日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Q内視鏡検査を勧めるのはどのようなときですか?
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A
例えば、最初からおなかの症状がある場合や、ほかの病気の診療をする中で、おなかに関する慢性的な症状や問題が見つかった場合に検査を勧めます。当院には以前から通われているかかりつけのご高齢の患者さんも多く、年齢とともに気になることが出てきて検査を希望されるということも多いですね。慢性的な便秘や下痢、腹痛などの症状があり原因がはっきりしない場合は、何か病気が隠れているのではないかと医師は考えます。40歳以上から大腸がん検診の便潜血検査が始まりますし、大腸がんの罹患者も増えていますから、特に40代、50代以上の方には重要性を伝えつつ、一度内視鏡検査を受けることをお勧めしています。
- Qかかりつけ医で内視鏡検査を受けるメリットは何でしょう。
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A
かかりつけ医として日頃から診察している医師が、内視鏡検査を担当し、検査中の判断でポリープ切除まで一貫して行うことができます。診療の中で気になることが見つかれば医師から検査を勧めますが、患者さんから一歩踏み出して検査を受けていただくことで、病気が見つかるケースも少なくありません。いざ内視鏡検査を行うとなった時、もちろん内視鏡専門のクリニックもございますが、見慣れた医師、看護師、スタッフのいる行き慣れた場所で検査を受けることの安心感はあると思います。私自身も内視鏡検査を受けた経験があるので、患者さんの気持ちを理解し、検査を受けたからこそ伝えられることもあると思います。
- Q胃と大腸の内視鏡検査を同時に行うこともできるそうですね。
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A
最近の大腸内視鏡検査では、患者さんが鎮静剤で眠っている間に検査をすることで、苦痛の軽減がめざせます。その際、胃と大腸両方の内視鏡検査を一度に終わらせることも可能です。大腸内視鏡検査に胃の内視鏡検査をプラスしても増える時間は10分程度。ほとんど体に負担をかけず、眠っている間に2つの検査を終わらせることができます。「同時検査は大変ではないか」と思われる方もいらっしゃるとは思いますが、むしろ多くの方に「同時検査をしたことで自分の健康状態がわかってよかった」と思ってもらえるのではないかと考えています。これまでの経験から、一度内視鏡検査を受けて、ポリープの有無を確認することは大事なことだと思います。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1検査前の説明と準備
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検査の日時を決め、検査の内容や検査日までの前準備について説明を受ける。同院では、便秘の患者には時間をかけて便が出やすい状況にすることで、下剤による患者の負担軽減を図り、検査の1~2週間前から排便状況に合わせた薬を処方するといった工夫をしているそう。検査前日は検査食を食べ、夜は少量の下剤を服用。強い下剤を過剰に使うことなく、排便のコントロールを図った上で検査に向かう流れをつくるという。
- 2検査当日の準備
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検査当日、下剤は検査時間に合わせて自宅で服用。下剤服用後、クリニックまでの移動に伴って体を動かすため、腸が活発に動くようになり便が出やすくなるメリットがあるそう。クリニックに到着後、便の状況を確認。どうしても出しきれていなかった場合は、少量の浣腸で対応し、腸内がきれいになっている状態が確認できた時点で検査室へ。鎮静剤の注入など検査の準備に入る。
- 3検査の実施
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検査のみの場合、時間は10分から15分。胃と大腸の内視鏡検査を同時に行う場合でも検査にかかる時間は30分程度であり、一度で両方の検査ができるメリットは大きい。大腸を膨らませて観察しやすくするための送気には二酸化炭素を用いており、検査後の腹部の張りも少ない。ポリープが見つかった場合、外来で安全に処置できると判断すればその場で切除。大きなポリープや危険を伴うと判断したケースでは病院を紹介している。
- 4検査後のアフターケア
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検査後は、麻酔から目覚めるまで院内で30分から1時間休憩を取る。同院の場合、検査の際に電動式のストレッチャーを使用しているため、胃と大腸の内視鏡検査を同時に行う場合でも患者自身で方向転換する必要がない。検査後の休憩もストレッチャーに乗ったままリカバリールームまで移動できるので、体の負担はほとんどなくゆっくりと休むことができる。
- 5検査結果の説明
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休憩後、内視鏡の動画、画像を見ながら医師から説明を受ける。検査中、ポリープの切除を行ったり、生検を行った場合は、検査日から約2週間後に改めて来院する。結果の説明を受け、その後の治療方針などを確認。大腸内視鏡検査では、大腸がん、大腸ポリープ以外にも、若い年代を中心に多い潰瘍性大腸炎やクローン病などが見つかるケースもあるそう。