松田 年 理事長、森下 友起恵 院長の独自取材記事
東京浅草キュアメディクス
(台東区/浅草駅)
最終更新日:2024/11/29
浅草駅A5番出口から徒歩約1分のビル5階に2024年9月開院したのが、「東京浅草キュアメディクス」。大きな窓から外の光が降り注ぐ明るい院内が印象的な同院は「旭川キュアメディクス」の分院として外科の日帰り手術を専門とするクリニックだ。鼠径ヘルニアや臍ヘルニア、痔核などに対し入院の必要なく手術を行い、患者が少しでも早く日常生活に戻れるようにすることをめざしている。そんな同院の理事長で「私たちがこれまで培ってきたものを患者さんに還元したいと考え開院しました」と話す松田年(まつだ・みのる)先生と「何か心配事があったら放っておかないで気軽に受診してほしいと思います」と話す森下友起恵院長に、同院のことについて詳しく話を聞いた。
(取材日2024年11月7日)
鼠径ヘルニアなどの日帰り手術を中心に診療
最初にクリニックを紹介していただけますか?
【松田理事長】当院は鼠径ヘルニアなどの病気があるものの仕事で忙しい方や子育て、介護などがあって入院ができない方に対し、安全で安心な日帰り手術を提供することをコンセプトに、今年の9月に開院しました。日帰り手術のノウハウは、本院である旭川キュアメディクスから受け継いでいます。また院長の森下友起恵先生は私の後輩で、消化器外科に加えて乳腺も専門にしており、当院でも乳がんなど乳腺に関する病気や痔などの肛門疾患の診療も行っています。女性の外科の医師は多くありませんから、これも当院の特徴の一つです。ほかに未病対策としてにんにく注射にも力を入れており、これらの3つの分野を柱に診療しています。
なぜ今回、東京に分院を開院しようと思ったのですか?
【松田理事長】私は以前、東京に長く勤務していました。その後は地元である旭川に戻ってクリニックを開院して、日帰り手術などを行ってきましたが、日帰り手術が必要だったり、希望したりする患者さんは、地方ではそれほど多くはないんです。それで、旭川の本院では内科などの診療も行っていますが、私は外科の医師ですので、やはり手術で患者さんに貢献したいという思いがありました。加えて外科の医師は、特に大きな病院では後輩が出てきたら管理職になって、そこを引退すると介護老人保健施設に行くなど、ある程度の年齢になると手術に携われなくなります。つまり、一生懸命トレーニングを積んで得てきたことが、患者さんに還元できなくなるんです。そんなこともあり、当院のような場所があれば、私に限らず経験を積んだ外科の医師が、それまで培ってきたものを患者さんに還元できるとも考え今回、分院を開院することにしたのです。
設備などでこだわったところはありますか?
【松田理事長】まずは、先進の腹腔鏡手術システムを導入しました。4Kのすごく鮮明な画像で、より精密な手術ができるようになっています。またCTも導入しています。普通のCTの撮影は横になって行いますが、当院の装置では立ったままで撮影ができます。鼠径ヘルニアは、立っているときには出ていても、横になると凹んでわからなくなることが多いんですね。ですから、立って鼠径ヘルニアが膨らんだ状態で撮影できるのは、より正確な診断をめざす際に役立ちます。ほかにスマートフォンから予約や、クレジットカードを紐づけすれば支払いまでできるシステムも導入するなど、患者さんの利便性の向上にも努めています。
初診の日に診断から手術日の決定までが可能
鼠径ヘルニアの日帰り手術について教えてください。
【松田理事長】鼠径ヘルニアの日帰り手術では、初診の日に診察や腹部超音波検査、CT撮影なども行って診断して、手術が適応の場合にはその説明もして、患者さんが希望すれば手術日も決定。その後に、手術に必要な採血や心電図、胸部エックス線撮影などの検査や、専門のコーディネーターによる手術のオリエンテーションまでを行うことが可能です。このように2回目の受診で日帰り手術を受けることができるシステムを整えています。手術後は院内のリカバリールームで2時間ほど休憩したら、歩いて帰宅することができます。その後は、翌日と1週間後、2週間後に経過観察をするだけと少ない通院回数で診療を完結することが望めます。さらに日帰り手術に不安がある患者さんもいますが、当院では日帰り手術に関する専門的な教育を受けた看護師が、患者さん一人ひとりに寄り添い、手術に関する質問や不安に丁寧にお答えしています。
先生は腹腔鏡手術のスペシャリストだと伺いました。
【松田理事長】私は東京都内の大学病院で胃や食道、大腸などの消化器のがんの手術を数多く行ってきました。中でも、内視鏡や腹腔鏡を用いた外科手術には、国内でも早い時期から取り組んできた一人で、指導する立場でもあります。そして、腹腔鏡手術は患者さんへの侵襲を少なくすることがめざせますので、日帰り手術ともすごくマッチしていると考えています。また腹腔鏡はおなかの中がよく見えるので、鼠径ヘルニアの場合には特に診断がつきやすいのもメリットです。いずれにせよ、いかに手術や麻酔をかけている時間を短くして、患者さんへの負担を減らせるかというのは、技術や経験の差が出てくるところだと思います。
院長が力を入れていることは何ですか?
【森下院長】女性の患者さんの診療です。私は医学部を卒業後、大学病院や基幹病院で消化器がんや乳がん、良性疾患の手術を多く経験してきました。当院でもその経験も生かしながら乳腺や肛門の疾患も診療しています。特に、若い女性はおなかや胸、足の付け根やお尻などを男性の医師に見られることに抵抗感があると思います。当院では私が外来診療をしていますので、女性の方でも受診しやすいと思います。それに、なんとなく左右の胸に差があって、左胸だけ違和感があるとか、痛いとかもあると思いますし、鼠径ヘルニアは男性に多い病気ですが、女性にも起こります。診てみたら皮下の腫瘤やリンパ節だったということもありますし、結果として病気ではなくても、状況を正しく把握できればそれはそれで良いことですので、何か心配事があったら放っておかないで気軽に受診してほしいですね。
患者の理解と納得を大切に
診療の際に心がけていることはありますか?
【松田理事長】患者さんに自分の病気や手術のことをしっかり理解してもらうことですね。ですから、患者さんに話すときには、医学用語をなるべく使わないようにして、ご高齢で耳が聞こえにくいような場合には、なるべく大きい声でゆっくり話すようにもしています。手術の場合には、ビデオや実際に使うメッシュなども見せながら説明します。そこまで行っているところって、そんなに多くはないと思うんですよね。鼠径ヘルニアの手術を受けるのは2回目だという患者さんでも、前回にメッシュを入れたかどうかわからないという人もいますから。当院で手術を受けた患者さんには、そういうことがないように心がけています。
院長はいかがですか?
【森下院長】理事長と同じですが、医学用語をなるべく使わないこと。そして、患者さんに同じことを聞かれても、自分の状態や症状、原因などを患者さんが理解してくれるまで、できるだけかみ砕いて丁寧に説明すること。最後には、ほかに何か聞きたいことはないですかと聞くなど患者さんに寄り添いながら、納得して、安心して帰ってもらうことを大切にしています。少し前に、乳腺の検診結果の相談に来ていた患者さんに、ほかに何か聞きたいことはありますかと伺ったところ、たまたま悪玉コレステロールが高かったんですね。それについて聞かれたのでお話をしたのですが、患者さんが疑問や不安に思っていることをできるだけ納得していただけるようにすることを大事にしています。もちろん、わからないこともたくさんありますけれど、自分ができる範囲で患者さんに寄り添っていきたいと考えています。
最後に今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。
【松田理事長】当院の診療を軌道に乗せた上で、ほかの場所にも当院と同じく日帰り手術が提供できるようなクリニックを展開していきたいと考えています。優秀な医師やスタッフは結構そろっていますし、鼠径ヘルニアなどの日帰り手術は、特に都会の忙しい人たちにはニーズがあると思いますので、それに少しでも応えていきたいですね。そして、鼠径ヘルニアは、そのままにしておいても治りませんので、足の付け根に膨らみがあったら、まずは受診していただきたいですね。また未病対策としてにんにく注射にも力を入れていますので、最近疲労を感じているという方なども気軽に相談にお越しください。
自由診療費用の目安
自由診療とはにんにく注射/1100円~