男性の更年期障害は何科を受診?
症状の軽減と生活の質の維持を
東京ハブクリニック
(千代田区/永田町駅)
最終更新日:2024/11/15
- 自由診療
かつては女性特有の症状と考えられていた更年期障害だが、近年では男性の更年期障害も注目されるようになった。「東京ハブクリニック」の鴨下一郎院長は、ストレスという言葉すら一般に浸透していなかった時代から、心療内科の存在を世に広めるための活動をしてきた一人である。28年間にわたる衆議院議員生活の後、再び医師として同院を開業した。以来、更年期を迎えてさまざまな不調に苦しむ男性の受け皿としての役割を担う。医学的なサポートによって症状の改善をめざす鴨下院長に、男性更年期障害の原因や症状、治療法などについて詳しく話を聞いた。
(取材日2024年10月23日)
目次
ホルモン補充療法や一人ひとりに合わせた生活習慣の改善で、男性更年期障害の症状に対処する
- Q男性更年期障害とは、どのような病気なのでしょうか?
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A
男性更年期障害はLOH症候群とも呼ばれ、一般的に40歳代から50歳代以降の男性に見られる、ホルモンバランスの変化による身体的・精神的な症状を伴う病気のことです。加齢に伴うテストステロンの低下が原因と考えられており、女性の更年期障害とよく似た形を取ります。テストステロンは、筋肉の成長や性欲、精神的な安定において重要な役割を担うホルモンで、これが減少することで、さまざまな身体的・心理的な問題が現れることがあるのです。なお、診断は、血液検査でテストステロンのレベルを測定することによって行われます。
- Q主な症状や受診の目安などを教えてください。
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A
男性更年期障害の症状は多岐にわたります。主な症状は、身体的症状、精神的・心理的症状、睡眠障害の3つに分けられます。身体的症状は疲労感や無気力、性欲の減退や勃起不全、体力や筋力の低下などで、精神的・心理的症状はいらいらや不安感・抑うつなどです。具体的には、「疲労感や無気力感が3ヵ月以上続く」「性欲の低下が気になる」「抑うつや不安が日常生活に影響を及ぼすレベルになった」「以前よりモチベーションが保てない」「明らかな体力の低下や体重の増加が見られる」「睡眠が十分に取れず眠気やだるさが残る」といった症状が複数見られる場合は、専門の医師に相談されることをお勧めします。
- Qこちらでは、どのように診療を行っていますか?
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A
治療法として一般的なのはホルモン補充療法(HRT)です。HRTはテストステロンレベルを適正範囲に戻すことを図り、症状の改善をめざすもので、皮膚に塗布するジェルによって行われます。さらに、運動や食事の改善やストレスの管理も重要になります。治療の流れとしては、チェックリストに答えてもらった後、診察をします。血液検査でテストステロンの濃度を調べるのはもちろん、別の疾患が原因の可能性もあるため、内科的な検査も行います。
- Q治療を受けないと、どうなるのでしょうか?
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A
治療を受けず症状が悪化すると、さまざまなリスクが生じます。骨密度が低下することによる骨粗しょう症や骨折、血圧の上昇や動脈硬化、心血管疾患、体重の増加や内臓脂肪の蓄積が進むことによるメタボリックシンドロームや糖尿病などが、その代表です。同時に、精神的な問題も深刻化します。身体的・精神的な症状が慢性化すると、日常生活や職場でのパフォーマンスに大きな影響を与え、生活の質(QOL)は大幅に低下するでしょう。日常生活や社会活動がうまくいかなくなると、引きこもりや社会的孤立につながることもあります。適切な治療を受けることは、そうしたリスクの低減が望めるとともに、エイジングケアにもつながります。
- Q男性更年期障害の診療で大切にしていることを教えてください。
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A
まずは早期発見と正確な診断です。男性更年期障害は、症状がゆっくり現れる傾向にあるため、患者さん自身が老化の一部として見逃してしまうことが多いんです。そこで、問診による症状の把握、ホルモン検査、精神状態の評価が重要になります。更年期障害と診断されたら、一人ひとりに合わせた治療方針を立てます。治療はHRTだけでなく、生活習慣の改善や精神的サポートを含めた複合的なアプローチが必要になるからです。さらには、継続的なアプローチとして、治療の成果を確認しつつ、副作用のチェックも定期的に行っています。患者さんと信頼関係を築くことも大切です。それによって患者さんは、積極的に治療に参加してくれるようになります。
自由診療費用の目安
自由診療とは初診(血液検査料込み)/3万5000円+お薬代(ホルモン補充療法/ジェル)1万2000円、2回目以降診察/1万5000円+お薬代(ホルモン補充療法/ジェル)1万2000円