岡村 喬之 院長の独自取材記事
おかむらクリニック 内科・消化器
(神戸市西区/西神中央駅)
最終更新日:2025/06/16

西神中央駅から徒歩1分の場所にある宿泊施設の3階に、2024年5月7日に開業した「おかむらクリニック 内科・消化器」。院長の岡村喬之先生は、帝京大学医学部附属病院や虎の門病院で、多数の内視鏡検査・治療の実績を積んだ日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医だ。院内には専門の病院でも使用されるような内視鏡検査機器を備え、培った技術を駆使して精密かつ苦痛に配慮した検査を提供する。さらに、糖尿病や高血圧症、脂質異常症の治療において豊富な経験を持つ妻の岡村英利奈先生とともに、二人三脚で消化器内科、一般内科の幅広い診療を展開。患者一人ひとりに寄り添いながら、専門性に基づいた医療の提供をめざす喬之院長に、クリニックの特徴や診療へのこだわり、今後の展望などについて話を聞いた。
(取材日2024年6月20日/再取材日2025年5月19日)
消化器内視鏡専門医による検査で早期発見・治療に貢献
この場所で開業された経緯を教えてください。

ここ神戸西区は、私が生まれ育った地域です。両親も開業医をしており、西区には母が院長を務める内科クリニックもあります。私は医学部進学で東京に行き、そのまま東京で勤務していましたが、いずれは地元に戻ろうという思いはずっとありましたね。その中で、母のクリニックを継承するのではなく新たにクリニックを開業したのは、消化器内視鏡専門医として培ってきた自身の強みを生かし、病気の早期発見・早期治療に寄与するクリニックをつくりたかったからです。その目的どおり、オープン当初より内視鏡検査を希望される方に数多く来院いただきました。中には遠方から来られる方も少なくなく、下は10代の方から上は70代以上のご高齢の方まで、幅広い年齢層の患者さんに対応しています。
明るくすっきりとした院内ですが、こだわった点はありますか?
内視鏡検査用の処置室をゆったりとした空間にしたことです。胃カメラや大腸カメラを挿入し、炎症やポリープ、がんなど病変の有無を観察するための内視鏡検査では、不安や緊張を感じる患者さんも少なくありません。検査中、少しでもリラックスできるよう、居心地の良いスペースにしたいという気持ちがありましたね。何より重要なのは、大きなリスクにつながる可能性のある場所だからこそ、さまざまな状況に対応できる十分な広さを取ることです。患者さんをお待たせしないよう複数の処置スペースを配置しつつ、プライバシーを確保しながらもゆとりある広さを設けました。また、転倒事故を防ぐため、モニターを壁かけ式にするなどベッド周りにはできる限り余計な物を置かないことも意識し、スムーズな診療と患者さん・スタッフの安全面にも配慮しています。
検査機器など設備面にも力を入れていると伺いました。

その点もこだわりの一つです。大学病院や専門病院で使われているものと同レベルの胃カメラ・大腸カメラや検査機器を導入し、地域のクリニックでありながら精密な検査を可能にする環境を整えています。さらに、当院では正確性を追求するため、常に50枚以上の画像を撮影し緻密かつ丁寧に観察。検査時にポリープを発見した際には、病変の種類によっては患者さんの意向をお聞きし、その場での切除術も可能です。中にはポリープの中に早期のがんが含まれるケースもありますので、内視鏡検査は病気の早期発見・早期治療に役立つ検査だといえるでしょう。
経験に基づいた技術を提供し幅広い診療ニーズに対応
これまでのご経歴と、なぜ内視鏡を専門に選ばれたのかについて教えてください。

医学部時代は外科や循環器などにも興味がありましたが、内視鏡に興味を持ったきっかけは最も難解だと感じたからです。講義や試験では病変を写した内視鏡画像で診断するのですが、写真を見てもさっぱりわからないほど。そこに知的探究心を刺激され、やりがいを感じましたね。内視鏡での診断力を上げていくために必要なのは、一つでも多くの病変を診て経験値を高めることです。そこで「もっと経験を積みたい」と教授に相談し、紹介されたのが虎の門病院でした。大学病院の医局に勤務しながら数年間は虎の門病院に先端の内視鏡検査を学びに行き、その後虎の門病院の勤務医として数多くの内視鏡検査・治療を実施しました。膨大かつ多様な病変を診ていく中で、消化器内視鏡専門医としての技術と知識、診断力を磨きました。
これまでの豊富なご経験が、クリニックの強みとなっているのですね。
そうですね。当院では、すべての内視鏡検査を、消化器内視鏡専門医である私が行います。そこが一番の特徴ですね。これまで数多くの症例を診てきたため、観察力が強みとして生かされています。特に虎の門病院には、さまざまな医療機関から紹介を受けた患者さんが数多く来院されるので、多様な病変の診療に関わることができました。そこで得た知見を生かして、当院で微細な病変の察知につなげ、適切な治療へと導いていきたいと考えています。内視鏡の挿入に関しても、体への負担を軽減するためのさまざまな技術を修得。患者さんのご希望や必要性に応じて静脈から投与する鎮静剤を使用し、できるだけ痛みや不安を少なく、スムーズな検査を心がける他、検査後の苦痛を大幅に軽減するために炭酸ガス送気を用いるなど、経験に基づいたさまざまな対策が、当院の強みだといえるでしょう。
内視鏡検査以外の診療についても教えてください。

私は消化器内視鏡専門医であると同時に、日本消化器病学会消化器病専門医でもあるので、食道、胃、十二指腸、大腸、肝臓、胆嚢、膵臓など、消化器系の幅広い症状や疾患に関して、専門的な診療を行っています。また、妻は糖尿病を専門とし、高血圧症や脂質異常症などの生活習慣病治療に関して豊富な経験を持つスペシャリストです。内視鏡検査については私が担当し、外来診療については妻と連携しながら一般内科を含めたさまざまな診療ニーズに対応しています。
患者一人ひとりに寄り添う街のかかりつけ医として
患者さんと接する際に、心がけていることはありますか?

まずは、医師として培ってきた知識を、患者さんにしっかりと還元することです。単に検査・治療を実施するだけでなく、病変に対して「どんな原因が考えられるのか」「なぜこの治療を行うのか」などをきちんと説明することが大切だと考えています。検査結果についても、内視鏡画像を見せながらわかりやすく説明を行い、その後の治療について、理由を含めて患者さんが納得できるよう一緒に考えていきます。もう一つが、生活習慣病などの判断基準や治療方針などガイドラインを明確にし、それに沿って適切な診療を進めていくこと。曖昧な方針で患者さんに不安や混乱を抱かせないよう、しっかりと納得のいく治療を行いたいですね。
今後の展望について教えてください。
地域のクリニックとして開業してから約1年。この間、内視鏡検査だけでなく、消化器系疾患を中心にさまざまな症状に対応してきました。生活に密着し日常の体の不調や病に関わっていく中で、より幅広く多種多様な経験や知識が広がっていき、この1年間は自分自身にとってもたいへん勉強になりましたね。その中で、内視鏡検査による病気の早期発見がより大切になっていることはもちろん、潰瘍性大腸炎や睡眠時無呼吸症候群など、近年増加傾向にあるといわれている疾患が、想像以上に増えていることを実感。そうした医療ニーズにおける変化を敏感に察知できる街のクリニックだからこそ、より現実に即した医療を地域全体に働きかけていきたいと思っています。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

初めて内視鏡検査を受ける方、あるいは数年検査から遠ざかっている方の中には、「検査が怖い」「恥ずかしい」「以前に痛い思いをした」などさまざまな理由で、一歩を踏み出せないという方も多いかと思います。そのような方でも、ちょっとしたきっかけが勇気になるはずです。当院では、内視鏡検査に恐怖心や抵抗感のある方の苦痛や負担をできるだけ軽減できるよう工夫しています。落ち着いて検査が受けられるよう院内で下剤を服用できる体制を整えていますし、消化器内視鏡の専門家である私自身が挿入・観察、必要に応じた切除術まで行いますのでご安心ください。また、一般内科全般に対応していますので、気になる症状があればお気軽にご来院ください。病気の予防は、まずご自身の体を知るところからスタートします。このページとの出会いを一つのきっかけにしていただければと思います。