櫻木 哲詩 院長の独自取材記事
サクラギクリニック
(西伯郡日吉津村/伯耆大山駅)
最終更新日:2024/08/28
米子市と隣り合う西伯郡日吉津村にある「サクラギクリニック」は、2024年6月1日に開院したばかりのクリニックだ。院長の櫻木哲詩先生は糖尿病を専門にしつつ内科全般を診療し、その他、糖尿病患者のフットケアをはじめ、美容皮膚科の診療では医療脱毛、IPL光治療なども行う。また、糖尿病にとって重要な栄養指導は、在籍する管理栄養士が担当している。大学も勤務していた病院も鳥取県内という櫻木院長は地域の医師とも密接に連携しており、必要な場合には適切な医療機関に紹介。「どの診療科を受診してよいかわからない方のための窓口としての役割も担っていきたい」と語る櫻木院長に、クリニックの特徴や診療方針、専門の糖尿病について話を聞いた。
(取材日2024年6月14日)
専門性を生かし、診診連携によって地域の医療に貢献
この場所に開業した理由を教えてください。
この地域には糖尿病の専門クリニックが少なく、患者さんは遠くの病院まで足を運ばなくてはいけませんでした。そこで、遠くまで通うことが難しい患者さんの助けになりたいと考え、ここを選びました。近くに眼科、耳鼻咽喉科、歯科医院があることも決め手になりましたね。糖尿病はさまざまな病気の原因となるため、他院とのスムーズな連携は重要なポイントなんです。例えば、糖尿病は糖尿病網膜症という合併症を起こしますし、睡眠時無呼吸症候群の方は糖尿病のリスクが高まります。また、糖尿病と歯周病の関係も注目されています。今、病診連携や診診連携が盛んに言われていますが、私は卒業大学も勤務歴のある病院も鳥取県内なのでこの地域の医師との連携も大切にしています。同じ内科でもそれぞれ専門があるため、何かあればすぐに紹介することができます。
貴院のコンセプトを教えてください。
「自分らしくあるために」が当院のコンセプトです。私の専門である糖尿病においては「糖尿病でも健康な人と同じような生活をする」ことが治療の目標になっていることもあり、当院はクリニックの看板に、あえて診療科を書いていないんです。糖尿病・代謝内科と書かれたクリニックに入っていくと、他人に糖尿病だと思われるのが嫌だという患者さんの声を聞いていたからです。糖尿病は生活習慣に関わらず、かかる人はかかってしまう病気ですが、一般的には不摂生が原因と思われやすいという面があります。そういった方にも周りの目を気にせず来院していただけると思います。幸い当院は、医療のDX化を推進していることもあり、看板に大きく書かなくてもインターネットで検索して来院していただいています。
クリニックのこだわりを教えてください。
病院に行くと思うと気が滅入ってしまう方が多いので、病院らしくないクリニックをめざしました。院内は明るく、かつ落ち着いた雰囲気にするために、滞在時間の長い場所は間接照明を採用しています。また、診察室の声が待合室に聞こえないよう、音楽もかけています。待合室のモニターでは治療に役立てていただけるように、疾患についての情報を流しています。そして、院内はバリアフリーで廊下や診療室などを広めに造ってあるので、家族と来る方や車いすの方も通いやすいと思います。設備面では、患者さんの利便性向上のため、検査頻度の高い項目については院内で行えるよう機器を充実させています。駐車場については、介助する方のことも考えて一台あたりのスペースを広くとっていますし、車いすを利用される患者さんや付き添いの方のことも考えて、雨の日も濡れないよう車寄せスペースを設けました。
一般内科から糖尿病やフットケアまで対応
開院されたばかりですが、これからどのような診療をしていきたいですか?
専門である糖尿病の診療はもちろん、一般内科として風邪や腹痛、予防接種、健診などもしっかり対応していくつもりです。どの診療科を受診したら良いかわからない患者さんのための窓口としての役割も担っていきたいと思います。そして患者さんに説明をする際は、なるべく専門用語を使わずわかりやすい説明を心がけていきます。診察の結果、より専門的な治療が必要だと判断した場合には総合病院や専門のクリニックを紹介しますので、まずは気軽に相談に来ていただきたいですね。
ご専門の糖尿病の治療について教えてください。
糖尿病は大きく分けて、1型糖尿病、2型糖尿病、妊娠糖尿病、その他の糖尿病の4種類があります。最も多いのが2型糖尿病で、予防や治療として食事や運動など生活習慣の改善が重要になります。当院では管理栄養士が在籍しており、栄養指導を担当しています。普段どのような食生活をしているかなどお話を伺い、そこから摂取カロリーや塩分量などを推計し、アドバイスを行います。本当は自炊してもらうのが良いのですが、急に言われても難しいと思うので、外食ならこういうものを食べましょうとか、コンビニなら栄養成分表を見て、こういう組み合わせをしましょうと提案いたします。また、私は形成外科の経験もあり、糖尿病が原因で起こる足病変を予防するためのフットケアの診療も行っていました。当院では足を診るための設備も整えています。
糖尿病になるとフットケアが重要なのですね。
そうなんです。糖尿病による神経障害が進むと足先の感覚が鈍くなり、ケガをしても気づきにくくなってしまいます。そして高血圧や高コレステロール血症も加わると、動脈硬化が進行して足の血流が悪くなり、傷の治りが悪くなります。ケガをした足をそのまま消毒などもせず放置していると、感染して膿んでしまい、最悪の場合には足を切断しなくてはならないこともあります。そのため、定期的に観察して予防する必要があるんです。内科で足を診るところはなかなかないのですが、当院では私の専門とこれまでの経験を生かしてフットケアにも注力していきたいと思っています。
患者のニーズに対応し、進化し続けるクリニック
医療のDX化を推進していると伺いました。
患者さんの待ち時間をできるだけ減らすために、診療のDX化を進めています。具体的には受診の予約や問診票のデジタル化などです。家で入力でき、受付をするとデータがクリニックのパソコンにも反映されます。患者さん自身に書いていただくので間違いが少ないですし、紙からパソコンへの転記作業などスタッフの作業時間も短縮でき、その分診察に時間をかけられるんです。発熱などで待つのがつらい患者さんも、病院に来る車の中で問診票を入力すれば、すぐ診察室に案内できます。今後は、電子処方箋や後払いシステムも導入したいと考えています。それによって薬局で待つ時間が減りますし、後日クレジットカードで支払うため会計を待つ必要もなくなります。もちろん、それらはすべて紙ベースでも行っていますので、高齢の方もご安心ください。
今後の展望をお聞かせください。
地域の患者さんのニーズに応えていきたいという気持ちが強いです。また、前職では床ずれの診療も行っていましたので、対応していければと思います。この他、感染症の予防や治療にも力を入れていきたいです。当院は感染者用のスペースも確保可能なため、感染リスクを心配せずお待ちいただけます。また、ワクチンは取り寄せできるので、ご希望の予防接種があればご相談ください。さらに、インフルエンザの検査のために内視鏡用テレスコープを導入する予定です。これによって喉の奥を撮影して診断できるので、綿棒を鼻の奥に入れる検査をしなくて済み、患者さんの負担軽減につながると思います。
読者へのメッセージをお願いします。
糖尿病は、自覚症状に乏しいので受診が遅れる傾向があります。早いうちに受診すれば食事療法などで治療が可能なのですが、健診で血糖値が高いと言われても放置する人が大勢います。その間、合併症が進み、血管がボロボロになったり、目が見えなくなったりといった症状が出現します。そうならないためにも定期的に健診を受け、要精密検査になったら受診することをお勧めします。当院でも診断に必要な精密検査は可能です。重篤な疾患が判明した場合は、速やかに適切な施設をご紹介します。当院は、相談しやすいクリニック、通いやすいクリニックをめざしていますので、ご要望があればお聞かせいただきたいですね。必ずやお力になれると思います。糖尿病が疑われる方だけでなく、気になることがありましたら、遠慮せずなんでもご相談ください。
自由診療費用の目安
自由診療とは医療脱毛/5000円~、IPL光治療/1万円~