志藤 宏計 院長の独自取材記事
KIMI CLINIC形成・美容外科
(東大阪市/河内小阪駅)
最終更新日:2024/12/03
近鉄奈良線河内小阪駅北口から徒歩2分のビルに、2024年6月に開業した「KIMI CLINIC形成・美容外科」。院内は広々としており、順番を伝える大きいモニターを備えた待合室もゆったりとした造りで、ふっと緊張感が和らぐような空間だ。観葉植物とプルメリアのかわいらしい花が飾られ、「きれいですね」と志藤宏計院長に伝えると、「好きな花で、自分でも育てているんですよ」と、照れくさそうにほほ笑んだ。穏やかで控えめな印象の志藤院長だが、大学病院や総合病院の形成外科で、骨切りをはじめとする形成外科手術を手がけ、海外への留学経験もある。これまでに培った専門性を生かし、一般になじみの薄い形成外科を知ってもらい、幅広く困り事に対応することで地域医療に貢献したいと、熱い思いを語ってくれた。
(取材日2024年8月23日)
皮膚の腫瘍や眼瞼下垂、外傷など幅広い診療に対応
開業の経緯をお聞かせください。
勤務医として診療をする中で、自分のイメージする理想の医療を実現したくなり、開業を決意しました。この場所を選んだのは、大阪市立総合医療センター形成外科での勤務を通じて、東大阪市は大阪市に次ぐ人口の多さなのに、このエリアは本格的な形成外科のクリニックが少なく、あまり形成外科自体が認知されていないように思えたので、潜在的に形成外科の医療を必要とする人たちのお役に立てるのではと考えたからです。中心地から少し離れていますが、交通アクセスは良く、大阪府だけでなく奈良県方面からも来やすい立地で、人混みを避けることができるのもポイントでしたね。
どのようなお悩みで来院する方が多いですか?
まだ開業から日が浅いのですが、20代から70代まで、幅広い年齢層の患者さんが来られます。当院では美容外科の領域の診療も提供していますが、形成外科の領域の治療には、年配の方が多いですね。例えば、皮膚の下にできる袋状のできもので、アテロームなどとも呼ばれる粉瘤や、皮下脂肪の中にできるしこりとして気づかれることの多い脂肪腫などです。加齢でまぶたを持ち上げる筋肉が薄くなり機能が低下して目が開きにくくなる眼瞼下垂にも対応しています。まぶたを開くことが困難で視野障害を伴うような場合は保険適用での治療が可能なので、その相談を受けることもあります。その他、ニキビや顔の打撲から、逆さまつげ、皮膚がんで最も発生数の多い基底細胞がん、立ち耳や折れ耳といった先天異常の治療まで、幅広い診療を提供しています。
開業にあたり、設備面でこだわった点はありますか?
まずは、広々とした、クラス10000という妥協のない清潔環境の手術室です。手術中の細菌やウイルス感染のリスクを極力抑え、安心・安全な医療を提供したいと考えました。また、できものなど見た目に関わることでお悩みの方が受診されますし、手術によっては術後に顔が腫れたりもしますので、メンタル面にも配慮しました。他の患者さんに顔を見られたくない場合もあるかと思いますので、待合室を通らずに済む、プライバシーに配慮した専用通路も用意しました。逆に、受付を鏡張りにしたのは、治療後の姿を見て、ポジティブな気持ちになっていただきたいという思いがあります。
骨切りやルーペ・顕微鏡を用いた手術などを経験
医師としての歩みをお聞かせください。
新潟大学医学部を卒業後は、慶應義塾大学医学部形成外科学教室に入局し、慶應義塾大学病院や関連病院の形成外科で臨床経験を重ねました。形成外科を専門に選んだ当初は、成人を対象にした医療というイメージでしたが、東京都立小児総合医療センターで子どもの診療に携わり、その時の上司に大きな影響を受けました。骨切りなどの医療技術は学ぶことが多く、武士道のようなストイックな姿勢で、常に患者さんの利益になることを考えているところなど、とても尊敬しています。その上司に勧められてイギリスに留学し、現地の小児病院やオックスフォード大学の頭蓋顔面の専門部門で学びました。その後、大阪市立総合医療センターの形成外科や美容外科クリニックを経て、開業に至りました。
どのような治療に力を入れられてきたのか、お聞かせください。
骨切りといって、文字どおり骨を切る手術に注力しました。これは、顔面骨骨折の治療など、幅広い症例に用いられる方法です。例えば、小児の診療では、頭蓋縫合早期癒合症の手術を多く行いました。新生児の頭蓋骨は何枚かのパーツに分かれていて、そのつなぎ目を縫合線といい、脳が成長するに従って縫合部分が広がって頭蓋骨も成長し、脳の成長が終わると縫合線がつながって丈夫な頭蓋骨になります。ところが、縫合線が早い段階でふさがってしまうと、脳が成長しても頭蓋骨が拡大せず、脳が圧迫されたり頭蓋骨が変形したりするのが、頭蓋縫合早期癒合症です。正常に発達できるためには頭蓋を拡大する必要があり、頭蓋骨を切断して正常な形に組み替えるための手術を行います。
形成外科の医師として、他にはどのような症例に携わってきましたか?
乳がん患者さんの乳房再建は多く手がけました。それから、マイクロサージャリーによるリンパ浮腫の治療も行いました。マイクロサージャリーとは、非常に微細な組織に対してルーペや顕微鏡を使用して行う手術のことです。体液を心臓に戻すリンパ管の機能が低下すると、腕や足などに体液がたまってリンパ浮腫というむくみが発生することがあります。マッサージや包帯による圧迫でリンパの流れが改善しない場合に、リンパ管を静脈につないでリンパ液が流れるように手術を行います。非常に微細な管をつなぐため、顕微鏡下で行う必要があるのです。
患者に丁寧に接する・地域医療に貢献することを目標に
診療の際に心がけていることを教えてください。
一人ひとりの患者さんに、できる限り丁寧に接することを心がけています。どのようなお悩みで来たのか、じっくりお話を聞いて、それに対してどうするのが良いのか、なぜその治療が必要なのか、患者さん本人が納得いくようにお話しします。状態や治療内容の説明は、絵を描いてわかりやすくする工夫もしています。治療や手術後のアフターフォローでも、患者さんが何を心配しているのか、どの段階で何を不安に思っているのかを聞き取ります。不安に寄り添いながら、相手がどのステージにいるのかを意識しつつ、適切な説明や治療へ導けるようにしています。カウンセリングの時間は長めに設定していますが、それは患者さんのためであるばかりでなく、僕自身もしっかり話をすることで安心する部分もあるからです。
スタッフの皆さんの対応も丁寧ですね。
丁寧に患者さんと接してくれるスタッフに恵まれたのは、とてもありがたいことです。開業して日の浅いクリニックですが、自分の頭で考えて行動してくれるのも、とても頼もしく感じています。僕自身、方針が定まらない部分もあって、「こう変えていきたい」「こうしたほうがいいのではないか」と、その都度、スタッフに改善点や変更点を伝えるのですが、気持ち良く対応してくれて本当に感謝しています。力を合わせて、より良いクリニックにしていきたいですね。
最後に、今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。
地域医療が大切だと考えているので、当院が東大阪市や大阪市で認知されて、地域の人たちから「形成外科はあそこに行けばいいよね」と、信頼していただけるクリニックにしたいと考えています。何かあれば、気軽に相談してください。また、例えば眼瞼下垂などテーマを決めて講演を行うといったように、啓発活動を通じて形成外科の診療を知っていただき、受診に対するハードルを下げたいとも考えています。将来的には、自分自身が培ってきた技術を生かした診療に加え、さまざまな分野で専門的な技術を持つ信頼できる医師を迎えて、さらに幅広い診療を提供していけたらいいなと思い描いています。そして、より良い医療を提供するために、僕自身も一層の研鑽を積んでいきたいです。
自由診療費用の目安
自由診療とはピコレーザーによるしみのケア/1万6500円