小幡 淳 院長の独自取材記事
武蔵境おばた腎泌尿器科クリニック
(武蔵野市/東小金井駅)
最終更新日:2024/07/31

JR中央線・西武多摩川線の武蔵境駅北口から徒歩2分と好アクセスの「武蔵境おばた腎泌尿器科クリニック」。2024年6月に開院した同クリニックでは、排尿に関する悩みや前立腺疾患などを抱えた患者一人ひとりに院長の小幡淳先生が寄り添い、改善に導いてくれる。クリニック内は車いすやベビーカーもスムーズに入れて移動しやすいようバリアフリーだ。木目を基調とした待合室には、カフェのように壁に向かう席もあり、温かい空間でありながらプライバシーにも配慮されている。男女問わず幅広い年齢層の人たちが訪れるこのクリニックは、どのような診療をしているのか。大学病院や総合病院で豊富な経験を積み、「患者さんには笑顔になって帰っていただきたい」と語る小幡先生に話を聞いた。
(取材日2024年7月4日)
内服治療や、がんの早期発見に重点を置くために
大学病院や総合病院では、どのような経験を積まれましたか?

初期研修後に入局した慶應義塾大学病院では、病棟のチーフとして稀少な病態の方や高度な技術を要する手術を経験しました。また、研究面では「泌尿器科がんと炎症性マーカーの関連」をテーマに海外での発表や英語論文の執筆を行い、学位も取得しています。大学以外の市中病院では、さまざまな症状で来られる患者さんに対し、診断から腹腔鏡手術、抗がん剤治療などの入院加療、そして外来のフォローと臨床面での経験を積みました。開業直前まで勤めていた公立福生病院では泌尿器科の医長を担い、病院における一般的なマネジメントも手がけることができました。
開業に至るまでの経緯について、お聞かせください。

大学病院や総合病院の泌尿器科では、前立腺がんをはじめ、膀胱がんや腎臓がん、精巣腫瘍など“がん”の治療を行うことが多いのですが、発見時にかなり進行してしまっているケースを数多く目にしてきました。その度に「早く検査を受けていれば……」「症状が出た時にすぐに受診していたら……」と思いながらも、勤務医時代は緊急入院や入院患者対応、そして手術なども並行して行わなければならず、外来診察に十分な時間を割けないことに葛藤があったのです。患者さんの声にしっかりと耳を傾けて、問診をもとに行う内服治療や早期発見に重点を置く医師も必要ではないか。そんな思いを抱くようになった頃、クリニックを開業していた大学の先輩から話を聞く機会があり、まさにその役割を体現していたことに刺激を受け、自分も始めてみようと開業を決意しました。
安心して受診できるよう、院内はプライバシーに配慮
診療の際、心がけていることを教えてください。

がんや感染症の診療なども含め、専門的な観点から診断、処置、治療を実践していくということは、これまでと変わらず続けていきたいです。そのために、検査機器も充実させました。その上で、それを患者さんに説明するときにはなるべく専門用語を使わず、図を用いながらわかりやすくお伝えするよう心がけています。また不安を抱えて来られる方にもできるだけリラックスしてもらえるように、院内は温かい雰囲気にしました。ただ、診療科の特性上プライバシーへの配慮が特に必要になる場面もあるので、その点も留意しているところです。診察時の声に配慮するため、診察室は待合室からかなり離していますし、待合室でも壁際のカウンター席を設けるなど患者さん同士の目線にも配慮しています。
どのような場合に、こちらを受診すれば良いのでしょうか。
膀胱炎や突然の血尿など急性の症状はもちろん、慢性的な頻尿や尿漏れなどでお困りの方も、ぜひ一度ご相談ください。特に夜間の頻尿は、睡眠を妨げ生活の質を低下させ、時として仕事にも支障を来し、尿漏れは日々の活動性や気分にも影響します。「年のせい」と諦めるのは非常にもったいないです。特に男性は前立腺肥大症が背景にあることが多く、その治療のみで症状の改善が見込める場合も多いです。また、急な腰の痛みで発症する尿路結石の症状が疑われる際も、当院では精査と並行して疼痛緩和のための点滴も行えますし、急に血尿が出た場合も膀胱がん鑑別のため内視鏡での精査、処置が可能です。もし手術が必要な場合にも、近くの連携している総合病院へ紹介が可能ですので、ご安心ください。他にも健診などで要精査となった場合、特に尿潜血や尿たんぱく、腎機能低下、前立腺がんの腫瘍マーカーであるPSAの高値などを指摘された際には、ご相談ください。
前立腺がんは、男性の罹患率1位のがんですね。

そうですね、日本人男性のがん罹患率で、前立腺がんは胃がんを抜いて最多となってしまいました。ただ、それに比べて死亡率は低い。つまり、前立腺がんは初期段階でしっかり治療すれば、命に関わる事態を防ぐことが見込めるがんなのです。すでに転移した状態で、がんが見つかることはなんとしても避けたい。そのために50歳以上の男性は、少なくとも1年に1回は前立腺がんの腫瘍マーカーであるPSA値を測ってほしいと考えています。また前立腺がんは、手術以外にも放射線や薬物療法といった治療法があり、それぞれの中でもさらに細かく分かれており治療の選択肢が多いのが特徴です。治療法に合わせた病院のご提案もできると思います。また泌尿器科で前立腺がんの次に診ることの多い膀胱がんや尿管がんは、尿の通り道にできるがんのため血尿で見つかることがほとんどです。「他に何も症状がないのにおしっこが赤いな」と思いましたら、すぐにご相談ください。
年齢や性別に関係なく、排尿の悩みはQOLに直結する
お忙しいとは思いますが、息抜きなどはどのようにしていますか?

子どもの頃から体操に始まり、水泳、野球、中学高校はバスケットボール、大学はテニスととにかくスポーツが好きでした。今はなかなか時間は取れませんが、スポーツはするのも観るのも好きで、アスリートのドキュメンタリーなどもよく観ます。彼らのチャレンジする姿にはいつも刺激をもらいますし、大きな目標をめざして日々努力、準備する姿勢は、自分も大事にしています。スポーツから学び、影響を受けていることはたくさんありますね。また子どもと遊ぶ時間も良い息抜きになっています。こちらが喜ばせようと思っているのに、知らないうちに自分のほうが元気になっているのが不思議ですね(笑)。
これから力を入れていきたいことをお聞かせください。
一番に考えているのは、地域の皆さんに貢献することです。排尿に関する問題は年齢とともに増えていきますし、夜間頻尿や尿漏れなどの症状は日々の活動性や気分にも影響します。些細なことと思わずに、気になることがありましたらどうぞお気軽にご相談ください。また、前立腺がん、膀胱がんを含めた泌尿器がんの早期発見や、尿管結石や前立腺肥大などで手術が必要となる方を見極めること。幸いなことに当院の周りにはそれぞれの疾患に専門性の高い治療ができる総合病院がそろっています。それらの病院へ適切な橋渡しをするのも私の重要な役目だと思っていますし、手術後はまた当院でフォローするなど、一緒にこの地域の泌尿器科的な健康を守っていきたいですね。そして、来院された患者さんの悩みを一つでも多く解決し、笑顔になって帰っていただけるよう努力していきたいと思います。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

年齢や性別に関係なく、排尿に関する悩みはQOL(生活の質)に直結する重要なこと。特にご高齢の方は「年だから……」と諦めたり、しょうがないと考えたりしてしまいがちですが、少しの工夫やお薬の内服で、夜中のトイレの回数が減ってぐっすり眠れるようになったりする可能性も期待できます。さまざまな症状でお困りの方だけでなく、健診で異常が見つかった方、何か心配なことがある方も、予約なしでの受診も可能ですので、どうぞお気軽にご相談ください。