欠損歯に対する第4の選択肢
自分の歯を移植する「自家歯牙移植」
ライトハウスデンタルクリニック
(横浜市青葉区/青葉台駅)
最終更新日:2025/04/08


- 自由診療
歯を失った際、一般的な治療として挙げられるのが、義歯、ブリッジ、インプラント。しかし、第4の選択肢として、自分の歯を移植する「自家歯牙移植」という治療法があるという。「ライトハウスデンタルクリニック」の中村貴則院長は、「再生能力の高い移植歯の歯根膜をどれだけうまく感染させずに活用できるかが重要です」と、どの歯科医院でも受けられる治療ではないが、自分の歯で噛みたいと願う人には非常に有用な治療法だと話す。同院では、より正確性を高めるために、光学式口腔スキャナーや3Dプリンターなどの技術も活用。「他院で抜歯宣告を受けた人も歯を温存できる方法が残っているかもしれませんから、まずは諦めずに相談してほしい」とほほ笑む。豊富な臨床経験を持つ中村院長に、自家歯牙移植について解説してもらった。
(取材日2025年3月10日)
目次
あくまでも歯の移植は最終手段。「歯を抜くしかない」と言われても、諦めずにまずは相談を
- Q「自家歯牙移植」とは、どのような治療なのでしょうか?
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A
▲多くの歯科医院で研鑽を積んできた中村院長
ご自身の使用頻度の低い親知らずなどを抜歯し、虫歯や破折などにより使えなくなった歯の部位に移植することで、噛めるようにしていく治療です。進行した虫歯や歯周病による抜歯が必要になったケースが一般的ですが、交通事故やスポーツでのけがによる歯の損傷でも適応となることも。歯を失うと、義歯、ブリッジ、インプラントといった治療の選択肢がありますが、自家歯牙移植も非常に有用な選択肢だと考えます。そのため、当院では治療が可能な方を対象に「第4の選択肢」としてご提案しています。専門的な技術を要するこの治療法はどこの歯科医院でも受けられる治療ではありません。そのため歯科医院からのご紹介で当院へ来られる方も多いです。
- Q自家歯牙移植のメリット・デメリットについて教えてください。
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A
▲骨格把握のために、歯科用CTは欠かせない
最大のメリットは自分の歯を移植するので、拒絶反応がなく、違和感のない噛み心地が見込める点です。そのほかにも、ブリッジのように欠損歯の両隣にある健康な歯を削らなくて済む、移植後はほかの歯と同じようにどの歯科医院でも治療してもらえるなどがあります。歯の根っこの周りについている歯根膜は、体の中でも特に再生力が強い細胞であるといわれており、未成年も適応可能です。一方、デメリットは外科処置が必要である点。入れ歯やブリッジと違って手術を伴う治療のため、そのリスクは発生します。そしてご自身の歯ですので、義歯と違い虫歯や歯周病になる可能性があることや、診査でサイズが合わなければ移植できない点などです。
- Q自家歯牙移植は、誰でも受けられるのですか?
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A
▲口腔内スキャナーを用いて、口腔内を把握する。患者の負担軽減に
糖尿病をはじめ、骨粗しょう症や骨に転移するがんなどに対して用いられるBP製剤(ビスフォスフォネート系製剤)を服用されている方など、全身疾患のコントロールが難しい方には行うことができません。また、移植では細菌感染しないよう細心の注意を払う必要があります。そのため、歯周炎に罹患されている方は、歯周炎のコントロールをまず優先。状態の安定を図った上で移植に臨みます。それから先ほどお伝えした歯のサイズですね。顎の大きさと移植する歯のサイズがマッチングしなければ移植することは難しくなります。このように、歯の移植には条件がありますが、適応か否かは精密な診査をしっかり行った上で判断いたします。
- Q自家歯牙移植の治療の流れについて教えてください。
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A
▲完全個室の診療室にて、歯牙移植を実施する
まずは歯周検査、虫歯検査、エックス線診査、噛み合わせなどの診査を実施。歯科用CTで撮影し、3次元的に移植する歯が移植する部位に入るかどうかも確認します。移植可能となったら、移植する部位が細菌感染を起こさないよう口腔清掃の指導、歯周病治療、歯を抜きやすくするための処置など術前準備に着手。必要に応じて、先進機器を用いてレプリカや、外科処置のシミュレーションが行えるサージカルガイドを作製し、より手術の精度を高めるための策を講じます。その後、移植先の歯が残っていれば抜歯をし、移植に備えます。そして、移植する歯を抜歯し移植して暫間固定、移植歯の治療開始、暫間固定の除去という流れになります。
- Q移植後に注意すべき点はありますか?
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A
▲移植した歯を長持ちさせるために、定期検診やセルフケアの実施を
顎の骨を削った上に移植するため、移植した直後から噛むことはできません。しばらく移植した歯で噛まないように注意いただくことが大事です。2、3日たてば軽く歯ブラシを当ててもらっても大丈夫です。移植後2週間ほどたったくらいから移植した歯の神経の治療をしなければなりませんので通院が必要になりますが、早ければ1ヵ月ほどでギプスのように固定しているものを外すことが可能。2~3ヵ月後くらいから移植した歯で軽く噛んで食事をしていただく流れです。ほかの歯と同じように10年以上機能することが望めるものの、長持ちさせるためには定期受診やセルフケアが大切です。
自由診療費用の目安
自由診療とは歯牙移植/6万6000円~、矯正的挺出/6万6000円~
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。