林 正樹 院長の独自取材記事
北名古屋はやしこころのクリニック
(北名古屋市/上小田井駅)
最終更新日:2024/10/31
名古屋市西区の大型複合商業施設から700mほどの距離にある「北名古屋はやしこころのクリニック」は、9月に開業したばかり。広々とした駐車場を備え、院内もゆとりある空間となっており、白と明るい木目を基調とした落ち着きのある雰囲気。壁面には大きなテレビモニターが設置されている。林正樹院長は浜松医科大学卒業後、愛知医科大学病院、豊田厚生病院、松蔭病院などに勤務。幅広い世代のさまざまな精神疾患を診てきた経験を生かし、地域の精神医療に貢献したいと開業した。診療スペースは相談室と診察室が2つずつ。机を挟んで対面式となっている。「患者さんが感じている不安や苦しみを取り除き、以前の生活に戻れるようサポートしていきたい」と穏やかに語る林院長に、診療方針や院内設備などについて詳しく聞いた。
(取材日2024年10月4日)
駐車場も院内も、広々としたゆとりある空間を確保
9月に開業されたばかりということですが、とても敷地が広いですね。
気がついたら、もうひと月たっているという感じですね。もともと、こんなに広い土地を希望していたわけではないのですが、静かな住宅地でないほうが、患者さんも人目を気にせず来院しやすいのではということと、このエリアは精神科が少ないのでニーズに応えられると考え、ここで開業しました。大通り沿いで、25台分の広い駐車場を確保しているので車での通院も可能です。仕事帰りや休日でも通院できるよう、平日は19時まで、土曜も12時半まで診療しています。
外観や院内のレイアウトなどで工夫されたことはありますか?
建物が大きいので、外観は目立つことよりも周囲に自然になじむような感じにしたいと設計士さんにお願いしました。あとで、ああすればよかったと後悔しないように、かなり時間をかけて考えました。待合室はリラックスでき、患者さん同士の距離が近くならないよう、広くゆったりとしたスペースにしています。少しデザイン性のある内装やインテリアを取り入れ、壁面に大きなテレビモニターを設置し、くつろげる雰囲気も大切にしています。一方で診察室と相談室は、インテリアに凝るよりも病院らしい空間であることを大切にしています。男女別トイレは、車いすやベビーカーでも無理なく入れるよう、それぞれ広くスペースを取り、ベビーチェアとおむつ交換台を設置しました。
診療スペースについて詳しく教えていただけますか?
精神科では検査機器を使わないので、そのためのスペースは必要ありませんが、個室はきちんとしたものが複数欲しいと考え、相談室と診察室を2つずつ設けました。診療ではカウンセリングも行いますし、時間もかかります。話しにくい内容も多いですから、患者さんが落ち着けるようなゆとりあるスペースにしました。勤務医時代には、付き添いや支援者の人も同席することもあり、5、6人いらっしゃることもあったので、大人数にも対応できる十分な広さを取っています。また、患者さんも話しやすいようにと机を挟んだ対面式となっています。
不安や苦しみを取り除き、以前の生活に戻れるように
診療方針について教えてください。
これまで地域の大規模病院などに勤務し、さまざまな年代の患者さんと多くの症例を診てきたので、その経験を生かし、幅広く診療を行っていきたいと考えています。事前にスタッフがヒアリングを行いますが、診察室でも、まずお話をよく伺うということを大事にしており、時には患者さんの話し方がヒントになることもあります。精神科というと薬がたくさん出るのではないかと不安になる方もいらっしゃると思いますが、薬が必要と判断した場合は、お考え・ご意向をしっかり伺い、納得していただいた上で処方しています。また当院では漢方薬も取り入れており、保険適用で処方が可能です。患者さんの症状や体質に合わせて処方しますので、ご相談も気軽にしていただけたらと思います。
日々の診療で大切にされていることは何ですか?
精神症状の患者さんは、どこが病気かわかりにくいものです。それでも来院されるのは、日常生活に支障が出ているからです。ですので、患者さんが感じている不安や苦しみを取り除いて、以前の生活に戻れるようにという思いで診療にあたっています。また、診療の中でプライベートなことを聞く場面も出てくるのですが、いろいろお話をお伺いし、患者さんに対して専門家としてしっかりと寄り添えたらと思います。患者さんに信頼してもらい、そして良い関係を築けるように精一杯努めています。
患者層や主訴について教えてください。
仕事や学校に行きにくいという方が多いという印象です。リタイアされた方ですと、気分がすぐれないなどですね。開業してまだ日が浅いですが、勤務医時代と主訴はガラリと変わりましたね。大きな病院は敷居が高いからではないかと思っています。病院まで行くのはハードルが高いと感じているけれど、精神科・心療内科に相談してみたいと思っている方が地域に数多くいることを実感しています。そうした方々のニーズに応えていきたいですし、幅広い方に気軽に来ていただけるクリニックでありたいです。お子さんや、依存症に悩まれている方などは、より適切な医療機関にご紹介できるので、そうした方も入り口としてご相談いただければと考えています。
スタッフさんについても教えていただけますか?
スタッフは私以外に7人です。患者さんのプライバシーの保護がとても大切なので、そこは徹底しています。皆、患者さんのためになるよう自主的に考えて行動してくれています。まだ開業してひと月ですが、長いお付き合いになる患者さんも増えてくると思うので、スタッフ間のコミュニケーションもさらに密にしていきたいと思っています。
なんでも気軽に相談できる、精神疾患の地域の窓口に
ところで、先生が医師をめざしたのはなぜですか?
子どもの頃から医師になりたいと思っていましたね。医師は親戚に一人いるくらいでしたし、風邪をひいても病院に行かずに治ってしまう、そんな子どもでしたから、理由はうまく言えないのですが。なりたいという思いは続き、高校で進路を決めるときも迷った記憶はないですね。
精神科を選んだ理由を教えてください。
学生の頃は、内科の医師になろうかと漠然と考えていましたが、大学卒業後、いろんな診療科を回る中、精神科のことをいろいろ知るようになって、この道もいいなと思うようになりました。これもうまく言えないのですが、さまざまな患者さん、疾患の方がいて、とても幅広いんです。数字やデータで病気を判断できるものではなく、わかりにくいものではある、それだけにやりがいも大きそうだと思ったのかもしれません。
開業しようと思われたのはなぜですか?
大学病院、総合病院、精神科単科病院などに勤務し、幅広い年代、精神疾患の患者さんを診てきました。勤務医時代も裁量は大きかったですが、さまざまな経験を積むうちに、自分の力で開業し、診療を行ってみたいという思いを持つようになりました。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
当院では日本精神神経学会精神科専門医が診察を行っています。精神疾患は、お子さんからご高齢の方まで、多岐にわたり数多くあります。気になること、不安なこと、困ったことなどありましたら、気軽にご相談ください。何かおかしいと感じていても、その理由はどこからくるものなのかわからないというケースもあると思います。そうした方々の医療の入り口にもなれればと思っています。小さなこと、うまく言えないと思うようなことでも構いません。気軽にご来院ください。症状によっては、ご意向を伺いながら、近隣のより専門的な医療機関などをご紹介いたします。勤務医時代、訪問看護師や就労サポート機関などとの連携も行ってきましたので、そうしたことが必要な場合もスムーズに対応できます。精神科のクリニックとして、地域の皆さんの力になれるよう努めていきます。