クリニックの枠にとらわれない
地域を巻き込んだ子育て支援
たけうちファミリークリニック
(相楽郡精華町/狛田駅)
最終更新日:2025/03/27


- 保険診療
子どもから大人まで家族で通えるクリニックをめざす「たけうちファミリークリニック」。竹内雄毅院長は、医療の枠を超えた取り組みを通し、地域の人が集まる場所としてのクリニックのかたちを模索してきた。子育てに奮闘する人をサポートするため、2025年3月に運営スタートしたのが病児・病後児保育室。ただ病気で登園できない子どもを預かるだけでなく、どうすれば楽しく過ごせるか、また保護者の気持ちにまでも配慮している。クリニックで開催されている多彩なイベントも、通いやすい場所・楽しい場所と子どもに認知してもらうための工夫の一つ。同じ悩みを抱える保護者同士がつながる機会としても一役買っている。医療だけにとどまらない、さまざまな取り組みを行う意図や子育て中の家族に寄り添った活動の内容について、詳しく聞いた。
(取材日2025年3月4日)
目次
めざすのは「何もなくても来ていい」クリニック。子育て以外の悩みにも対応する幅広いサポートを実践
- Q子育てサポートの一環で、病児・病後児保育室を開設されたとか。
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A
▲より患者が身近に感じられるよう、さまざまなことに取り組む同院
はい。私自身、妻とともに2歳と4歳の育児真っ最中で、仕事も家事も子育てもとなると自分たちだけでは大変だと日々痛感しています。だからこそ、治療だけでなく家族のためになるような事業をしたいと考えたうちの一つが病児・病後児保育です。ここから徒歩1分以内の場所にあるクリニックの第2駐車場内に開設しました。病児・病後児保育といっても意外に元気な子も多いので、楽しく過ごせる工夫を施設内にたくさん盛り込んでいるんですよ。子どもが楽しく過ごせれば「人に預けて仕事に行った」という後ろめたさを感じる必要もなくなるのではないでしょうか。
- Q親子で参加できるイベントもたくさん開催されていますね。
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A
▲子育て中の親同士が交流できるさまざまなイベントを実施している
医療機関にかかるときの子どもは、何となく緊張してしまうものです。その上冷たい対応だと、二度と行きたくなくなってしまいますよね。少しでも苦痛のない状態で来てほしいという思いで、院内でのイベントに注力しています。現在は、地域で活動されている方を講師や主催者として招き、ベビーマッサージや“1日図書館”、クラフト教室などのイベントを週に2・3回のペースで実施しています。子どもだけではなく、ママ同士が仲良くなったり、悩みなどを共有できる場となることも理想です。イベントを通じて当院を知っていただき、そこで院内の雰囲気を見て通っていただくようになった方も多いんですよ。
- Qそのうちの一つである離乳食教室について教えてください。
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A
▲管理栄養士が講師を務める離乳食教室も実施している
「はじめての離乳食教室」は、管理栄養士である私の妻が月に1回実施しています。どう始めればよいのか、食感や食材はどうすればよいのかと不安だらけの方に、基本の考え方と最低限気をつけなければいけないことは伝えながら、でも「市販品を使うこともあってもいい」「楽できるところはしていい」とお話ししています。つい最近までわが家も離乳食を作っていたので、その経験も踏まえてレクチャーと同時に悩みや相談を解決する場です。2~5人ほどと少人数で行っているので、かしこまった教室というよりは、ママ友の会話の延長線のようなラフな雰囲気でやっていますね。
- Qクリニックをどんな場所にしたいとお考えですか?
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A
▲地域の患者に医療を身近に感じてもらうための工夫をこらす院長
病気をしっかりと見極めて薬を出したり、予防について情報発信をしたりするなどの活動を通してもっと医療を身近に感じてもらう。そこに加えて、家族で楽しめるようなイベントを定期的に行うことで、ちょっと買い物に行くのと同じ感覚で気軽に来られる場所にできればと考えています。また、体調が悪いときに食事の準備までするのは大変なので、受診後に利用できれば便利かなと思い、週に2回キッチンカーにも来てもらっています。ゆくゆくは地域のパン屋さんや農家さんのためのスペースをつくって、受診以外にも「ついでに」の選択肢が増やせたら面白いですよね。
- Qクリニックの枠を超えたサポートをされているのですね。
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A
▲木のおもちゃや絵本など遊び道具にもこだわったキッズスペース
医師としての任務も大切にしながら、せっかくやるなら自分自身も楽しめることを、と日々考えています。妻は育児や開業準備に加え、教育についても熱心に勉強をしてきてくれました。その知識を生かしながらリアルな悩みを共有するような、子育てについて夫婦で語るライブ配信を定期的に行っていく予定です。また、この場所に集まってもらうことが現在の活動のメインですが、社交的な場に参加するのは苦手だという方にも手を差し伸べられる方法を模索中です。相談できずに困っている方にも届けられるよう、オンラインかつ1対1でお話ができる時間をつくれればと思っています。