山田 正樹 院長の独自取材記事
かわぐち胃腸と内視鏡クリニック
(川口市/川口駅)
最終更新日:2024/12/03
川口駅東口から徒歩3分のビル6階に所在する「かわぐち胃腸と内視鏡クリニック」。済生会川口総合病院で長く外科医師として従事してきた山田正樹院長が2024年6月に開院したクリニックで、内視鏡検査をメインに日々、多くの患者が訪れる。山田院長が、「検査が始まったことがわからないうちに終わっていた、というくらい苦痛のない検査をめざしたい」と語るように、同院ではできる限り快適に内視鏡検査を受けられるような配慮が随所に見られる。医師の技術はもちろんのこと、鎮静剤・鎮痛剤の積極的な活用、プライバシーを守りつつ圧迫感のないリカバリールーム、検査にはAI搭載システムも用いるなど、院長の工夫は細部にまで行きわたる。同院の内視鏡検査に対する姿勢や、診療にあたって心がけていることなどについて、詳しく話を聞いた。
(取材日2024年11月7日)
苦痛の少ない内視鏡検査を提供するために
こちらのクリニックの特徴を教えてください。
当院に来院される患者さんの一番のニーズは内視鏡検査です。患者さんができるだけ苦痛なく内視鏡検査を受けられるようにとの思いから、当院では鎮静剤・鎮痛剤を積極的に用いて検査を行っています。大きな病院などでは、鎮静剤を使用した検査後に体を休ませるための場所が確保できないことや、回転率の問題などから、よほど苦痛を感じやすい患者さんでないと鎮静剤を使用してもらえないこともあるかと思います。当院では、リカバリールームも4部屋用意していますので、検査後もゆっくり体を休めてからご帰宅いただけます。また、大腸の検査時には、必要に応じてポリープの切除なども行います。
先生は長らく、外科を専門にされていたのですね。
医学部に入学する以前から外科医になりたいと考えていて、その思いのまま大学卒業後も外科に進みました。消化器外科、特に大腸や肛門の疾患の手術を専門に研鑽を積んできました。一方で、外科手術と並行して内視鏡検査も多くやってきていましたから、いざ次のキャリアを考えて開業を決めた時、どうせやるなら内視鏡に特化したクリニックをと思ったのです。せっかくなら、自分が勤務医時代に診ていた患者さんを引き続き診ることができればと考えて、前任の済生会川口総合病院に近い当地で開業することにしました。実際、以前からの多くの患者さんが継続してこちらのクリニックに来ていただいているので、とてもありがたいですね。
外科手術に従事されていた頃とは、診療の仕方も変わりますね。
そうですね。勤務医時代には、すでにがんと診断されている患者さんと向き合って診療にあたることが多かったですが、現在はまだ診断のついていない患者さんを私自身が診察して診断をつけることになるため、その点では外科に従事していた頃とは違いますね。ただ、外科の経験が長いぶん、患者さんにがんが見つかった場合に、それがどのような経過をたどっていくのかや、どのような術式の手術になりそうか、手術時間はどれくらいかといった話はお伝えできますし、また急性腹痛の患者さんが来られた場合にも、手術が必要そうな緊急性があるかどうかなどは、外科の目から専門的に診ることができると思います。
内視鏡検査にはAI搭載システムも活用
内視鏡検査についてお聞かせください。
上部消化管内視鏡検査では、咽頭、喉頭、食道から、胃、十二指腸をカメラで観察します。見つかる病気としては、胃炎などの軽いものから逆流性食道炎、ピロリ菌による感染症、胃がん、胃潰瘍、十二指腸潰瘍などがあります。胃痛などの症状は自律神経やストレスに左右される面も大きいので、検査した結果異常がないとわかれば、それで安心される方もいらっしゃるでしょうね。下部消化管内視鏡検査のほうは、大腸がん、大腸ポリープ、大腸憩室症といった疾患や症状の発見に役立ちます。この検査では、下剤を飲んで数時間かけて準備をし、検査後も体を休める必要があるなど時間がかかるため、一日がかりの検査となります。下剤をご自宅で飲むのが不安な方は、当院内で服用していただくことも可能です。
こちらでは内視鏡検査時に鎮静剤を積極的に使用されていますね。
誰だって苦しいのは嫌ですから、少しでも楽に検査を受けてほしいと思っています。私自身も鎮静剤を使って上部と下部、両方の内視鏡検査を受けた経験があります。咽頭反射が強く出てしまう方、カメラを入れる恐怖感や不安感が拭えない方にはぜひ、鎮静剤を使用してほしいと思います。また、特に大腸は人によって長さも違いますし、腸が固くなってしまっている人もいるので、鎮静剤がないと検査を行えないということも考えられるんですよね。一度楽に内視鏡検査を終えられたという経験ができれば、それ以降検査を受けるハードルは低くなると思うので、まずはご相談いただければと思います。
内視鏡検査については、AI搭載システムによる診断補助も導入しているのですね。
このシステムを使うと、例えば大腸ポリープなど病変が疑われる箇所があるとAIが感知してくれます。ポリープの中でも、がん化のリスクが低い過形成と呼ばれるものか、よりリスクの高い腺腫(せんしゅ)なのかのチェックもしやすくなるほか、また、ひだの裏などの見づらい場所も病変を感知すると音を鳴らして知らせてくれるので、使いこなすと見落としが少なくなるメリットがあります。もちろん、内視鏡がきちんと消化管の中を映せていないとAIは反応しませんし、病変と思われる箇所をどう診療するかは医師が判断するわけですから、内視鏡検査を行う医師自身の技術がしっかりしていなければ仕方ありません。あくまで経験のある医師が的確に扱えば、診断の補助として利便性が高くなるものと捉えるべきだと考えています。
プライバシーと安全性に配慮した診療を実施
患者さんとのコミュニケーションで気を使っていることは何でしょうか?
患者さんの話を丁寧に聞くことを心がけています。そうするとどうしても診察の時間が長引いてしまうこともありますが、外科医師として勤務していた頃から、私は結構、担当した患者さんの話をよく聞くタイプだったので、開業した今も、できるだけ丁寧に訴えを聞くということは引き続き行っていますね。また、特に消化器に関する悩みは話すのが恥ずかしいという方も多いと思います。当院には、もともと済生会川口総合病院に勤めていた看護師が3人勤務しているのですが、皆明るくて女性の患者さんからの受けも良く、親しみを持ってコミュニケーションが取れているようです。何か困ったことがあれば、まずは声をかけてみてください。
クリニックの内装についてのこだわりをお聞かせください。
やはり当院は内視鏡検査がメインで、女性の目から見ても検査を受けるのに抵抗がないような環境づくりを考えました。プライバシーを守ることやきれいであること、また検査の恐怖心を和らげることができて、検査後も落ち着いて休めるような環境です。4室あるリカバリールームに関しては、着替えができてストレッチャーも無理なく入れる適度な広さ、中の様子が見られないようなプライバシーの確保と同時に、閉鎖感や圧迫感が強くならないように設計段階からこだわりました。
読者にメッセージをお願いします。
消化器系のがんは、早期に発見できれば治癒が見込める病気です。外科の手術を多くしてきた経験上、がんの診断を受けた患者さんの中には、以前から健康診断で便潜血などが指摘されて精密検査を受けるよう言われていたけれど、忙しいからと受診を先延ばしにしてしまっていた方などが多くおられます。まずは怖がらずに内視鏡検査を受けて、病気の早期発見につなげてほしいと思います。