杉本 正 院長の独自取材記事
瓜生堂脳神経外科 頭痛・もの忘れクリニック
(東大阪市/八戸ノ里駅)
最終更新日:2025/03/19

幹線道路から一本入った場所にある、医療モールの1階に「瓜生堂脳神経外科 頭痛・もの忘れクリニック」がある。杉本正院長は脳神経外科の医師として研鑽を積み、さまざまな脳疾患の手術を重ねてきた。約10年前に勤務した市立東大阪医療センターの近隣に、脳神経外科医院を開業。クリニックでは珍しいMRIも導入した。「専門性を生かして、頭の諸症状に悩む地域の患者をケアしたい」と意気込む杉本院長に、そもそも脳神経外科をどんなときに受診すれば良いのか、またクリニックの特徴や強みについて詳しく語ってもらった。
(取材日2024年9月27日)
脳神経外科医師としての経験を地域に還元
東大阪市で開業された経緯を教えてください。

出身は奈良なのですが、約10年前に市立東大阪医療センターの脳神経外科で勤務し、この東大阪の地域医療に貢献したいという思いで開業しました。東大阪は、全国的にも元気な町工場の物作りのイメージが強いですよね。実際に地域の方々は人情味があって明るく、楽しい人が多いです。そんな元気な方であっても、脳の疾患はいつどこから忍び寄ってくるかわかりません。地域の方が生き生きと暮らし続けられるよう、脳の健康を守りたいと思っています。詳細で正確な診断のために、クリニックには先端のAIを搭載したMRIも導入しました。近隣でMRIを設置しているクリニックは少ないと思います。大きな病院に行かなくても、気軽に診断できるので、ぜひ活用いただきたいですね。
脳神経外科はあまりなじみがない人も多いと思いますが、どんなときに受診すれば良いですか?
一番身近な症状は、頭痛でしょう。誰もが経験する頭痛に、重大な病気が隠れている場合もあります。深刻な病気はなかったとしても、日々の生活を快適に過ごすためにも、一度診療を受けることをお勧めしたいです。また、よくあるのは頭部の打撲です。転んだり、何かにぶつかったり。頭を強く打つと、命に関わるケースもあります。安心のためにもぜひ検査を受けに来てほしいです。そのほかには、物忘れなどの認知症が疑われる場合や、手足のしびれやまひ、歩行障害、ろれつが回らないなどの神経症状がある場合には脳出血や脳梗塞の可能性がありますので、まずは脳神経外科を受診し、専門的な診断を受けてほしいですね。
先生は、脳神経外科医としてどのような経験を積まれてきたのですか?

もともと私は先天性の心臓の病気があって、幼い頃に手術や入院を経験しました。その頃から、医師に憧れていたのかもしれません。なぜか自然に医療の道へ進みました。さまざまなことを学ぶ中で、興味を持ったのが「脳」でした。普通に生活していて脳って見られないじゃないですか。だから見てみたい、触ってみたいな、と(笑)。脳は未知の部分が多く、いまだにわからないことに満ちていることにも惹かれました。実際に手術をやってみるとその繊細さや解剖の複雑さに直面しますし、シナリオどおりには行かない手術の難しさも感じましたね。ミスを避けるために事前に十分に準備しても、患者さんによって血管の走行や腫瘍の形や場所、大きさが違うので、いくつもの可能性と代替案を用意して臨んでいました。週に何回もオペを行う日々はハードでしたが、なんとか手術を成功させて患者さんに元気になってほしいという、その一心でしたね。
頭痛、頭を打った、認知症が気になるときにも受診を
頭痛の診療について教えてください。

頭痛の種類や原因を突き止めるために、まずはMRIの画像診断が必須です。脳に重大な器質的異常がないかを確認します。その上で問題がなければ、頭痛の性状や部位・持続時間・その他の症状などについて丁寧にお話をお聞きして頭痛の診断をした後、患者さんに合った適切なお薬を処方します。近年では頭痛の薬も進歩していて、片頭痛の場合には注射薬によって頭痛発作を抑えることもめざせます。毎日市販薬を飲んで症状をごまかしている方も、一度ご相談いただきたいですね。片頭痛を訴える方はかなり多いのですが、鎮痛剤を飲んでいるだけでは良くなりません。まずは専門家の診察を受けて、症状に合った薬を見つけてほしいです。
頭を打ったときにも受診したほうが良いですか?
小さな子どもや高齢の方は転びやすく、その時に頭を打ってしまうこともよくありますよね。頭を打った時点では何の症状もなくても、その後時間が経過してから、命に関わる事態になったり、後遺症が残ってしまったりすることもあり得ます。まずは頭を打った後の状態を気にかけて、嘔吐したり、頭痛を感じたり、ぼんやりとしたり、いつもと違うような状況が見られたら迷わず脳神経外科などを受診しましょう。高い場所から落ちたりしなくても、何かの拍子に頭を打ってしまう事故というのは意外と多いんですよね。だから、まずは受診の目安を知ってほしいですし、安心のためにすぐに検査を受けに来ても構いません。脳に異常がないとわかれば、まずは安心できますよね。また、特に高齢の方は打撲後数ヵ月して脳に出血してくる病気もありますので注意が必要です。
認知症の診断や治療などもできるんですね。

近年の高齢化で、認知症の診療需要も高いと感じます。ただの物忘れなのか、初期の認知症なのかは、一般の方では見定めるのが難しいですよね。一方である種の認知症は初期段階で治療を行えば、進行を遅らせることが期待できます。だから、何だか忘れっぽくなっていると感じたら、ご本人はもちろん、家族も受診を勧めていただけると良いと思います。現在の医療では完治は難しい認知症ですが、進行を緩やかにするために早期治療を行えば、生活上の恩恵は大きいです。さまざまな周辺症状についても、医療によってサポートできることがあります。認知症かもしれない場合も、認知症で困っているときも、頼りの一つとしてもらえればうれしいです。
さまざまな症状・立場の患者の目線で診療
医師としてのモットーを教えてください。

For the patient.ですね。患者さんへの気持ちを常に忘れずに、対等な目線で向き合えるように心がけています。脳のことなんてなじみがなくて当然ですから、できるだけわかりやすくご説明するのはもちろん、話しやすいような雰囲気になるようにと思っています。神経症状などがあって、歩くのが難しい患者さんもいらっしゃるので、院内は完全バリアフリーにしました。車いすで入れるように、通路などの幅も広く取ってあり、トイレも車いすのまま入れるようにしました。不安を持って受診される方、体をうまく動かせない中で通院される方、子どもからご高齢の方まで、さまざまな患者さんの立場に立って、診療を続けていきたいと思います。
お忙しい毎日の中で、気分転換にされていることはありますか?
ランニングです。といっても何か競技大会をめざすというよりは、ダイエットや健康維持が目的です。1週間で20kmを目標に、空いた時間に近所の公園を走っています。おいしいものを食べたいので、そのために体を動かしている感じです。あとは、野球も好きですね。昔は私もプレーしていたのですが、最近は子どもと一緒に少年野球をしていて、親子の良い交流の時間にもなっています。なかなか忙しいですが、健康に気をつけて、家族の時間も取れているので、楽しいですよ。
最後に読者にメッセージをお願いします。

脳は全身に命令を送っているので、重要な臓器だということは皆知っています。でも、脳にはどんな疾患があって、どんな症状が起こるのかは、あまり知らないのではないでしょうか。脳腫瘍、脳出血、脳梗塞、くも膜下出血など、手術や治療が必要な病気は数多くあり、一刻を争う場合もあります。当院では先端のAIを搭載したMRIなどで、細かな異常もしっかりと診察し、必要があれば迅速に高次の病院へ紹介も行います。画像があることで自信を持って診断し、その後の治療方針も立ちますし、患者さんも画像を見ることで、より納得して治療を進めることができるのではないかと思います。「ちょっと心配」というレベルで構いません。安心を得るためにも、ぜひ当院の検査・診療を活用してほしいですね。