大内 崇弘 院長の独自取材記事
くろかわ内科クリニック
(川崎市麻生区/黒川駅)
最終更新日:2025/01/30

「最寄り駅に信頼できる先生がいてくれたら」。黒川駅から徒歩1分の商業施設内に開業した「くろかわ内科クリニック」は、地域に住む人のそんな願いをかなえたいと考えるクリニックだ。大学病院などで研鑽を積んだ脳神経内科の医師であり、内科全般の診療も得意とする大内崇弘院長は、患者の「治療の先」に寄り添いたいと開業を決めた。「病院での治療後も、患者さんの暮らしは続いていきます。町のクリニックに移ることで、より良く生きるためのサポートがしたいと思ったのです」と語る横顔からは、一途で誠実な人柄が伝わってきた。それでいて、話しぶりにはユーモアがにじみ、向き合う相手の緊張を自然とほぐす魅力がある。「地域に住む多世代のために知見と経験を役立てたい」と話す大内院長に、診療の特徴などについて話を聞いた。
(取材日2025年1月15日)
病とともに生きる人を支えるために、開業を決意
大学病院や総合病院で長く診療していらしたと聞きました。

日本医科大学を卒業後に医師となり、大学病院やその関連病院、新百合ヶ丘病院などで研鑽を積んで今に至ります。これまでは救急もある大きな病院でしたから、診療対象となる疾患は脳卒中や神経難病、認知症など多岐にわたりました。脳神経の領域には、再発の危険と隣り合わせの病気や、進行を遅らせるための治療しかない病気など、病院でできる治療を終えてからも向き合い続けなければならない病気が多くあります。しかし、病院の基本的な役割は先進的な設備と高度な医療で急性期を診ることであり、多くの患者さんが抱えるであろう暮らしの中での不安や困難を支えることはできません。病院での仕事にもやりがいを感じていましたが、「あの患者さん、どうしているかな」と思うことが増え、より生活に寄り添った医療がしたいと思うようになりました。
それで、開業を決意されたのですね。
新百合ヶ丘総合病院にいましたから、付き添いがいない、交通手段がないといった理由で思うように病院へ通えない高齢の方がいらっしゃることも把握していました。高齢化率が非常に高い千葉県勝浦市の塩田病院で診療をしていた経験もあり、老々介護の当事者や一人暮らしの高齢者たちが医療を含めた必要なインフラと隔絶された状況にあること、そして介護するご家族が非常に疲弊していることも知っています。必要な人が必要な医療を、適切なタイミングで受けられるようにするには、訪問診療も欠かせません。特に、体が思うように動かなくなっていくパーキンソン病や、後遺症が残ることもある脳卒中の病後は、通院が困難なことも多いでしょう。来てもらうだけでなく、患者さんのご自宅を回って診療ができたらと考えたことも、開業のきっかけの一つです。
訪問診療は、いつ行っているのですか。

クリニックの昼休みを使って、近隣の患者さんのご自宅を回ります。開業に先立ってケアマネジャーさんとも面談しましたが、やはり潜在的なニーズは多いようです。在宅介護の場合、患者さん自身のつらさはもちろんですが、患者さんを見守り続けるご家族の肉体的・精神的な疲労も非常に大きいんです。介護する人も高齢なら、病院への付き添いも容易ではありません。できるだけ多くの患者さんとご家族の助けになれるよう、努力していきたいですね。それに、訪問診療で患者さんの普段の暮らしを知ることは、クリニックでの診療にも役立つんですよ。生活面を踏まえた適切なアドバイスをするためにも、訪問診療も並行して力を入れていくつもりです。
専門の脳神経領域から一般内科まで幅広く対応
駅からすぐで、通いやすいのも魅力ですね。

私の専門は脳神経内科ですが、日本内科学会総合内科専門医でもあり、脳の病気の一因でもある生活習慣病を含めた内科全般の診療も得意分野です。先述した塩田病院で、複合疾患を持つ高齢の方の総合的な診療にも多く携わりました。咳、鼻水、鼻詰まり、喉の痛みといった一般的な風邪の症状から、健康診査で指摘された肝機能や腎機能の異常、生活習慣病の治療まで、気軽にご相談いただきたいですね。平日は19時まで、土曜日も午前中は診療していますので、お仕事の帰りなどにも立ち寄りやすいと思います。開業からしばらくたちますが、午前中は買い物ついでに受診される主婦や高齢の方、夕方や土曜日は仕事で昼間に受診しにくい方が多い印象です。
受診する世代も幅広いのですね。
そうですね。持病がある高齢の方から、生活習慣病の継続的な治療を希望する働く世代の方、花粉症や気管支喘息といったアレルギー疾患をお持ちの比較的お若い方まで、本当に多世代がいらっしゃいます。「家族から聞きました」と、患者さんのご家族が受診してくれることも多いんですよ。ご紹介いただくのはとてもうれしいですね。商業施設共用の駐車場が使えますから、電車だけでなくお車でも受診しやすいと思います。
ご専門の脳神経内科領域で、早めに受診してほしい症状はありますか。

医療の進歩で亡くなる方は減りましたが、依然として脳卒中は多い病気です。頭痛、めまい、ふらつき、しびれ、麻痺などの症状があるときは、早めにご相談いただきたいですね。急を要する場合や、入院治療や高度な医療機器での検査・治療が必要な場合は、勤務していた新百合ヶ丘総合病院をはじめ、母校である日本医科大学多摩永山病院などを速やかにご紹介します。どちらの病院にも、これまでご指導ご鞭撻いただいた信頼できる先生方がおり、開業後も緊密に連携していますので、安心してお任せください。また、認知症も、アルツハイマー病による軽度認知障害や軽度の認知症に使用できる薬が開発されています。早期であれば認知機能の低下の進行を緩やかにすることが期待できますので、年のせいで片づけず、「最近物忘れが多いな」と感じた段階での受診をお勧めします。
患者の暮らしのそばでいつでも頼られる存在でありたい
先生は、なぜ脳神経内科を専門にしようと思われたのでしょう。

私はもともと文系で、高校の頃は「人とは何か」「人はなぜ生きるのか」といった根源的なことに興味がありました。ですから、初めのうちはぼんやりと哲学や心理学の領域に進もうと考えていたんです。そのうち、より現実的に「生きる」ことと向き合う医療に関わりたいと思うようになり、医師を志しました。脳神経内科を選んだのは、「考える」ことを司る脳への興味が大きかったからだと思います。診療を通じて、生きることと考えることは切り離せないと感じることも多いんですよ。例えば、認知症が疑われる人が病院へ行きたがらないのは、過去の記憶が薄れるとアイデンティティーが失われるという潜在的な恐怖があるからだといわれています。考える力がある人間だからこそ感じる怖さにごまかしは通じません。検査を勧めるご家族は悩ましいと思いますが、認知症の検査をしたほうが良いこと、早期なら治療できることを正直に伝えていただきたいですね。
心理や哲学への関心が深い先生ならではのメッセージですね。診療の際に心がけていることも教えてください。
生きていると、うまくいかないと思うことがたくさんあります。例えば育児や介護もそうですよね。子どもが小さいうちや、介護する家族がいると思うように仕事ができなかったり、自分の時間がなかったりして苦しい思いをすることがあると思います。ただ、たいていのことには終わりがあって、いずれ自由になる日がくるでしょう。しかし、治らない病気だけはそうはいきません。病気と人生をともにしなければならない人も、生きることに希望を持てるように、少しでも豊かな毎日を送れるように、丁寧に向き合っていきたいと思っています。
最後に、今後の展望をお聞かせください。

まずは、地域の皆さんに広く私たちのことを知っていただき、困った時に思い出してもらえる存在になることが目標です。多世代の幅広い症状に対応できること、専門性を生かした検査・治療で大きな病気の早期発見・早期治療につなげられることを強みに、地域に貢献できるクリニックになりたいですね。毎朝、受付のスタッフや看護師と知見を共有する時間を設け、「誰に聞いても安心できる答えが返ってくる」と感じてもらえるクリニックづくりにも力を入れています。些細なことでも構いません。皆さんの生活のそばにある身近なクリニックとして、頼りにしていただけたらうれしいです。なお、火曜診療は、本院院長の二森浩行先生が担当します。二森先生は消化器内科が専門ですので、内視鏡検査などをご希望の方は火曜日の受診をお勧めします。
自由診療費用の目安
自由診療とは健康診断/1万900円~