患者の生活の質を守る
病診連携による人工透析治療
中央林間じんクリニック
(大和市/中央林間駅)
最終更新日:2025/08/25


- 保険診療
地域の急性期医療を担う中央林間病院の分院として、通院に特化した人工透析治療を専門に手がける「中央林間じんクリニック」。全国に数多くいるといわれる慢性透析患者は、加速する高齢化とも相まって着実に増加しており、その傾向は中央林間という地域においても例外ではない。日常生活を制約されるという従来のイメージから、どうしてもネガティブに捉えられがちな透析治療を、「より良く生きるために利用するもの」と話す樋口智章副院長に透析医療の現状について聞いた。
(取材日2013年3月5日/情報更新日2025年8月5日)
目次
中央林間病院のバックアップ体制が特徴的な通院透析治療
- Q近年の透析医療はどのような傾向にありますか?
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A
▲ネガティブに捉えがちな透析治療の印象を変えたいと樋口先生
ご高齢の方、または糖尿病に端を発する透析患者さんが多くなっていることが傾向として挙げられます。当院に通院される80、90代の患者さんの多くは、足腰が弱ってしまい、本来ならば入院透析を強いられてもおかしくない方もいます。ただ、入院透析では患者さんの生活の質が維持できませんから、当院では通院透析を継続できるよう、車いすのまま移動できるリフトカーなどを用意して無料で送迎を行っています。一方、糖尿病が原因の慢性腎不全は「糖尿病性腎症」といって、糖尿病をコントロールできず腎機能が低下してしまい、透析治療を導入せざるを得なくなるケースです。かつて透析治療といえば腎炎や腎硬化症などが主な原因でした。
- Q本院にあたる中央林間病院と連携している特徴は何ですか?
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A
▲中央林間病院との連携で、段階的かつ長期的に患者をサポート
当院は通院による透析治療に特化していますが、合併症については本院へ紹介し、糖尿病の場合は専門の内科医に、脳梗塞や心筋梗塞が起きるリスクがあると判断した場合は、脳や循環器を専門とする医師に診てもらうようにしています。腎機能が弱っている患者さんの場合も、本院の外来で食事指導や運動療法、薬による治療などを受けてもらえるようにしていますが、残念ながらそれでも腎機能が低下してしまった際には当院での通院透析へ還移します。通院透析を続ける中で、万一入院が必要になった場合は、本院での入院治療を紹介できます。病院との密な連携により、段階的かつ長期的に患者さんをサポートできる体制を整えていることが最大の特徴です。
- Qシャントトラブルにはどのように対処されていますか?
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A
▲歩行が困難な人でも通院できるよう送迎車を完備
血液を出し入れする出入り口になるシャントの管理については、穿刺(せんし)時の診察・聴取、患者さんへの聴取指導などを定期的に行い、状態の観察と維持に努めています。閉塞や狭窄などが起きた場合には当院でシャントPTAという治療を行い、詰まってきたシャントを広げますが、シャント再建手術は連携している専門病院で受けていただくことになります。ちなみに透析治療には穿刺や止血のトラブルがよくありますが、当院の臨床工学技士は高い技術を持っていますので、ご安心いただけたらと思います。
- Q他に力を入れている取り組みはありますか?
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A
▲健康管理に十分配慮した食事をもとに、日々のQOLを支える
感染症対策では、患者さん自身が免疫力を高めることが必要です。良い栄養状態を保ちコンスタントに運動を続けられるよう、栄養士による栄養指導や理学療法士による運動指導を充実させています。食事についてはご家族も交え質問にも答えながら説明します。また、心臓の悪い患者さんには心不全の管理計画を立て心臓のチェックをしており、合併症の一つである心不全で緊急入院するようなケースを防ぐよう心がけています。また、患者さんには、「透析治療をするために生きているのではなく、好きなことを続けるために利用するのだ」という意識を持ってもらえるよう根気強く説明を続け、クリニックとしてできる100%のサポートを大切にしています。