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山田 人志 院長の独自取材記事

横浜パーキンソン病クリニック

(横浜市港北区/大倉山駅)

最終更新日:2025/03/17

山田人志院長 横浜パーキンソン病クリニック main

大倉山駅から徒歩1分。2025年1月開業の「横浜パーキンソン病クリニック」は、パーキンソン病をはじめとする神経難病を主体に診療するクリニックだ。その他、頭痛や物忘れ、手足のしびれ・震えなど、脳神経内科疾患が疑われる症状の診断・治療を専門的に行う。山田人志院長は長年、横浜市立大学附属病院の脳神経内科で臨床と研究に取り組んできた経験豊富なドクター。開業にあたっては歩行障害のある患者でも通いやすいよう、駅近でエレベーター、エスカレーターを備えたバリアフリーの物件を選んだという。「神経難病であっても希望を持って治療を続けてもらえるよう、患者さんに寄り添う診療を心がけています」と語る山田院長に、同院の特色や診療方針、診療にかける思いなどを語ってもらった。

(取材日2025年2月5日)

パーキンソン病など神経難病を専門とするクリニック

まずはクリニックの特徴を教えてください。

山田人志院長 横浜パーキンソン病クリニック1

当院は、パーキンソン病を主体とする神経難病を専門的に治療するクリニックです。難病とは、「発病の原因が明確でないため治療方法が確立しておらず、長期の療養を必要とする疾患」と定義され、難病の中でも脳や脊髄、神経、筋肉の病気を「神経難病」といいます。神経難病にはパーキンソン病や大脳皮質基底核変性症、筋萎縮性側索硬化症(ALS)などさまざまな病気がありますが、特に患者数が多いのがパーキンソン病です。また、パーキンソン病に限らず、頭痛やしびれ・震え、物忘れ、筋力低下といった脳神経内科の病気の診断・治療も行っています。一般内科のみの診療はしていませんが、脳神経内科を専門とする医師として、神経難病でつらい思いをされている患者さんや、ご自身の症状に不安を感じている地域の皆さまのお力になれればと思っています。

開業までの経緯をお聞かせください。

大学卒業後、研修医の期間を経て横浜市立大学医学部神経内科学教室に入局し、臨床と研究に取り組みました。パーキンソン病は、脳の黒質にあるドパミンが不足することで、手足の震えやこわばり、運動低下などを引き起こす病気です。私は、神経幹細胞を用いてドパミン神経細胞をつくる研究にも注力しました。その後、より多くの患者さんを診療したいと考え、2002年に横浜市南区で横浜神経内科・内科クリニックを開業しました。2024年9月まで多くの神経難病患者さんを診療してきました。しかし、一般内科診療や発熱の外来診療も並行して行う中で神経難病の診療に十分な時間を割くことが難しくなり、より専門的な診療を提供するために2025年1月、当院を開設したのです。

「難病は治らない」というイメージがありますが、治療法はあるのでしょうか?

山田人志院長 横浜パーキンソン病クリニック2

確立された治療法がないことが難病の定義ですが、「現時点では病気を根本的に治すための治療がない」のであって、治療法がないわけではありません。特にパーキンソン病では非常に多くの薬が開発され、しっかりと薬を飲み続けることで症状の改善が期待できます。「完治しないなら治療しても仕方がない」と思うかもしれませんが、高血圧症や糖尿病などのように多くの病気は治療を続けながら上手に付き合っていくものです。私が医師になった当時と比べて医療は大きく進歩し、近い将来、より良い治療法が登場する可能性も十分に考えられます。ですから決して諦めず、今日よりも明日、明日よりも明後日、少しでも症状が良くなることをめざして、希望を持って治療を続けていただける診療をしていきたいと思っています。

希望を持って治療を続けてもらえるよう患者をサポート

パーキンソン病の患者さんは、どのような症状をきっかけに受診されますか?

山田人志院長 横浜パーキンソン病クリニック3

手足の震え・動作緩慢などで受診される方が多いですが、しびれが気になり受診される方もいます。しびれはパーキンソン病で見られることもありますが、末梢神経障害や整形外科的疾患で見られることのほうが多いため、適切な診断が重要です。整形外科や脳神経外科ではエックス線やCT・MRIといった画像検査で異常を確認することが多いのですが、脳神経内科の病気は脳内の神経細胞の異常によるものが多く、画像検査では異常が見られないこともあります。他の病気と鑑別するために画像検査を補助的に用いることもありますが、私たち脳神経内科の医師は問診を丁寧に行い、病歴や症状からアプローチしていくことを得意としています。

問診ではどのようなことを確認しますか?

まず「日常生活で何に不自由を感じていますか?」とお聞きします。受診される方は何か困り事があって来院されるので、その不自由さがパーキンソン病によるものなのかを確認することが大切です。風邪なら発熱や喉の痛みといった症状が見られますが、パーキンソン病では「歩くとふらつく」「手が震えて財布から小銭を出しにくい」など、日常生活の中で気づく症状が多いです。症状の現れ方は一人ひとり異なるため、問診では患者さんの生活スタイルに合わせて不便に感じている点を詳しく伺い、それがパーキンソン病の症状で説明できるかを考えます。そして診察で筋肉のこわばりなどが影響しているかを確認し、適切な治療につなげていきます。

診断後はどのような治療を行いますか?

山田人志院長 横浜パーキンソン病クリニック4

主に薬物療法とリハビリテーション療法を行います。薬物療法では不足しているドパミンを補うための薬を使い、運動症状の改善をめざします。劇的に改善することも見込めますが有用性には個人差があるため、患者さんの状態をしっかり診察しながら細かく調整していくことが大切です。その患者さんに合った治療を見つけられるよう、十分に時間を取って診察しています。また、リハビリも欠かせません。当院ではリハビリを実施していませんが、近隣にリハビリを積極的に行っている医療機関があり、そちらを紹介しています。マッサージだけでなく、歩行訓練や筋力トレーニングなど適度な負荷をかけた運動が必要です。薬とリハビリの両方を組み合わせることで症状の進行を遅らせるよう促し、生活の質の維持・向上をめざします。

病気があっても、やりたいことにチャレンジしてほしい

治療中、患者さんに気をつけてほしいことは?

山田人志院長 横浜パーキンソン病クリニック5

パーキンソン病の治療では複数の薬を服用することが多く、中には「一生飲み続けるのは嫌だ」「副作用が心配」と思う患者さんもいらっしゃるでしょう。そのお気持ちはよく理解できるのですが、必要な量を服用することで本来の身体機能を取り戻すことをめざし、生活の質向上を図ることができるのです。私は、薬の服用に抵抗感を持つ患者さんには「薬ではなく、サプリメントだと考えてみてください」とお伝えしています。不足したドパミンを補うための薬は、まさに「足りないものを補う」ことを目的とするものだからです。また、パーキンソン病の方はリハビリを続けるのが難しいことがあります。これはご本人のせいではなく、ドパミンの不足により「計画を立てて実行する力」が低下し、やる気が出にくくなるためです。ご家族には「リハビリを怠るのは病気のせい」と説明し、優しく励ましてくださいとアドバイスしています。

診療の際、心がけていることを教えてください。

患者さんのお話を丁寧に聞くことを心がけています。診療には直接関係のないお話でも遮らずに10分間は伺って、その後で私が知りたいことを質問するようにしています。患者さんの話ぶりや話の内容から認知機能の問題があるかどうかを判断できますし、患者さんも「しっかり話を聞いてくれた」「言いたいことが全部言えた」と感じて安心していただけるのではないかと考え、取り組んでいます。神経難病の患者さんの多くは「この先どうなっていくのか」と、大きな不安を抱えられています。しっかりお話をお聞きすることで患者さんの気持ちに寄り添い、常に安心して通院いただけるクリニックでありたいと思っています。

最後に、患者さんや読者に向けてメッセージをお願いします。

山田人志院長 横浜パーキンソン病クリニック6

「パーキンソン病だからやってはいけないことはありますか?」と疑問に思われる方もいると思いますが、特に制限はありません。病気だからと行動にブレーキをかけることなく、やりたいことに挑戦してほしいですね。ただし、パーキンソン病の患者さんは疲れやすいので、疲れた時は無理をせず、休息を取るようにしましょう。また、しびれ・震え、動作の遅滞、物忘れといった症状を「年のせい」と思われるかもしれませんが、病気が隠れていることもあります。気になる症状があれば自己判断せず、脳神経内科で相談していただきたいですね。地域の皆さんが健康で快適な生活が送れるよう、脳神経内科の立場からお役に立ちたいと願っています。

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